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【更年期】10人に1人は「乳がん」になる時代、多いのは45才から55才【医師に聞く検診の大切さ】

  • 2024.2.26

今は10~11人に1人が乳がんになる時代。自分は大丈夫、死なない病気、と思わずに検診や日々触って確認することが大切。ピンクリボンブレストケアクリニックの島田菜穂子先生に、検診の頻度などを聞きました。


40代のお悩み

「自分のまわりで乳がんになったという人を聞いたことがありません。家族にも乳がんにかかった人がいないのですが、検診は必要ですか?」

【島田先生に教えてもらいます!】

ピンクリボンブレストケアクリニック 院長 島田菜穂子先生

乳腺専門医、放射線科専門医。表参道にあるピンクリボンブレストケアクリニックでは、忙しい女性のために日曜診療も行っている。

[約20年前は30人に1人、今は急増している乳がん患者]

女性の10~11人に1人が乳がんになるのは事実です。20年前は30人に1人でしたから、乳がんが急増していることがわかります。あなたのまわりにも、人知れず治療している方がいらっしゃるかもしれません。 GLOW世代からは様ざまながんが増えはじめますし、日本では45~55 才で乳がんが多く発症しています。 自分は乳がんにならないという根拠のない自信は捨ててください。
また、「小さければ完治する」とか「乳がんでは死なない」と言って検診を受けないのはナンセンスです。小さいがんを見つけるには画像診断が必要ですし、進行の早いタイプではみるみる広がって全身に転移することもあります。自分も乳がんになって当然くらいの気持ちでいることが必要です。

[検診は最低でも2年に一度、できれば1年に一度]

乳がん検診ではマンモグラフィでの画像診断と超音波の2つの検査を行います。乳腺が混み合っているとマンモグラフィだけでは小さな変異を見逃すこともあります。それを補完するのが超音波検査ですので、ダブルで受けるのがベストです。最新の3Dマンモグラフィでは従来の2Dに比べて石灰化を見つけやすくなっていますよ。最低でも2年に一度、可能なら 1年に一度は検診を受けていただきたいです。そして「要精密検査」となったら、できるだけ早く精密検査を受けること。がんだったらどうしようと躊躇していると検診でせっかく早期発見した意味がなくなります。精密検査の結果、乳がんでないことがわかる方がほとんどですから不安を解消するためにも怖がらず受診してください。

[見て触って、しこりや引きつれなどをチェック]

定期的に検診を受けていても日々、手で触って確認することが大切です。 鏡で正面から見る、手を上にして皮膚を引っ張った状態でも見るといいでしょう。上から見ると気づけないヘコミや、皮膚が引きつれてできる影に気づけます。手で体を洗う、ボディクリームを塗ったりするのもいいですね。隅々まで触ることで小さな変化を感じれます。「こんな小さなしこりをよく見つけたね」とこちらが感心するほど微細なしこりを見つけた方もいらっしゃいますよ。顔を洗うと肌の変化に気づくように、今日も胸に異常なし!と思えるようになっていただきたいですね。いつものあなたを知らないドクターよりも、毎日触っている自分の方がごく小さな変化に気づけますから。

[乳がんは様ざま、進行スピードや治療法も違う]

特に注意したいのは遺伝性の乳がんです。血縁の母・祖母・おば・自分の姉妹のふたり以上が乳がんになった、左右の乳房にがんができた、あるいは男性乳がんになった人がいる場合などは、通常より若く20代から乳がんにかかる確率が高くなります。しかも遺伝子の異常により発生する乳がんは進行の早い、タチの悪いタイプの乳がんを発症することも多いのです。そのため、遺伝性の乳がんの心配があるなら、若い世代から1年に1回以上は検診を受けるべきです。現在では遺伝性の乳がんと確定診断ができれば、予防的切除が保険適用で受けられるようになりました。
さらに付け加えるなら、乳がんには様ざまなタイプがあって、進行スピードや治療の方法もそれぞれ違います。乳がんと診断されたら自分のタイプについて正しく知り、自分がどのように治療したいかを医師と納得いくまで話すことが大切です。 検査も治療も日々、アップデートされて、よりよい治療ができる時代になっています。悲観せずに自分に自信を持って前向きに治療していただきたいです。


イラスト=MAIKO SEMBOKUYA 取材・文=黒川ともこ ※2020年11月号より

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