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元恋人の香水、おばあちゃん家のにおい…懐かしい香りで記憶がよみがえる「プルースト現象」とは?香りの専門家が解説

  • 2024.2.25
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「プルースト現象(効果)」とは?
「プルースト現象(効果)」とは?

街中を歩いていて、ふと元恋人が付けていた香水のにおいがして元恋人のことを思い出したり、畳や線香の香りをかぐと、おばあちゃん家を思い出したりします。どうして、思い出深い香りをかぐと、懐かしい気分になってしまうのか、気になる人もいるのではないでしょうか。そこで、「におい・かおり環境協会」に所属している摂南大学理工学部 住環境デザイン学科の准教授・竹村明久さんに聞いてみました。

においの思い出が多い人は、思い出がよみがえるチャンスが多い

Q.元恋人が付けていた香水、おばあちゃん家の臭いなど、どこかでかいだにおいをかぐと昔の記憶がよみがえることがありますが、その理由を教えてください。

竹村さん「フランスの小説家のマルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』で、においで鮮やかに記憶を思い出すことが書かれていたため、そのような現象は『プルースト現象(効果)』と呼ばれてきました。

脳でにおいの処理を行う嗅覚野と、情動(喜びや悲しみ、怒りなど感情の変化)と記憶に関与する神経細胞の扁桃体と海馬との間に情報伝達があることがわかっていて、においを感じると記憶だけでなく情動も呼び起こされるとされています。

そのため、においによってよみがえった思い出には当時の情動が伴いやすく、『においで思い出せる思い出は味わい深い』という印象を持たせるのではないかと予測されています。

ただ、見たものや聴いた音でもあの日のことを思い出す場合があり、嗅覚だけが特別とはいえないのではないかという指摘もあります。それについては、他の感覚よりも嗅覚の方が印象的な思い出とひも付けて覚えている数が少ないために、においからだと思い出しやすく感じるのではないかと推測されているようです。

このように、においのさまざまなことは脳科学の進歩とともに少しずつ明らかにされている途中で、現在はまだわかっていないことも多くありますので、今後も捉え方や見方が変わったりするかもしれません」

Q.記憶を呼び起こしやすい香りの種類があれば、教えてください。

竹村さん「においは化学物質ですが、とりわけこの成分で記憶がよみがえりやすいという物質を聞いたことはありません。それぞれの思い出で嗅がれたのと同じ、または特徴が近い質のにおいが思い出を引き出す鍵になるのだろうと推測されます。

そのため、においを伴う思い出が多い人だと、においで思い出がよみがえるチャンスはそうではない人より多いと考えられます。また、多くの物質が混ざり合ったにおいは多面的な印象を感じさせる傾向にあるので、単純な質のにおいを嗅ぐ場合よりも、質が近いと感じる別のにおいに出会いやすく、思い出がよみがえることがより多いかもしれません」

オトナンサー編集部

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