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【今月のTO DO LIST】 2、3月にチェックしたい映画と本と展覧会

  • 2024.2.25

週末の予定は決まりましたか? この時期みなさんにおすすめしたい映画、本、展覧会などを、ライターの赤木真弓さんが厳選し「TO DO LIST」としてご紹介します。ぜひお出かけの参考にしてくださいね!

赤木真弓さん Profile

ライター、編集者。イベントなどで古書や雑貨を販売する書店「greenpoint books & things」店主。旅好きライターユニット「auk(オーク)」としても執筆活動を行っている。
著書に『ラトビア、リトアニア、エストニアに伝わる温かな手仕事』、共著に『「好き」を追求する、自分らしい旅の作り方』(ともに誠文堂新光社刊)ほか。
リンネル本誌では、アート&イベントページを担当。

illustration:Hisae Maeda

■MOVIE 『ソウルメイト』

済州島を舞台に、友情を超えた二人の物語

© 2023 CLIMAX STUDIO, INC. & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

物語の始まりは、公募展で大賞に選ばれた一人の女性を描いた絵。高校生のときのミソをモチーフにした、「作者・ハウン」による作品だった……。

ミソとハウンは小学生からの大親友。絵を描くのが好きな二人は、性格も価値観も、育ってきた環境も違いますが、お互いに大切な存在でした。ところが、ハウンに恋人ジヌができたことで、少しずつ気持ちがすれ違っていきます。

釜山に旅行中、大喧嘩をしたことを機に疎遠になっていた16年目のある日、ハウンはミソに“ある秘密”を残して忽然と姿を消してしまいます。

© 2023 CLIMAX STUDIO, INC. & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

主人公であるミソを演じたのは、ドラマ「梨泰院クラス」でヒロインのチョ・イソ役でブレイクしたキム・ダミ。自由奔放で明るく見えますが、複雑な家庭環境で育ち、心の底で悲しみを抱える繊細な役柄。くるくると変わる表情がキュートで目が離せません。

また親友のハウンを演じるのは、パク・ボゴムの幼馴染役を演じたドラマ「ボーイフレンド」で注目されたチョン・ソニ(目が印象的で、New Jeansのヘリンに似ていると思います)。二人とも高校生から30代までを、魅力的に演じています。

© 2023 CLIMAX STUDIO, INC. & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

実は本作は、中国・香港の合作で制作された『ソウルメイト/七月と安生』のリメイク。舞台が上海と北京から、済州島とソウルに、残されたものがネット小説から絵画へと少しずつ違うので、見比べてみても(アマゾンプライムで配信中)。

色鮮やかでノスタルジックな映像、絵画によって綴られる二人の友情、もう一人の主人公でもある「母さん」と名付けられた猫など、見どころがたくさん。学生時代の女友達を想って懐かしく感じたり、“ソウルメイト”である二人の数奇な運命にきっと涙してしまう、温かな作品です。

『ソウルメイト』

監督:ミン・ヨングン
出演:キム・ダミ、チョン・ソニ、ピョン・ウソク

2月23日(金・祝) 新宿ピカデリーほか全国公開

2023/韓国/124 分/ビスタ/5.1ch
原題:소울메이트/英題:SOULMATE
字幕翻訳:本田恵子
配給:クロックワークス
映倫:PG12

公式 X:@soulmatejp

■BOOK 『料理は子どもの遊びです』

フランス料理のベストセラー絵本の、待望の翻訳本!

1963年にフランスで出版された、本格的なフランス料理を楽しみながら作れる絵本『La cuisine est un jeu dʼenfants』。映画『スローガン』の中でジェーン・バーキンが読んでいたこともあり、日本でも知る人ぞ知る料理本です。

私自身もフランス語版の原書を持っていて、訳しながら作ったことのある思い入れのある一冊が、フランス在住の文筆家・猫沢エミさんによる翻訳で、『料理は子どもの遊びです』としてついに発売されました。

この本の著者ミシェル・オリヴェは、1960年代から活躍するフランスの有名料理人。かわいいイラストレーションや文字も自身で手がけた本書は、フランスで大ヒット。親、子、孫の3世代にわたって読み継がれているそう。

材料と手順が分かれて書かれた一般的なレシピとは違い、お話を読んでいるような気分になれるのが特徴。かわいいイラストを頼りに、書かれた通りに作っていくと、本格的な料理ができてしまいます。

スープやオードブル、卵料理、ソースと野菜料理、肉・魚料理、デザートまで。ひらがなで書かれているので、小さなお子さんからフランス料理を作ってみたいという大人まで、ちゃんと使える一冊。組み合わせ次第では、フランス料理のフルコースまで作ることができます。

家庭的な食材、スプーンやフォークなど子どもにも使える調理器具で(なんとレシピの前に、計量カップの作り方まで書いてあります)、本格的なのに驚くほど簡単に、おしゃれなフランス料理ができるのは、料理が苦手だと感じている人にも自信を与えてくれそう。

チーズの選び方や、日本との食材の違い、フランスの食文化まで丁寧に解説されているのもうれしいポイント。原書のデザインや雰囲気はそのままに、料理を気軽に楽しもうというやさしいメッセージが、訳者・猫沢さんによるシンプルかつ心地よい言葉からも伝わってきます。本書に引き続き、同シリーズのお菓子やジャムの本も発売されるのも、今から楽しみでなりません。

『料理は子どもの遊びです』
  著者:ミシェル・オリヴェ
訳者:猫沢エミ
発行元:河出書房新社
価格:¥2,530(税込)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309293660/

■EVENT 「椅子とめぐる20世紀のデザイン展」

100脚の名作椅子を通して見る、美しい生活デザイン

左から、チェアLCW チャールズ&レイ・イームズ 1945 撮影:Kentauros Yasunaga、チェア3130(グランプリ) アルネ・ヤコブセン 1957 撮影:Kentauros Yasunaga

20世紀の優れたデザインの家具と日用品のコレクションを長年にわたって収集、研究してきた椅子研究家の織田憲嗣さん。その貴重なコレクションから厳選した、100脚の名作椅子を一堂に見られる展覧会が開催されます。

本展では、アール・ヌーヴォー、バウハウス、ミッド・センチュリー、イタリアン・モダンまで、20世紀100年におけるデザインの変遷をたどります。

左から、食器シリーズ「TAC」 ヴァルター・グロピウス/ルイス・A・マクミレン 1968 撮影:Kentauros Yasunaga、ガラス・コンテナ・ブロック「クブス」 ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルト 1938 撮影:Kentauros Yasunaga

また食器やインテリア製品、キッチン用品、家電製品、事務用機器などをまじえ、デザインと生活の関係性を解き明かします。   リンネル.jpで北海道・東川町にある織田憲嗣さんのご自宅に伺うことができたのですが、織田さんのコレクションは一つひとつに思い入れを持って選ばれていて、仕舞いこんでいるのではなく自宅でも実際に大切に使われているものばかり。その丁寧な暮らしにとても感銘を受けました。   時代の精神や科学技術の進展が反映された椅子のデザイン、またそれぞれの時代の空気が伝わってくる、暮らしまわりの美しいデザインの数々を後世に残そうという思いから集められた、時代を超越した名品です。実際に座り比べができる体験コーナーもある、この貴重な機会をお見逃しなく!

椅子とめぐる 20 世紀のデザイン展

2月29日(木)~3月18日(月)/日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール/10:30~19:00 ※19:30閉場。最終日は17:30まで(18:00閉場)/会期中無休/一般¥1,200/

text & edit:Mayumi Akagi
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