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シアターBRAVA!の転身、新天地で「役者に寄り添う」劇場に

  • 2024.2.24
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3月27日にオープンを迎える新劇場「SkyシアターMBS(以下Skyシアター)」(大阪市北区)。4年前に「JPタワービル」内に建設されることが決まってから、関係者たちが数々の劇場を回ったり、関係者の声を聞いて集めてきた「こんなものがあれば・・・」を、たっぷりと詰め込んだ空間となった。その劇場の、裏側の部分もチェックしてきた。

3月27日開場の「SkyシアターMBS」(大阪市北区)、楽屋もイメージカラーの「グリーン」で統一

◆ 客席だけではなく「裏側」も充実

多くの観客や演劇人に愛されながらも、2016年に惜しまれつつ閉館した劇場「シアターBRAVA!」の利点を引き継ぎつつ、欠点をことごとく修正して生まれたSkyシアター。なかでも特別にこだわり抜いた客席については、別コラムで詳しく紹介しているが、その舞台裏もなかなか考え抜かれた空間となっている。

「SkyシアターMBS」の客席から見る舞台、キャパは約1300席ながらにも見やすいのが特徴

(1)快適な「楽屋」やコンセントの数にも注力

作り手たちが準備をしたり、空き時間を過ごす楽屋エリアは、大小あわせて9部屋を設置。最大20名が利用できて、稽古場としても使用可能な大部屋から、シャワー・トイレ付きの個室まで、様々なレベルと広さの楽屋が用意された。最大で約1300席となる劇場だけに、キャスト・スタッフとも大人数の公演が多いことを見越して、かなり余裕のある空間となっている。また鏡前だけでなく、廊下にも電源が多いのも、劇場側のこだわりポイントだそう。

楽屋フロアには、鏡付きの稽古部屋も

(2)演者にとってかなり重要な「裏側導線」

また舞台と楽屋が離れていたり、フロアが違ったりする劇場もある一方、Skyシアターの楽屋は舞台下手袖が目と鼻の先という構造に。下手から上手をつなぐ通路も、明るくて広々とした作りになっているが、これは俳優が早替えをしながら移動することを考慮したものだ。衣裳や床山専用の楽屋や、ラウンジのようなスペースも用意され、客席に負けないほどの居心地の良さを実現している。

写真手前と奥に見える「黒い幕」が舞台袖の入口で、楽屋が同じフロアで繋がっていることは、演者にとってはありがたい。廊下の幅も広いため、早着替えスペースなどにも対応できる

(3)舞台の真下、「奈落」にもこだわりが?

また舞台の構造は「束立てユニット式」という、上演する作品のセットにあわせて、フレキシブルに床の機構を変更できるものに。また舞台下の「奈落」と呼ばれるエリアの一部は、客席前方のA~D列の椅子を取り払うと、オーケストラピットに早変わり。これは特に、ミュージカル公演には大きな強みとなるはず。また奈落に通じる階段は、上手と下手で色を分けて、どちら側にいるかが一目でわかるようにしたという、作り手目線の細かな工夫もされている。

舞台の下にある「奈落」、さまざまなシーン転換をおこなううえで重要になってくる場所だ

観客が楽屋に入ることはなかなかないだろうが、楽屋や舞台裏にストレスがなければ、それだけ俳優やスタッフたちのパフォーマンスが上がるという効果があるし、「またこの劇場を使うために大阪公演をやろう」というモチベーションにもなるだろう。すでに2.5次元系から、地元の有力劇団までバラエティに富んだラインアップが決まっているSkyシアター。ぜひ真新しいうちに、一度足を運んでおこう。

こけら落とし公演の『中村仲蔵』の前売チケットは完売したが、4月4~14日に上演される、日本を代表するミュージカル俳優たちが大挙出演する『カム フロム アウェイ』はチケット発売中。そのあとは段田安則主演の『リア王』、ブロードウェイミュージカル『ハネムーン・イン・ベガス』、岸谷五朗&寺脇康文のユニット「地球ゴージャス」などの公演が控えている。

取材・文/吉永美和子

SkyシアターMBS

2024年3月27日(水)オープン
住所:大阪市北区梅田3-2-2 JPタワー大阪 6F

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