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【ドラマで話題】“不倫された夫”は本当に「親権を得て離婚」できるの?弁護士に聞いて分かった“難易度”

  • 2024.2.24
“サレ夫”は親権を得て離婚できる?
“サレ夫”は親権を得て離婚できる?

俳優の伊藤淳史さんが主演を務める連続ドラマ「離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」(テレビ朝日系、毎週土曜午後11時30分)が、SNSを中心に注目を集めています。同ドラマは、妻の不倫に気付かない振りをしながら証拠を収集し、子どもの親権を得て離婚するために奮闘する“サレ夫”(伊藤さん)の姿を描くもので、“不倫妻”を演じる篠田麻里子さんの熱演も、毎話大きな話題となっています。

実際に、妻に不倫された夫が「親権を取って離婚したい」と考えるケースは少なからずあると思いますが、「正直、難しそうなイメージ」との声がある一方で、「不倫するような人は親権者失格では?」といった意見も聞かれます。実際のところ、不倫をしている妻から、夫が親権を得て離婚することはできるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

「もう母親とは関わってほしくない」は不利

Q.一般的に、「親権」を判断する際に重要視されるのは、どのような要素ですか。

佐藤さん「いずれが親権者になるか、父母の話し合いにより決められなかった場合、裁判所は『子の利益』の視点から、さまざまなことを考慮して親権者を決めます。

一般的に、父母双方の事情として、健康状態、職業、就労状況、経済状況、住居、子に対する愛情の程度、監護に関する意欲や能力、実家の援助の可能性、面会交流への許容性…など、子側の事情として、年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況、子の意思、現在の生活状況…などが総合的に考慮されることになります。

重視されるポイントとしては、次の4点が挙げられます」

(1)継続性の原則……今まで主に監護を担ってきた方が引き続き監護を担い、子の環境の安定を守ろうとする原則(2)母性優先の原則……特に乳幼児期において、授乳が必要な場合など、母親を親権者にしようという原則(3)子の意思尊重の原則……子の年齢や発達に応じて、子ども自身の希望を尊重しようという原則(4)兄弟姉妹不分離の原則……子どもの精神面への影響を考え、兄弟姉妹を分離しないという原則

Q.ずばり、同ドラマのように、夫側が「不倫している妻と離婚して、親権を得る」ことは可能なのでしょうか。また、その可能性や難易度はどのくらいといえますか。

佐藤さん「可能です。まず、不倫(不貞行為)は裁判上の離婚事由(民法770条1項1号)に当たるため、たとえ妻が『離婚に応じない』と主張したとしても、裁判により離婚することができます。

親権については、先述したような事情を総合考慮した結果、子の利益の観点から『父親が親権を取るべきである』と裁判所に判断してもらうことができれば、父親が親権者になることができます。

ただし、『妻が不倫をしている』という事実は、親権争いの中で、直ちに夫に有利に働くわけではありません。不倫により、子の養育がおろそかになるなど、不倫が子の利益を害することにつながるケースでは、不倫の事実が間接的に親権争いにも影響を及ぼすにとどまります。

親権の問題は、不倫の問題とはいったん切り離し、子どもにとっていずれの親が親権を持つべきかという視点から考える必要があります。父親が親権者になれるかどうかは、先述したさまざまな事情により異なるため、可能性や難易度はケースバイケースです」

Q.同ドラマのように、離婚を希望する夫が「絶対に親権を取りたい」と強く望む場合、親権を得られる可能性を上げるためにできること、行っておくべきこととは。

佐藤さん「日頃から子どもの監護を積極的に担い、子と親密な関係を継続的に築くことが一番大切でしょう。母親が主に監護を担っており、子どもも懐いているような家庭では、先述の(1)継続性の原則(2)母性優先の原則(3)子の意思尊重の原則、いずれの視点からも母親が有利になります。日本では、一般的に母親が親権者になるケースが多いですが、それは、母親が主に監護を担い、母性的な役割を担っている家庭が多いためだと考えられます。

また、離婚後、母親と子どもとの面会交流を積極的に認める姿勢も大切です。双方の親と交流できる環境は、子の利益になります。『親権を取ったら、もう母親とは関わってほしくない』という考えの場合、面会交流への許容性が低いとして、親権争いでは不利になります。

あとは、規則正しい生活を送るなど健康に気を付け、子が安心して暮らせる働き方ができれば、より親権を得られる可能性が上がるでしょう。監護面でも、経済面でも、実家の援助が得られるのであれば、さらに有利になります。

親権について考える際に最も重要なのは、『子どもにとって何が一番良いのか』という視点です。それを忘れずに、子どもにとって安心できる環境づくりに努めましょう」

オトナンサー編集部

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