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発達障害グレーゾーンのわが子が「通常学級」でいじめに遭わないために…求められる“2つのポイント”

  • 2024.2.24
通常学級で求められる力とは…
通常学級で求められる力とは…

「知的障害が全くないものの、学習に困難がみられる」「発達が気になるけど、はっきりとした診断がつかない」といった“グレーゾーン”の子どもの場合、小学校の進級先を「通常学級」にするのか、「通級制度」を利用するのか、「特別支援学級」に行けばよいのか悩みます。

知的発達の遅れがない場合、学力面では問題がありません。このケースでは、特別支援学級では学習面で物足りなくなるので、通常学級の中で配慮を受けながら頑張らせることもできます。一方で、クラスメートとのコミュニケーションがうまく取れず、いじめに遭う可能性なども考えて、特別支援学級の落ち着いた環境を選ぶという方法もあります(ただし、知的障害がなければ支援級への在籍を認めない自治体もある)。

求められる2つの力

通常学級は、35人に対して担任1人という配置で、教科書に沿って授業が進められていきます。そのような環境においては、次の2つの力が求められると、子育て本著者・講演家であり、知的障害のある自閉症児を育てた筆者は思っています。

【(1)友達とうまくコミュニケーションが取れるか?】

幼稚園、保育園時代はまだ、周りの友達も幼児なので、“みんなお友達、みんな仲良し”が通用します。けれども、小学生になると友達関係が複雑化し、グループをつくったり、秘密を持ったりします。

学校生活は勉強だけではありません。成績の面では何とかなっても、相手の立場に立ったり、コミュニケーションがうまく取れなかったりすると、仲間外れになってしまうこともあります。

【(2)45分間、落ち着いて座っていられるか?】

小学校の授業は1コマ45分です。これが毎日、午後2時、午後3時まで続きます。つまり、45分間は席に着いて机上での勉強に集中できること、さらに、教師の指示に従い、集団行動が取れることが前提となります。

これらができないと、叱られる回数が増え、子どもが自信を失ってしまうこともあるかもしれません。

他の子に危害を加えたり、いすに座っていられず教室を脱走したりするといった問題行動がみられた場合は、「ここにいるのは窮屈だ、つらい」というSOSなので、学校側が対応を考えてくれるでしょう。しかし、おとなしいタイプの子は他の子に迷惑をかけるわけではないので、教師にとっては“扱いやすい子ども”であり、そのまま放置されてしまうこともあります。

わが子のことを最も知っているのは、医者や専門家ではない

2016年4月に施行された「障害者差別解消法」により、一人一人の困り事に合わせた合理的配慮を行うことが義務化されました。これにより、通常学級に籍を置いて、通級制度(東京都では「特別支援教室」)を利用している子どもには、「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」の作成義務が学校側にあります。

もし、「あなたのお子さんは通常学級にいるので、あなたのお子さんだけを特別扱いすることはできません」と言われたら、それは学校側に課題があるのではないでしょうか。

個別支援計画の作成にあたっては、担任とよくコミュニケーションを取り、次の11項目を伝えておきましょう。小学校の先生は、障害名は知っていても、その分野への専門的な知識があるとは限りませんし、どんな著名な医者や専門家より、生まれたときからずっと育ててきた保護者が、わが子のことを最もよく知っているからです。

・成育歴・「特別な配慮が必要な子」として保育園、幼稚園担任からの細かい申し送り・主治医や療育施設からのアドバイスの共有(発達検査・心理検査の結果を渡すなど)・子ども本人が「苦手なこと」「得意なこと」・子どもが理解しやすい指示の伝え方・パニックを起こしたときの対処法・絶対に避けてほしいこと(「急に音楽を鳴らすのではなく、事前に予告し、小さな音から徐々にボリュームを上げてほしい」など)・どんなタイプの友達が苦手なのか、どんなタイプの子と馬が合うか・子ども本人に「障害の告知」をしたか、していないか・他の保護者へカミングアウトをするかどうか・クラスメートへのカミングアウトをするかどうか、その方法はどうするか

皆が敬遠するPTA役員を引き受けると、学校に足を運ぶ機会が増えます。自然と先生たちと会話できる環境に身を置けるので、役員を引き受けるのも一つの手ではないでしょうか。

東京都の一部地域では、知的発達の遅れがない発達障害の子どもを対象とした「固定学級」が整いつつあります。通常学級と通級指導教室を行ったり来たりしない、固定されたクラスです。また、自治体によっては、固定学級である「情緒級」が全ての学校に設置されているケースもあります。このような環境が今後、全国に広まっていくとよいと、私は感じています。

子育て本著者・講演家 立石美津子

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