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【漢字】「東風=ひがしかぜ」じゃない!?実は読めそうで読めない漢字3選

  • 2024.2.23

まだ冷え込む朝もありますが、暦の上では「立春」を迎え、首都圏では「春一番」も吹きました。そこで今回は「春の難読漢字」を紹介します。なお、すべて「春の季語」から選んでいますのでぜひチャレンジしてみてください。

1.「啓蟄」

最初は、「二十四節気(にじゅうしせっき)」の一つでもある「啓蟄」です。何と読むでしょうか?

正解は、「けいちつ」でした。1年間を季節の変わり目ごとに24等分した「二十四節気」の中でも、難読の代表に挙げられるこの「啓蟄」。「啓」は「ひらく」、常用漢字外の「蟄」は「土の中で冬ごもりしていた虫」のこと。「蟄」は、この「啓蟄」以外だと「蟄居(ちっきょ)=家の中に閉じこもって外出しないこと」で目にするぐらいでしょう。「冬眠していた蛇や蛙などが暖かくなって土の中から出てくる」という、この「啓蟄」、今年2024年のカレンダーでは3月6日です。もうすぐですね。

2.「水温む」

次は、「水温む」です。「春になって、川や池の水の温度が上がってくる」様子を表す言葉です。何と読むでしょうか。

「みずあたたむ」ではありません。正解は、「みずぬるむ」でした。常用漢字表に記載されている訓読みは「あたた(める)・あたた(かい)」ですが、表外訓として「ぬる(い)・ぬく(い)・ぬる(む)・ぬく(もり)」などもあります。「温む」の上に「水」が付いた「水温む」の場合は、「みずぬるむ」と読んでください。
なお、液体の温度が冷めたり暖まったりして、適温ではない時、「ぬるい」という形容詞を使いますが、「ぬるい風呂」「ぬるいビール」のように、マイナスのイメージで使われることが多いですよね。しかし、この「水温む」からは、待ちかねた「春の到来」を感じます。

3.「東風」

最後は、「東風」です。「ひがしかぜ」「とうふう」とも読めますが、ここでは2文字で読んでください。何と読むでしょうか?

正解は、「こち」でした。「春、東から吹いてくる風」のことです。平安時代の政治家であった菅原道真が、ライバルの策略により、京の都から遠く離れた九州の大宰府に左遷されることになって詠んだという、次の和歌を耳にしたことはありませんか?
「東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな(菅原道真)」
意味:春になって東の風が吹いたならば、風にのせて香りを送ってくれ。梅の花よ、主人がいなくなったからと言って春になったのを忘れないでおくれ。
なお、「東から吹く風」をなぜ「こち」と言うのかは諸説あるようですが、道真の歌からさらに歴史をさかのぼる『万葉集』にも用例が見られる古い言葉なのです。

テレビのニュースや天気予報などで、「三寒四温」という四字熟語をよく耳にする季節となりました。手元の国語辞典では、「冬、寒い日が3日ほど続いた後、暖かい日が4日ほど続く気候が繰り返されること」とあるように、本来は「冬」の言葉(実は「冬の季語」)です。中国の東北部や朝鮮半島で顕著に見られる気候からきていますが、日本では、春先に暖かくなったかと思うとまた逆戻りして寒くなり、それを繰り返しながら、「本格的な春」になっていくという不安定な気候を表す言葉として使われることが多いようです。では、今回はこのへんで。

《参考文献》「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「新字源」(角川書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)/もっと1秒で読む漢字」(青春出版社)/「できる大人の漢字大全」(三笠書房)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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