トラッドスタイルになくてはならない「チルデンセーター」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.71】

出典：Pコートにスウェットパンツを合わせてオシャレなカジュアルコーデ【本日のFUDGE GIRL-1月22日】

連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第71回目は「チルデンセーター」のルーツを探ります。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし！

 

【用語解説】まずは「チルデンセーター」を知ろう。

出典：メンズサイズでいつもよりリラックス感を出して着る、チルデンセーター【マイスタンダードブック】

「チルデンセーター」とはおもに白のケーブル編みのセーターのことで、Ⅴネックの襟ぐりや裾などに紺や赤のストライプ柄が特徴です。別名「テニスセーター」とも言われています。

 

【歴史】プレー時にこのセーターを愛用したチルデン選手に由来

出典：デニムオンデニムを秋ムードにしてくれる、クリケットセーターを選んでみない？【FUDGE 11月号連動企画-セーターとジーンズがあれば……-No.004】

「チルデンセーター」の名はアメリカのテニスプレイヤーとして活躍した、ウィリアム・チルデンが愛用した、《ブルックスブラザーズ》のセーターに由来しています。

もともとは1900年代、イギリスで誕生した「クリケットセーター」と同義。そもそも大学生たちのために販売されたケーブル編みのセーターで、特にボート、テニスやクリケット（だから「クリケットセーター」なのですね！）などのスポーツをする学生たちに支持されていました。彼らは首回りのストライプのカラーを各学校や所属団体、チームなどのネクタイと合わせ、属性を誇示するかのように好んでお揃いで着ていたといいます。

その後、その「クリケットセーター」がアメリカに渡り、裕福な家系の学生や紳士、淑女の間で英国にならうスポーツウエアとして浸透。そのうち、くだんのウィリアム・チルデンが着用したことで、「チルデンセーター」という呼称が誕生したわけです。

 

【雑学】ロイヤル気分で着る、”ちょっとそこまで”スタイル

「チルデンセーター」のルーツが英国にあるならば、その着こなしはこの人にならうのがよさそう！ 明るめのストライプが入った「チルデンセーター」に洗いざらしのデニムパンツを合わせてお出かけしていた、故ダイアナ妃です。リラックス感のあるワンマイルスタイルにもかかわらず、英国トラッドらしいとも言えるきちんとした雰囲気がキープできるのは、「チルデンセーター」のおかげ。デニムパンツをきれいに履きたい時はぜひ彼女のスタイルを思い出してみては。

 

監修：朝日 真（あさひ しん）

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A