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「私が被害者だ!」と言ったもん勝ち…『ハラスメントハラスメント』がリアルに急増中?【不適切にもほどがある!】

  • 2024.3.27

『不適切にもほどがある!』9話で触れられたのは、「マタニティハラスメント=マタハラ」や「パワーハラスメント=パワハラ」の問題。妊活していることを無許可で公表された、と同僚に思い違いをされた渚(仲里依紗)の様子から、何か事が起こると「ハラスメントだ!」と決めてかかる「ハラスメントハラスメント」について考察する。

「ハラハラ」の実態

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金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第9話より (C)TBS

「ハラスメントハラスメント=ハラハラ」とは、個人の権利を侵害するような事象が発生すると、すぐにハラスメントに結びつける動きを指した言葉である。

もはや市民権を得ている「セクハラ」「パワハラ」「モラハラ」などに加え、昨今ではドラマ本編でも話題になった「マタハラ」、さらには「アルハラ(アルコールハラスメント)」や「ジェネハラ(ジェネレーションハラスメント)」などといったハラスメントも存在する。ここまでくると、もはやハラスメントに当てはまらない事象を挙げるほうが困難かもしれない。

ハラスメントハラスメント、といった言葉が登場した背景には、このようにさまざまなハラスメントが横行する(あるいは、可視化されるようになった)世の中を風刺する視点も感じられる。

また、意図していないにも関わらず「ハラスメントだ!」と指摘される場合もあるだろう。『不適切にもほどがある!』9話では、妊活をしている同僚のことを許可なく公表した、と疑いをかけられた渚が、思い悩むシーンがある。相手に配慮した言動が「パワハラ」と認識されるケースもあり、彼女の姿に自身を重ねた視聴者も多いのではないだろうか。

ハラスメントは受け手の問題?

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金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第9話より (C)TBS

さまざまなハラスメント問題について、まず慎重に考えなければならないのは、そもそも「どちらかが悪で、どちらかが善」という二項対立で捉えられやすい、ということ。この場合の注意点として、どちらか一方の言い分だけ聞いていると、第三者は少しずつ「話を聞いている目の前の相手」の意見が正しいと思い込みやすい現象が挙げられる。

たとえばセクハラやパワハラなどは、被害者の意見が正しいとされるハラスメントの代表例ではないだろうか。
言ってしまえばハラスメントは「私がハラスメントの被害者だ!」と名乗り出た者勝ちの世界だ、と捉えられても仕方のない側面がある。フラットな見方を保つには、やはりどちらか片方に肩入れしすぎず、双方の意見に等しく耳を傾けることだ。

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金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第9話より (C)TBS

『不適切にもほどがある!』9話において、渚が同僚に向けた「いないものとしてシフトを組んでおくから、来られたら顔を出して」といった発言も、パワハラと解釈されてしまう。しかし、発言の意図を勝手に咀嚼せず、一歩踏み入って確認すれば、相手を傷つけたり貶めたりするつもりはなかった、と理解が進むかもしれない。

「そんなつもりじゃなかった」が通用しないのもハラスメント界隈では掟の一つ。しかし、生きやすいのか生きづらいのかわからない世の中で、少しでも他者への配慮を怠らないようにするには、時間をかけ、言葉を尽くすしかない。



番組概要:TBS系 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』 毎週金曜よる10時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_