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2割近くが「恋愛はムダ」と回答…『ふてほど』から見る“タイパ重視”の落とし穴とは

  • 2024.3.26

昭和から平成、令和にかけての大きな変化は、インターネットやスマートフォン、SNSの台頭とともに語ることができる。意中の相手と直接連絡が取れるようになり、離れていても簡単にコミュニケーションできるようになり、マッチングアプリの登場で理想の相手を探しやすくもなった。『不適切にもほどがある!』9話で描かれた秋津(磯村勇斗)のマッチングアプリの使い方から、細分化される恋愛観について考察したい。

マッチングアプリで実現するタイパ&コスパ

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金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第9話より (C)TBS

秋津が勤める会社でリリースされたマッチングアプリ『Un-MAY(ウンメイ)』。いまいち伸びないセールスでユーザー獲得に苦戦している。社内モニターとして登録している、と明かす秋津によると、「ハイパー属性モードを導入したことで、タイパとコスパが他社より全然良い」のだとか。

年齢、性自認、最終学歴、職業や年収などを登録するのは、もはやマッチングアプリ界隈では常識。好きな焼肉の部位や好きなお茶、ラーメンの種類、お風呂で最初に洗う体の部位などを登録することでミスマッチを避けられるらしいが、少々やりすぎにも思える。この説明を聞いた渚(仲里依紗)が言うように「そこまでわかったらさ、マッチしても喋ることなくない?」なんてことになりそうだ。

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金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第9話より (C)TBS

相手の情報を何も知らない状態から、少しずつ会話を進めてお互いのことを知っていくよりも、マッチングアプリで事前にお互いの容姿や年齢、およその居住地、趣味嗜好などがわかっていれば、理想の恋人や結婚相手に出会える可能性も高くなるのだろう。

昭和の時代にはかかっていた時間や労力、金銭的負担が、令和では格段にショートカットできることになる。

実際、2023年12月に発表された調査「恋愛・結婚調査2023」(リクルートブライダル総研)では、20代男女の約40%近くが「結婚を意識する相手としか付き合わない」と回答。同じく20代男女の約20%近くが「恋愛は時間とお金の無駄である」と回答していることがわかっている。

マッチングアプリによって、的確に早く理想の相手と出会える可能性が高まった分、余計な労力は割きたくないと思うのが人間の心理なのかもしれない。恋愛に過度にお金をかけたくないと思うのも、恋愛に代わる娯楽や趣味が有り余っている時代の現れとも言える。

理想の相手を探しやすくなった婚活の弊害

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金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第9話より (C)TBS

マッチングアプリの進化によって、格段に「理想の相手」を探しやすくなった側面は、確かにメリットと言えるかもしれない。人によって、理想の相手に求める条件は多岐にわたる。アプリ上で事前に情報収集ができれば、早く核心をついたコミュニケーションができる。
しかし、年齢や学歴、職業や年収などで細かく分類されたマッチングアプリ上の“相手”は、画面を横にスワイプすればいくらでも現れる。この人は見た目がタイプだけれど、趣味は合わなそうだとか、この人は年齢が理想的だけれど、年収に不安があるだとか。

自分に合った理想の相手を探しやすくなる、ということは、裏を返せば次々と違う相手に出会えるということ。この人かもしれない、あの人かもしれないと選ぶ時間が長くなればなるほど、気づいたら何年も時間が経ってしまっていた……。そんなことが起こり得るのは、間違いなく令和における婚活の弊害と言える。

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金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第9話より (C)TBS

実際のところ、『不適切にもほどがある!』9話で描かれた秋津のマッチングアプリ事情も、決して好ましいものではなかった。一人の女性とマッチングして対面したが、メッセージのやりとりにおけるちょっとした違和感を理由に、関係が途切れてしまう

それも、目の前の相手ではなく、もっと別の良い相手がいるかもしれない、と思える“余白”がマッチングアプリには存在するからだろう。果たして、恋活や婚活におけるタイパ&コスパは、良くなったと言えるのだろうか。



番組概要:TBS系 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』 毎週金曜よる10時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_


データ引用元:結婚相談所マリーミーが出生率低下や現在の結婚に関する見解を発表