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“思い込み対策”、NGです。現代は【隠れ冷え症】に気づいていない人が多すぎる…?専門家に聞いた

  • 2024.3.6
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急な降雪に驚かされる日もありますが、次第に冬から春への移り変わりを感じさせられる今日この頃。「そろそろ、寒い時期の悩みだった冷え症ともお別れかな!」と、暖かくなるのを待ち遠しく思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし…実は「冷え症」に季節は関係ないってご存知でしょうか?実は一年を通して私たちの身体を苦しめる、とっても怖い症状なのだそう。

そこで今回は「そもそも冷え症っていったいなに?」といった基礎知識や、冷え症が引き起こす可能性のある怖〜い症状、そして冷え症を改善するための対策や得られる効果を、温活や漢方医学に詳しいイシハラクリニックの石原新菜先生に取材しました。

ただ「寒い」のと何が違う?そもそも冷え症とは?

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写真:PIXTA

大前提として…そもそも「ひえしょう」という言葉には、「冷え性」と「冷え症」という表記があります。

たとえば、下記の場合は冷え性が当てはまります。

・日頃手足が冷たくなりやすい
・普段から温かいものを飲んだほうがいいと感じている人

一方で、下記の場合は冷え症が当てはまります。

・冷えによって頭痛や生理痛など、具体的な弊害症状が起こっている状態

「要するに、症状の『症』がついた『冷え症』となると、冷えによって不快な症状が出ているという状態を指します。例えば、頭痛・肩こり・生理痛をはじめ、むくみ・便秘などです」と石原先生は言います。

「時代の変化に伴って、筋肉を動かさなくなる人が増えている現代では20〜30代の若い年代の冷え症も増えています」と石原先生は話します。

また、低体温で便秘がち、またむくみを感じるという人は「実は冷えが原因で起こっている可能性もあります」(石原先生)というように、自覚がないだけで既に「冷え症」になっているかもしれません。

冷え症が引き起こす症状

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写真:PIXTA

ひと口に「冷え症」と言っても、具体的な症状を把握している方は少ないかもしれません。実は、身体にまつわる様々なトラブルの原因になっている可能性も。

「冷え症」を原因として引き起こされる可能性のある症状は多岐に渡りますが、今回は特によくあるものをご紹介。

  1. 自己免疫機能の低下
  2. 生理不順やPMS(月経前症候群)の悪化
  3. 不眠
  4. 風邪をひきやすい
  5. うつ病やメンタルの不調
  6. 肩こりなどの痛み
  7. 便秘や下痢
  8. 太りやすく、痩せにくい

不眠については朝の3〜5時に中途覚醒することに悩まされる方が多いとのこと。また、ダイエットについては「体温が1度違うと代謝が13%変わってきます。太りやすいし痩せにくい体質になります」(石原先生)というように、ダイエットをしている方にとっては切実な症状を引き起こす可能性もあるんです。

冷え症のタイプは大きく分けて3種類!

「冷え症」は、大きく分けると3種類のタイプに分けることができます。それぞれ、

「末端冷え症」:手足の先が冷たい状態(軽症)
「下半身冷え症」:体の循環が悪く、下半身全体が冷えている状態
「内臓型冷え症」:冷えが内臓にまで響いている(重症)

です。この中で、「内臓型冷え症」は春夏にかけて増えていきます

それは、「現代の整いすぎた空調環境によって、クーラーなどで身体が冷える」「冷たい飲み物や食べ物が溢れていて、食べる習慣が多い」「夏バテは本来、暑くてバテるのが原因だったけど、現代の夏バテは温度変化についていけないことによるバテ」など…。昔に比べて快適・便利になった現代ならではの理由が挙げられます。

そのためか…実は「冷え症」って、現代では女性だけでなく男性にも患者が多いそうなんです。

女性の8割が冷え症!男性も無関係じゃないんです

リンナイ株式会社が行った調査によると「女性の8割は冷え症」とされていますが、現代では男女関係なく「冷え症」の人が増えています。

「いやいや、自分は冷え症じゃないはず…」と思われたそこのあなた!下記に挙げた、「隠れ冷え性」の人の特徴に心当たりはありませんか?

・汗っかき
・顔が熱くなる人
・便秘や下痢など消化器官に不調を抱える人
・明け方に目が覚めてしまう人

上記の特徴は、どれも一見「冷え症」とは無関係に見えるかもしれません。だからこそ、自分が「隠れ冷え症」であることに気づけない方も多いかも…。

もし心当たりがあれば、これからご紹介する「4つの温活」や「NG行為」を要チェック!あなたの身体を悩ます「冷え性」「冷え症」が改善するかもしれませんよ。

超重要!「4つの温活」

「超重要!」という文字を見て、「もしかして、結構ハードルが高いの…?」と不安になってしまった方もいらっしゃるかもしれません。

でも、大丈夫!これからご紹介する「4つの温活」は、どれも気軽に取り組めるものばかりなんですよ。ジムに通ったり、高額な商品を購入する必要もありません。きっと今日から実践できるものばかりです。

1. 「運動」

石原先生が「一番みんなやりたくなくて大変なんだけど…」と話すのは運動。全身の筋肉の7割は下半身についているので、お尻や太ももの筋肉を動かすのが一番効率が良いそうです。

先生のおすすめは、お風呂前のスクワット30回!

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写真:PIXTA

2. 「お風呂に必ず浸かる」

「シャワーだけじゃ身体は温まらないんです」と先生。41〜42度の湯船に10〜15分、汗が出るまで浸かるのがおすすめだそう。

「よくある勘違いが、半身浴で長く浸からなきゃ行けないと思うこと。温まったかどうかの目安は汗が出てきたタイミング。そこでやめてOKです」

3. 「寝る時まで、一日中腹巻きをする」

「ぜひやってほしい」と先生が語気を強めて話すのが「腹巻き」です。「特別に…ホラ!」とお腹の腹巻きまで見せてくれました。全ての臓器を健康に動かすには血流。血流を良くするには温めること。お腹を効率よく温めるには腹巻きがベストなのだそう。

ちなみに先生のおすすめは「ユニクロ ヒートテックウエストウォームショートパンツ」。冬の間に買いだめまでされているんだそうですよ。

4. 「食事にスパイスちょい足し習慣」

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写真:PIXTA

石原先生曰く「漢方薬の約7割には生姜が含まれている」んだそう。体を温めるスパイスとして、生姜の他にもネギやシナモン、胡椒などがあり、普段の食事に「ちょい足し」するのが◎。なかでも「ストレートティーに生姜を入れて朝飲むのが手軽でおすすめ」(石原先生)なんだとか。

やっちゃダメ!「冷え症」のNG行為

逆にやってしまいがちな「冷え症」を悪化させてしまう可能性があるNG行為の1つが、冷たいものを飲みすぎること。よっぽど身体が温まっていない限りは水を飲むなら常温以上を心がけましょう。

また、代謝をよくするためといって、水分をとりすぎるのもNG行為。余分な水分が身体の中に溜まってしまい、却ってむくみなどを引き起こす可能性があります。

そして実は、「冷え症」の予防・改善のために行っているはずの対策が、実はNG行為のケースもあるんです。

1. 寝る時にきつめの靴下を履く

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写真:PIXTA

血の流れが悪くなり、結果的に温かさが体に循環しない状態になってしまいます。足の裏から汗をかきやすい人は特に注意!汗が蒸発してしまいさらに冷えてしまいます。

2. 38度〜40度の半身浴

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写真:PIXTA

いくら長時間浸かっていても、身体を温めるにはこの温度では低いのだそう。前述の通り41度〜42度が最適温度です!

4. 熱すぎる入浴

反対に、熱すぎる温度での入浴もNG!我慢しないとしばらく浸かっていられないので、体内が温まるまで入っていられません。
また、肌の乾燥や火傷にもつながるので避けた方が良いでしょう。

靴下を履いたりお風呂に入ることは、気軽に取り組みやすいため「冷え症」の予防・改善のために取り組んでいた方もいらっしゃると思います。しかし、やり方を間違えてしまうと効果がなかったり、かえって悪影響になることも…。

NG行為や冷え症が引き起こす症状に心当たりがある方は、ぜひ「4つの温活」を試してみてくださいね!


監修:イシハラクリニック 副院長 石原新菜先生

2006年3月帝京大学医学部卒。同大学病院で2年間の研修医を経て、父・石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。

​​クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書は 13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』、『研修医ニーナの731日』” 等70冊を数える。監修した書籍を含めると100冊を超え、韓国、香港、台湾、ベトナムでも翻訳され出版されている。

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参考:リンナイ株式会社「【熱と暮らし通信】「冬場の冷えと暖房事情」に関する意識調査」(2017年)

※記事内の画像はイメージです