1. トップ
  2. 恋愛
  3. 光や陰にエロスを滲ませる中国、リアルな表現を追求する台湾…中華圏の官能作品6選

光や陰にエロスを滲ませる中国、リアルな表現を追求する台湾…中華圏の官能作品6選

  • 2024.2.20

世界的な影響力を持つ、アジア作品の官能の美学。ここでは、’90年代から活躍するウォン・カーウァイ監督を輩出した、中華圏のお薦め作品をご紹介します。

【中華】直接的、非直接的に、魅了する官能。

ウォン・カーウァイ監督を輩出した中華圏は、いわばアジアの官能表現のルーツともいえるエリア。

「そもそも中国の性文化自体は何千年もかけて深化を遂げてきましたが、現在は規制が厳しく直接的な表現には制限が。それにより、映像の光と影や小道具にエロスを滲ませる独自の手法が発展する結果に。台湾作品では性描写を含めてリアルな表現を追求していたりと、さまざまな官能の世界を楽しめます」(ライター、中国語翻訳者・沢井メグさん)

美と色気で敵を惑わす暗殺者の妖艶な手管に注目。 【DRAMA】『晩媚と影~紅きロマンス~』

女刺客と彼女を支える護衛の間の愛を切なく綴った恋愛史劇。「ヒロインも魅力的ですが、個人的には清純な役柄が多かったパフ・クオがセクシーな暗殺者を演じている点がツボ。腕の刺青を利用して敵を攻撃したり男性を誘惑したりと、艶っぽさを遺憾なく発揮しています。原作の際どいシーンは大幅に削られているものの、近年のドラマの中では表現に対して挑戦的な作品」(沢井さん)。〈シンプルBOX 5,000円シリーズ〉DVD‐BOX 1・2 各¥5,500
提供:エスピーオー/BS12 トゥエルビ
発売・販売元:エスピーオー ©Media Caravan Ltd.

緩やかに流れる時間が生み出す、静謐なエロス。 【DRAMA】『夏花』

美容室で髪を洗ってくれた年上男性に心を奪われた病弱な美少女の恋と成長を描く。「冒頭に出てくる、長い髪を洗うシーンがとにかく官能的。手の動きや水の音、ほの暗いシャンプー台に差し込む光までが行為のエロスを際立たせます。寡黙な男性を演じるジェリー・イェンは、台湾版『花より男子』に出演していた華流の元祖ともいえる俳優。年齢を重ねても色っぽさを保っていて、ただのタンクトップ姿でも断然セクシー」。DVD‐SET 1・2 各¥16,500
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント ©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

女性への憧憬とフェティシズムをギュッと凝縮。 【MOVIE】『若き仕立屋の恋 Long Version』

オムニバス映画『愛の神、エロス』内の一編のロングバージョン。「コン・リー演じる高級娼婦に魅了され全ての情欲を彼女のドレス作りに投じた仕立屋見習いの青年の話なのですが、そもそもチャイナドレス自体がかなり色っぽいですよね。女性が持つ曲線を美しく見せるデザインで、体に触れるか触れないかの採寸作業もすごく淫靡。ストーリー自体はシンプルだからこそ、ウォン・カーウァイ監督のフェティシズムが前面に出た作品だと思います」
配給:TCエンタテインメント ©2004 BLOCK 2 PICTURES INC. ©2019 JET TONE CONTENTS INC. ALL RIGHTS RESERVED

慰めいたわりながら体を交わす姿にリアリティが宿る。 【DRAMA】『此の時、この瞬間に』

コロナ禍の様々な恋を描いた台湾発のオムニバスドラマ。「7話の『軽井沢の約束』は、パートナーの不倫を暴きに行った二人が現場で出会い、彼らも男女の関係に…というお話。2組のベッドシーンを同時に映す場面では、不倫カップルがただ肉欲にまみれているのに対し、浮気された二人は互いの傷を舐め合い、次第に優しい気持ちを抱いていく様子が映し出されます。その営みの対比がとても官能的で、リアルを追求する台湾ドラマらしさを感じました」
Netflixシリーズ『此の時、この瞬間に』独占配信中

妖しい緊張感が漂う麻雀シーンの艶っぽさは白眉。 【MOVIE】『ラスト、コーション』

日本占領下の上海を舞台に、日本側の特務機関員の男と女スパイの禁断の愛を描く。「ヒロインのタン・ウェイがほぼ新人の時の作品で、純朴さを残した彼女が激しいベッドシーンを演じている点が衝撃度に拍車をかけました。個人的に色っぽさを感じるのは、肉体関係を持つ二人と男の正妻の麻雀シーン。シーツを思わせる布の上で美しい手が牌をつまむ妖しさにそれぞれの思惑が加わり、独特な緊張感が漂うエロティックな戦いに」。Blu‐ray¥5,170
発売元:フライングドッグ 販売元:ビクターエンタテインメント ©2007 HAISHANG FILMS

ままならない葛藤やすれ違いが官能を際立たせる。 【MOVIE】『君の心に刻んだ名前』

舞台は1987年の台湾。カトリック系の高校に通う2人の青年が惹かれ合い、葛藤する姿を見つめたラブストーリー。「台湾はLGBTQフレンドリーな印象がありますが、当時は同性愛に対する強い偏見が残っていた時代。そんな背景がある中、彼らが一緒にシャワーを浴びるシーンがあるんです。二人だけの隔絶された空間でようやく気持ちをぶつけ合えた心情的な高まりと、洗い合う行為による肉体的な反応が混じり合い、とても官能的な場面になっています」
Netflix映画『君の心に刻んだ名前』独占配信中

エドワード・チェン(陳昊森)
恋する苦悩を演じ切る憂いを湛えた瞳がセクシー。

映画『君の心に刻んだ名前』で同性に惹かれる高校生を演じブレイクを果たしたエドワード・チェン。「どこか寂しげな瞳が色っぽく、葛藤を演じさせたら天下一品。ドラマ『美男魚(マーメイド)サウナ ~魂になし~』ではコメディも見事にこなし、役者としての幅を感じます。スポーツで鍛えたという均整のとれた体格も素晴らしい」
©VCG/gettyimages

沢井メグさん ライター、中国語翻訳者。中国&台湾で話題のニュースやカルチャー記事の翻訳編集のほか、自ら現地に赴いて取材を行いコラムの寄稿をすることも。華流ドラマウォッチャーでもある。

※『anan』2024年2月21日号より。文・真島絵麻里

(by anan編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる