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年齢の節目を迎える「不安」と向き合うためのアドバイス。

  • 2024.2.19

節目に差し掛かるたびに我々は自問し、心を揺さぶられ、変わっていく。変わり目を飛躍に変えるためのプロの見解は?

30歳、40歳、50歳...節目の度にわれわれは自問自答し、心を揺さぶられ、変わっていくのだ。photography: Justin Paget/Getty Images

これは数字が持つ力なのだろうか?10の位が変わる誕生日に、自分の年齢もセルフイメージもひっかき回される。

「まるで人生の新たなチャプターを開こうとしているような気分ですよね」と臨床心理士のジョアンナ・ロゼンブルムは言う。著書『Déconditionnez-vous ! 』(編集部註:邦訳は『コンディションを整える!』、Le Courrier du Livre出版。日本未発表)の作者でもある彼女によれば、この大きな節目を好奇心と自信を持って楽観的に迎える人がいる一方で、すでに成し遂げられているべき(と自分で思っている)ことが未解決のため、つまずいてしまう人もいるそうだ。

「この悩みのせいで前に進めなくなるのです。殻に閉じこもって、くよくよ考え込んでしまう傾向を乗り越えるには、生きがいを見出し、答えを見つける必要があります」

セラピストのロラン・ユズによれば、人生には大小さまざまなサイクルがあり、試練を乗り越えることで次のステップに進めるのだという。心の成長とともに人生の意味を見失うこともある。「人は人生の転換期のたびに、恐怖や自分の限界に直面します。新しいものに対するエネルギーの糧になる決断ができるか、あるいは停滞状態にとどまる決断をしてしまうのかは、各人の感情の成熟度によって変わってきます。自信と自己肯定感を育むことで常に自分をダイナミックな成長過程に置くことができるようになります」

社会の定説を疑う。

悩みはまた別の要因、誰もが少なからず影響されてしまう社会的な要求によって生じている場合もある。仕事、結婚、出産...「社会は30歳、40歳、50歳のあるべき姿の規範をつくっています。そしてそれは常に変化しています」と『L'Art du questionnement. En thérapie et en accompagnement 』(編集部註:邦訳は『質問の技術:セラピーとサポート』、Interéditions出版。日本未発表)の著者でもある彼は指摘する。

たとえば1970年代は、平均的に25歳で子どもをもうけていた。最近は29歳が平均だ。「30歳なのにまだ独身で子どもがいない」と、人生の挫折を訴える患者もいます」とジョアンナ・ロゼンブルムは言う。われわれを閉じ込め、自分を無能だと思わせる定説は、実はわれわれの親の世代の夢に過ぎないかもしれないと疑問視することができれば、心は上向くはずだ。

心が乱れることなく節目を乗り越えるには、それについて話すことが必要だ、とカウンセラーはアドバイスする。もし周りの人と話すのが難しければ、プロに頼ってほしいと言う。「決断を下すことによって、堂々巡りしたり、落ち込んだり、自分を追い詰めたりする不毛な思考の先に進むことができるようになります」と専門家は続ける。

また、一つの事案が落ち着くのを待つ間に、別の新たなプロジェクトに取りかかって、人生を押し進めていくこともできる。『Oser transformer sa vie à 30, 40 ou 50 ans ! 』(編集部註:邦訳『30代、40代、50代で人生を変える勇気を!』、Eyrolles出版。日本未発表)の著者であり、コーチングや生涯教育の専門家であるパスカル・ド=ロマによれば、堂々巡りしてしまう時は......急がば回れ!

「節目を迎えると、心の動きが加速します。質問が次から次へと脳裏をよぎる。すぐに解決せねばと思ったときこそ、変化は思うよりも時間がかかるものだということを思い出してください」

このような過程は節目の1、2年前に現れ、その後も続く。それは実は何か新しいことを試してみたいという気持ちに突き動かされているのだ。時の経過とともに経験したものがわれわれを形づくっていく、自分が変わったと感じる故だ。

さらにコーチングの専門家は言う。漠然とした思いは、プレッシャーを掛けずにそのまま自分の中で熟成するのを待ってあげるのがいい、と。成長は時に煩わしいものだ。「落ち込むことがあるのはごく自然なこと。うつ病になったわけではありません。人生は常に輝かしいものではないのです」

新しい夢を持つ。

要は、少し手綱を緩めることが必要だということ。それが難しいのだが......。

西洋では、物事の変化を受け入れるよりも、人生をどうナビゲートするか(ナビゲートできるという幻想の場合もある)に集中する傾向がある。「すべてをコントロールできるような印象を与える自己啓発本には要注意。選択の責任の重さはさらなるストレスとなります。われわれには不要になったものを手放すというストレスがすでに課されているのに」とパスカル・ド=ロマは指摘する。

新たな夢(や新たな自分)を見つけるために現状の分析が必要だと感じる人は、短期間のセラピーやコーチングを受けると有効だ。

「セラピーは変化の手助けをしてくれますが、必ずしも誰もが必要とするものではありません。自分へのプレゼント、自分への思いやりの行為と考えてもいいのです」とコーチはセラピーに対するハードルを下げる。

日常のマンネリを壊してくれる体験などもいい。一人で長い旅に出てみたり、ファスティングをしてみたり、ハイキングに出かけたり......同時にリスクとの関わりについて考えてみることを彼女は提案する。現代の社会はリスクに対してあまり肯定的ではないのだ。「たとえばハンググライダーに挑戦してみるのは素晴らしいと思われるのに、仕事や伴侶が変わるのはそう思われないのですよね」

間違いを起こしてしまう恐れに対する彼女の答えはこうだ。間違った選択などない。選択に良し悪しがあるなんて錯覚だ。結果は選択した後にしか判明しないから。

「別のオプションの方が良かったのか、悪かったのかを証明することは不可能です。選択こそがわれわれをつくり、そしてわれわれはいつでも新しい選択ができるのです」と彼女は安心させてくれる。

そして、別に30歳、40歳、50歳で変わらなくてもいい。いつでも、徐々に変わっていけばいいのだ。自分の前に起きたことを受け入れるためには、準備ができていなければ感じるのは難しいのだ。

年齢ごとのアドバイス。

コーチングの父と言われているアメリカ人のフレデリック・ハドソンによると、人生には年齢に沿ったいくつかの段階があるそうだ。それぞれに伴う壁や解決するための鍵がある。 

30代:自分の選んだ道に自信を持つ。

課題:キャリア、社会的地位......「この年齢ですでに30代という枠に押し込められ、いくつかの扉が閉ざされます」とセラピストのロラン・ユズは指摘する。自分が選んだ仕事の方向性を間違えてしまったと感じる人や、仕事やカップル、幼い子どもの要求と衝突する人もいる。いままでにはなかったタイプの制限だ。

30代の壁を乗り越えるには:自分の価値観や人生計画を明確にし、自身のアイデンティティの形成を続けていくこと。自己肯定感と自信を強化すること。得意とする分野を更に伸ばしていくこと。

40代:いまこそが最後のチャンス!

課題:離婚、別の仕事への熱望......つまり、ミッドライフ・クライシス!私は幸せなのか?自分に合った選択をしたのか?「ここに来る35歳以降の患者さんは根本的な問い直しをする傾向にあります」とロラン・ユズは観察する。自分がより自分であると感じ、人の目をそれほど必要としなくなった。感情的に成熟した分、それまで下してきた選択が本当に自分の意思によるものだったのが気になってくる。

40代の壁を乗り越えるには:人生の総まとめをして、優先事項を一から見直すことで人生の意味を再発見しよう。

50代:実の収穫。

課題:子どもは家を巣立ったか、その間近。よって、自分のための時間が増える。仕事面では窓際族になりやすく、解雇されやすい。いまこそ、より自分に合ったキャリアを始める時だ。

50代の壁を乗り越えるには:意思表示を上手にできるようになる、自分の専門性に自信を持つ、自分が喜ぶことを自分に許す。

60代:再生にバンザイ!

課題:自分がもう歳だと感じている人もいる。習慣の居心地の良さに気を付けよう。成長のベクトルを、停滞モードに変えてしまうかもしれないからだ。

60代の壁をよりソフトなものにするには:ポジティブに生き、いままで自分が成し遂げてきたことを賞賛しよう!"定年退職"という捉え方はやめて、今までとは違う自分をどう作っていくのか、より自分らしい人生をどう構築するかに思いを巡らせよう。

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