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【南青山】根津美術館 企画展「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画「謎解き奥高麗茶碗」

  • 2024.2.19
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清らかさと素朴さ、朝鮮陶磁の静かな魅力&奥高麗茶碗の謎

根津美術館で開催中の企画展「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画「謎解き奥高麗茶碗」[2024年2月10日(土)~3月26日(火)]を見て来ました。 日本でも愛好されて来た朝鮮陶磁の流れを概観するが並ぶ企画展「魅惑の朝鮮陶磁」。清らかな美しさ、素朴で静かな味わいに心和む作品が並びます。 今回「唐津焼の茶の湯の茶碗」として特別企画「謎解き奥高麗茶碗」と合わせて楽しめる展覧会です。

 

出典:リビング東京Web

根津美術館

※特別な許可を得て撮影しています。展示室内は撮影禁止です。

日本の茶人に愛された高麗茶碗、朝鮮陶磁とは

企画展「魅惑の朝鮮陶磁」の会場では、朝鮮半島の各王朝時代に発展して来た焼成の技法による陶磁器が時代ごとに分かりやすく展示されていました。 高麗時代(918~1392)に誕生した深い灰青色に発色した清らかな青磁(せいじ)。朝鮮王朝成立後(1392年~)に展開した「青磁象嵌(せいじぞうがん)」の技術をもとにした粉青(ふんせい)。 14世紀末には中国に続き硬質白磁(こうしつはくじ)の焼成に成功、15世紀以降、儒教(じゅきょう)の統治理念と共に清廉な白磁(はくじ)が陶器の主流に。 日本にも愛好家が多い朝鮮陶磁。朝鮮半島と日本との交流は古く、旧石器時代(約2万数千年前)までさかのぼるそうです。5世紀には陶質土器の技術がもたらされ須恵器が生まれます。 16・17世紀、日本の茶人たちに人気が出た高麗茶碗(こうらいちゃわん)の名品優品も並びます。釜山窯では日本からの注文で作られた茶碗もありました。 特別企画「謎解き奥高麗茶碗」では、高麗茶碗を写して九州肥前地方で焼かれた「唐津焼の茶の湯の茶碗」の魅力と謎解きにも迫ります。

 

出典:リビング東京Web

企画展「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画「謎解き奥高麗茶碗」展示風景 根津美術館蔵

企画展「魅惑の朝鮮陶磁」

重文《青磁陽刻蓮華唐草文浄瓶(せいじようこくれんげからくさもんじょうへい)》の透明感のある青

清浄な水を入れるための仏具だった重要文化財《青磁陽刻蓮華唐草文浄瓶》。 「翡色(ひしょく)」と呼ばれる高麗時代の仏に捧げる最高峰の青磁。蓮華唐草文様が細やかに片切彫りで表されています。

 

出典:リビング東京Web

重要文化財 青磁陽刻蓮華唐草文浄瓶 朝鮮・高麗時代 12世紀 根津美術館蔵

牡丹文様が可愛らしい《粉青象嵌牡丹文厨子(ふんせいぞうがんぼたんもんずし)》

仏像を安置する厨子で、牡丹文は白土を埋め込む象嵌(ぞうがん)技法で表されているそうです。 おおらかな牡丹文で装飾された扉。大切なものをしまっておく宝石箱を思わせる可愛らしさ。 今は失われていますが、安置されていた仏像も小さくて可愛らしいものだったかもしれません。 仏教への信仰が身近な生活の中にあったことを感じさせてくれる厨子です。

 

出典:リビング東京Web

粉青象嵌牡丹文厨子 朝鮮・朝鮮時代 15世紀 根津美術館蔵

3代将軍・徳川家光(とくがわいえみつ)が描いた鶴《御本立鶴茶碗(ごほんたちつるちゃわん)》

釉薬のかけ残しを土坡(どは)として、水辺に立つ鶴に見立てた風景。 3代将軍・徳川家光が描いた鶴の下絵を、小堀遠州(こぼりえんしゅう)が釜山に対馬藩が作った窯に注文して作らせたと伝わる茶碗だそうです。

 

出典:リビング東京Web

御本立鶴茶碗 釡山 倭館窯 朝鮮・朝鮮時代 17世紀 根津美術館蔵

特別企画「謎解き奥高麗茶碗(おくごうらいちゃわん)」

奥高麗茶碗とは、九州肥前地方、現在の佐賀県唐津市周辺で焼かれた、朝鮮の高麗茶碗を写した茶碗のことです。 江戸時代後期の茶会記や、大名茶人・松平不昧(まつだいらふまい)の『雲州蔵帳(うんしゅうくらちょう)』にも今回展示された「深山路」が出て来るそうです。 なぜ奥高麗茶碗と称されたのか、どの窯でいつ頃焼かれたのか、どのような茶碗が奥高麗茶碗なのか謎が多いそうです。 草創期から展開、完成期、定型化された後期の奥高麗茶碗まで「唐津焼の茶の茶碗」として見ていくことで謎解きを楽しむことが出来ました。

朝鮮半島渡来の陶工による草創期の《奥高麗茶碗》

朝鮮半島から渡来した陶工が作ったとされる《奥高麗茶碗》(右)。その特徴から高麗茶碗の祖型とされる「熊川(こもがい)」と称されている茶碗に似ていると言われています。 口縁が外反し、腰の部分は厚く、釉薬が何回も掛けられて、高台内に独特の削りが見られるそうです。 秀吉(ひでよし)の朝鮮出兵(ちょうせんしゅっぺい)、文禄・慶長の役(ぶんろく・けいちょうのえき)(1592年~1593年、1597年~1598年)で、唐津の名護屋城に布陣していた古田織部(ふるたおりべ)と唐津焼との関わりを思わせる書状も残っているそうです。 奥高麗茶碗が作られたのは1600年から20年間ほどの短い期間でした。展示では、奥高麗茶碗の変遷をたどることが出来ました。 「茶の湯の茶碗」として特別に作られた奥高麗茶碗。高麗茶碗の素朴な美しさを求めて日本でも作り出そうと生まれたことは確かなようです。

 

出典:リビング東京Web

奥高麗茶碗 唐津 瀬戸唐津(本手瀬戸唐津) 日本・桃山〜江戸時代 16〜17世紀 個人蔵、奥高麗茶碗 銘 二見 唐津 瀬戸唐津(本手瀬戸唐津) 日本・桃山〜江戸時代 16〜17世紀 個人蔵

同時開催 ひな人形と百椿図(ひゃくちんず)

展示室5では、ひな人形と百椿図の展示。春の訪れを告げる華やかなひな飾りです。 内裏雛(だいりびな)と雛道具(ひなどうぐ)が並ぶ展示会場の両側に《百椿図》が華やかに広げられていました。 内裏雛は京の公家装束(くげしょうぞく)を忠実に再現、ミニチュアのように精巧な雛道具は江戸の伝統的な細工の技。京の雅と江戸の粋をあわせた明治時代の内裏雛です。

 

出典:リビング東京Web

内裏雛 日本・明治時代 19世紀 竹田恆正氏寄贈 根津美術館蔵

 

出典:リビング東京Web

百椿図 伝狩野山楽筆 日本・江戸時代 17世紀茂木克己氏寄託 根津美術館蔵

春の茶の湯―釣り釜―

展示室6では、茶室の天井からつるされた《雲龍釡(うんりゅうがま)》が目を引きます。日に日に暖かさが増して行く春は、釜をつるす「釣り釜」が好まれるとか。 茶室にも春の訪れを感じさせる茶道具取り合わせです。

 

出典:リビング東京Web

雲龍釡 京都 鉄 日本・江戸時代 17世紀、他、季節の茶道具取り合わせ 根津美術館蔵

朝鮮陶磁の魅力を再発見

根津美術館 企画展「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画「謎解き奥高麗茶碗」は、3月26日(火)まで開催。 透明感のある青磁。温かみのある白磁。お茶の緑も映える高麗茶碗は、素朴な味わいの癒しの一服に。奥高麗茶碗の謎解きはまだまだ続きそう。 朝鮮陶磁の魅力を再発見できる展覧会です。春めいて暖かい日も多くなる季節、庭園もゆったり散歩が出来そうです。 是非お出かけください。

 

出典:リビング東京Web

企画展「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画「謎解き奥高麗茶碗」展示風景 根津美術館

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、和綴じのちぎれるメモ帖(330円)、大津絵付箋 鷹匠(550円)、懐紙 梅図(500円)を購入。 和綴じのちぎれるメモ帖は春らしい図柄の表紙で、ページがちぎれるので便利です。 奥高麗茶碗の魅力と謎にもっと迫れる新刊図録『謎解き奥高麗茶碗』(1,500円)もオススメです。

 

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 根津美術館

 

出典:リビング東京Web

図録『謎解き奥高麗茶碗』 編集 根津美術館学芸部 発行 根津美術館

〇根津美術館 NEZU MUSEUM URL:https://www.nezu-muse.or.jp/ 住所:〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1 TEL:03-3400-2536 開館時間:午前10時~午後5時(入館はいずれも閉館30分前まで) 休館日:毎週月曜日 展示室 / ミュージアムショップ /庭園 / NEZUCAFÉ

〇交通:地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線〈表参道〉駅下車 A5出口(階段)より徒歩8分、B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分、B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分 都バス渋88 渋谷~新橋駅前行〈南青山6丁目〉駅下車 徒歩5分 駐車場:9台(うち身障者優先駐車場1台)

〇企画展「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画「謎解き奥高麗茶碗」 会期:2024年2月10 日(土)~3月26日(火) ※オンライン日時指定予約制です。 入場料:一般1300円、学生1000円 *障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料 ・当日券(一般 1‚400 円、学生 1,100円)も販売しています。 ※ご予約の方を優先していますので、当日券の方は少々お待ちいただくことがあります。混雑状況によっては当日券を販売しないことがあります。) ・1グループ 10名まで予約可能。

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