1. トップ
  2. ファッション
  3. 【吉田羊さんの着物と12のアソビゴコロ】 第7回 小物でアソブ

【吉田羊さんの着物と12のアソビゴコロ】 第7回 小物でアソブ

  • 2024.2.19

アンティーク着物を愛する吉田羊さんが、四季折々に着物のおしゃれを楽しむ様子を撮り尽くしたフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)を発売。その至極の着こなしの数々から、「着物で遊ぶ」をテーマに切り取ったアソビゴコロあふれる着物語りを12か月にわたって綴っていきます。第7回で遊ぶのは「小物」。

こんにちは、吉田羊です。
着物スタイルだからこその「アソビゴコロ」をお伝えする連載です。
さて、今回のテーマは「小物」。
帯、帯締め、帯留め、帯揚げ、半衿、足袋、草履ーー。
着るための手数が多いからこそ、それだけ小物で遊ぶポイントがあるということ。
組み合わせ次第で何通りもの装いが楽しめるのも、着物ならでは!

小物はコーディネート力を鍛えてくれる。

着物は洋服と違って、着付けるために必要な小物がいくつもあります。洋服の場合は、「絶対にネックレスをつけなければならない」というわけではないですよね。でも着物の場合、たとえば、お太鼓結びをするなら帯締めが必要になる。帯締めをしたら帯留めをした方が引き締まる。小物が多いことが必然なんですね。
 
それを「大変だ」と思ったらそれまでですが、私は「自分の個性の出しどころがいっぱい!(嬉)」と考えます。普段着として着るアンティーク着物は、自由な発想で合わせる小物を考えられるのがいいところ。草履じゃなくてパンプス、帯締めの代わりにベルト、帯留めの代わりにブローチを合わせたっていい。おしゃれのコーディネート力を上げたいなら、間違いなく着物スタイル! なんです。

ソックス&パンプスで遊んで。

カジュアルな気分で昼間の路地裏を散策したくて、「ワンピースのように」をテーマに。着物を短めに着付けして、足元のソックスとパンプスでアソビました。さらにベレー帽、ブラウス、斜めがけバッグを合わせて、徹底的に「洋」のイメージに。足元の効果でまさにワンピースを着ているようにも見えるから、着物ビギナーにもおすすめのスタイルです。帯締めは着物に合わせて黄色の分量が多くなるように結んだのもポイント。

ベルトにブーツにカンカン帽。 小物で世界観を作る。

お気に入りの「GUCCI」のワンピースを着物で表現したらどうなる?をテーマに考えたコーディネート。帯締めの代わりに「GUCCI」のベルトを締めました。狐のバックルがまるで帯留めのようにも見えるでしょ? ブランドカラーである緑×赤をベルトで印象づけることで、着物の柄の緑と赤も際立ってくるから不思議。ベルトの色が紺×赤なら、着物の青と赤の方が浮き上がってくるんです。それくらい帯締めと着物の色は呼応するんですね。着物の裄丈が足りない部分は、中にブラウスを着ることでカバー。クシュクシュッとした衿は半衿代わりに。ブーツとカンカン帽で全体を洋装イメージにまとめています。

連想ゲームのように、小物遊びを。

このコーディネート、実はポイントは木彫りの亀の帯留め。
 
え? なんでと思ったそこのあなた、その答えは後ろ姿にあるんです。帯に描かれたウサギの刺繍。ぴょんぴょんと跳ねるウサギ、まさに「ウサギと亀」のお話のように、亀に抜きつ抜かれつの兎と見立てたら面白いのではないか? そんな発想で小物で遊んでみました。夏祭りの賑やかさに負けないカラフルな着物を選んだので、藍色の夏帯が引き締め役にもなっています。

和の小物だけでなく、ネックレスやイヤリングはもちろん、ブレスレットや時計、スカーフや手袋、メガネ……。小物合わせで、着物一着から生まれるコーディネートは無限大。まさにこれって、私が憧れるパリジェンヌの考え方に通ずると思っていて。工夫と知恵が発揮できる着物スタイルは、人生をよりカラフルにしてくれる気がします。

キモノ語り:Yoh Yoshida edit & text:Masaki Takeda(mineO-sha)
photograph:Emiko Tennichi、Kayoco Asai、Yuki Kosuge & Koji Fujii
 
※人物カットはフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)から
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる