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「サレ夫」「サレ妻」SNSでつながる当事者たち…悩みや相談事もシェア、その実態に迫る

  • 2024.2.18
「サレ夫」「サレ妻」とは?
「サレ夫」「サレ妻」とは?

近年SNSなどでよく見掛ける「サレ夫」「サレ妻」というワードをご存じでしょうか。サレ夫・サレ妻たちが形成するコミュニティーもSNS上で散見され、当事者たちにしか分からない内情や思いを交わし合っています。

浮気・不倫された悲しみやつらさを分かち合い

SNS上などでよく見掛けるようになった「サレ夫」「サレ妻」を名乗るアカウント。この「サレ」とは、既婚者がパートナーに「浮気された」ことを意味します。つまり、パートナーに浮気・不倫された経験がある既婚者の男女を「サレ夫」「サレ妻」と呼びます。

また、既婚者にも関わらず別の相手と浮気をしてしまった男女が「シタ夫」「シタ妻」を名乗ることも。

SNSアカウント名の横に「@サレ夫」のように表記することで、自分がどのような立場にあるかを示すのが一般的です。

浮気をされたことへの怒りの発散や悲しみの共有を目的にサレ夫・サレ妻としてのSNSアカウントを作成、発信を行う人は2018年頃から見られ始めました。2024年現在、X(旧ツイッター)上にはアカウント名に「サレ夫」が付いたユーザーが多数存在し、その数を把握できないほど。

もちろん、サレ夫がいるということはシタ妻がいて、その逆もしかり……ということになります。

既婚者向けマッチングアプリを活用して既婚者の男女が気軽に出会えるようになったことなどを背景に、浮気へのハードルを感じづらくなっている人もいると推察されます。

また職場・仕事での接点から既婚者同士の浮気に発展するケースも今なお多いようで、サレ夫・サレ妻のアカウントのタイムラインをのぞいて見ると、パートナーが職場の上司や同僚、取引先の関係にあった人と浮気していたといった展開は多く見受けられます。

SNSで体験を発信…コミュニティーをつくる意味とは

当事者たちがコミュニティーで語り合うこととは
当事者たちがコミュニティーで語り合うこととは

サレ夫・サレ妻という立場でSNS発信し、現状や体験をリポートするケースは増えており、それに対して同じ境遇にいる別のユーザーが「いいね」やリプライ(返信)を送るなど、一種のコミュニティーを形成しています。

各アカウントは基本的には匿名。プロフィール欄にいつから浮気をされたのか、夫婦間の子供の有無、離婚調停中や別居中などの現状などを記載します。当事者同士は互いにアカウントをフォローし合い、ときに相談や愚痴だけでなく朝晩のあいさつを交わすなど、友情と取れる関係を築いているのも特徴です。

浮気されるに至った経緯や浮気がバレた瞬間、その後の夫婦の会話などを逐一発信することで共感を得たり、意見を求めたりすることで互いを慰め合い、同じ境遇同士の結束を高めている様子がうかがえます。

パートナーと浮気相手を交えて行われた話し合いの結果や、子どもの親権を得るために必要な準備や知識など、コミュニティー内で行き交う情報の内容はさまざま。少なくとも、サレ夫・サレ妻の心の支えになっていることは間違いないでしょう。

離婚か、関係修復か…悩む当事者を支える“仲間”たち

同じコミュニティーにいながらも、浮気された後にどのような決断をするかは個々人によって異なるようです。すなわち、誰もが即離婚を選択するわけでは必ずしもないのです。

離婚に向けて行動する人もいれば、再構築を目指す人もいます。サレ夫・サレ妻も、シタ夫・シタ妻のことを嫌いになったり恨んだりする人ばかりではないというのは留意すべき点でもあります。

浮気されていたと分かった瞬間は怒りや悲しさを感じる人がほとんどのようですが、時間の経過とともに気持ちが整理がされ、「どうしてパートーナーは浮気をしたのか?」「家庭に対して不満があるなら、もっと早く気づいてあげればよかった」などと考えるようになり、夫婦関係の再構築を目指すパターンも珍しくありません。

そんな心の葛藤や、関係修復の途上で起こるモヤモヤなどを吐き出したり、うまく再構築をしていく方法を情報収集したりする目的でも、サレ夫・サレ妻にとってSNSは有益な役割を担っていると言えるでしょう。

またサレ夫・サレ妻は、離婚したら終わり、再構築できたら終わりとはならず、「浮気された」という事実が長く当事者を苦しめることになります。すでに離婚したサレ経験者が、その後の気持ちの変化などを発信し続けている様子も見受けられます。

家庭内の問題は、赤裸々に相談できる相手が限られるからこそ、当事者の悩みをより深刻なものにします。顔も名前も明かさないまま同じ経験を持つ人たちに話を聞いてもらえるコミュニティーは、少しでも気持ちを前向きにするために欠かせない存在となりつつあるようです。

(ゆき)

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