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グループ内失恋を乗り越えるには……「韓国ドラマな恋がしたい」に学ぶ

  • 2024.2.16

夢見るような展開のドラマを見ても、近頃はなんだかむなしい。だって現実にはこんなすてきなこと起こらないもの。恋愛・結婚・キャリア・子育て……悩める私たちの特効薬は、そう、リアリティー・ショー! 現実世界に即・応用できちゃいます。今回は、グループ内失恋を引きずるあなたに「韓国ドラマな恋がしたい」(Netflix)をおすすめ!

失恋はどんな失恋でも辛いもの。でも、とくに立ち直るのにパワーがいるのは、「グループ内失恋」かもしれない。同じ職場や友だちグループの中で、自分の好きな人が別の子とカップルになってしまったら……端的に言って地獄。二人の幸せな姿が目に入り、でもその交友関係は続けなければいけない。悲しい顔を見せてはいけないぶん、傷は胸の底に沈殿していく――。

そんな悩みに、苦くも爽やかな答えを出してくれたのが、「韓国ドラマな恋がしたい」に登場する希(のぞみ)。彼女の恋の経過を追いながら、その答えを紐解いていこう。

目の前で好きな人が別の人と…

「韓国ドラマな恋がしたい」は日本と韓国の俳優、男女8人が、韓国で共同生活を送りながら、6つの恋愛ドラマのオーディションに男女ペアで参加し、出演を目指す。選ばれたペアはキスシーン有りのドラマ撮影へ。演じ終えたとき、ほんとの恋は生まれるのか……というドキドキの恋愛リアリティ・ショー。

日韓の男女8人がペアでドラマのオーディションに臨む=Netflixシリーズ『韓国ドラマな恋がしたい』独占配信中

まず、出演者を紹介しよう。
日本から韓国に飛び、韓国語でオーディションに挑むのは、天才肌&お姉さんキャラのリオ(31歳)、お笑い好きで明るい綾乃(27歳)、負けず嫌いな最年少・帆夏(25歳)、そしてひたむきな努力家・希(26歳)。

それを迎える韓国の俳優陣は、頼れるお兄さんキャラ・ジヒョク(36歳)、詩的で心優しいウォンシク(29歳)、天然キャラ・テギュン(28歳)、ポーカーフェイスな王子様・ドンギュ(28歳)。

それぞれが高い志を持って挑戦。オーディションもベテラン俳優や演技学校の先生らが審査員を務め、厳しい意見も飛び交う本気の場だ。

最初に希がペアになったのは、ドンギュ。稽古のために一緒に過ごすうちに、ドンギュが時々繰り出す甘い言葉にときめき、惹かれていく希。ペア決めのときも毎回お互いを指定し、二人の仲はグループ公認のものに。ところが、この二人で何度オーディションに臨んでも合格しない。「希はいいのに、ドンギュが……」などの審査員の言葉に、ドンギュは希の相手は自分ではない方がいいのではと悩む。

それでも希はまっすぐドンギュだけを指名し続けるが、運命のいたずらでリオとドンギュがペアになると状況は一変。実は以前からドンギュに思いを寄せていたリオ。リオ&ドンギュペアは主演を見事ゲットし、ドンギュはどんどんリオに惹かれていく――。

初回でペアを組んだリオとジヒョク=Netflixシリーズ『韓国ドラマな恋がしたい』独占配信中

惨めな状況も惨めにさせなかった希

傍からでも希が辛そうで見ていられない。グループ内どころか、同じ家に住み、演技という仕事でも一緒。しかもドンギュとリオが恋愛ドラマを演じるところを目にしなければいけないのだ。

でもここで希の偉いところは、リオに対して嫉妬をむき出しにしたり、責めたりしないこと。みんなが横恋慕したのはリオの方だと知っているだけに、周りを味方につけてリオを追い詰めることだってできたはずなのに。この番組は恋愛することだけが目的じゃない。エンタメ大国・韓国で演技を磨くというのも大きな目的なのだ。チームの空気が悪くならないよう、自分だけでなくリオやドンギュも演技に全身全霊で取り組めるよう、希は配慮したのだと思う。希ちゃん、立派だよ!!(勝手に背景想像して泣く)

オーディションの結果に涙を見せる希=Netflixシリーズ『韓国ドラマな恋がしたい』独占配信中

苦しみの中、次のオーディションは男女ともに好きな相手を指名することに。ドンギュとリオはお互いを指名し合ってペア成立。それは予想できたはずの希、それでもドンギュを指名する。ドンギュはリオと希、それぞれのペアで2回オーディションに臨むことに。そこでさらに残酷な出来事が――。

2組の演技が終わったとき、審査員から「ドンギュはリオの時は好きな気持ちが見えたのに、希とやる時はその感情が完全にマイナスに向いてた。愛情が伝わらない」と言われてしまう。審査員さん!それを一番感じていたのは希なんだよ!みんなの前で言わないであげて~!とこっちはもう半泣き状態。しかもしかも、希の渾身の演技が評価され、希・ドンギュペアが選ばれる。つまり、今のこの二人で恋愛ドラマを演じることに――。

失恋は「負け」じゃない

その後の展開は大幅なネタバレになってしまうから伏せるとして、こんな満身創痍の状態でも希はそのあとも演技でステップアップしていくのだ。最終回、希はいっぺんの悔いもないさっぱりとした顔で帰路に就くのだった。

希を〝惨めな振られた子″にするポイントはいくつもいくつもあった。それでも、希が誇りを持ったまま旅を終われたのは、恋愛だけに絡めとられずに、演技の研鑽も忘れなかったからではないだろうか。オーディション前、イヤフォンをつけながらアスリートのように集中する姿は本当にかっこよかった。

帆夏とウォンシクのキスシーン。8人が作り上げる恋愛ドラマも見どころ=Netflixシリーズ『韓国ドラマな恋がしたい』独占配信中

グループ内失恋をしたとき、いったん恋愛から目を離してみてみると、そのグループで為すべきことが他にもあることを思い出すはず。失恋はただ好きな人の相手が自分ではなかっただけで、誰かに負けたわけでもあなたの何かが損なわれたわけでもない。それに恋愛だけが人を成長させたり幸せにしたりするのでもない。あなたは恋をする前と同じ、いや、恋を経てもっと深みが増した状態で、成長も幸せも手に入れられるのだ。

最後に、いつも笑顔で努力を忘れない希に、心を寄せた他の男性もいたことを付け足しておこう。

■清繭子のプロフィール
ライター/エディター。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、39歳で一念発起。小説家を目指してフリーランスに。Web媒体「好書好日」にて「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。特技は「これ、あなただけに言うね」という話を聞くこと。note「小説家になりたい人(自笑)日記」更新中。

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