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キューウェル監督初陣!横浜F・マリノス、劇的引き分けのACLバンコク戦で見えた「収穫と課題」

  • 2024.2.16
キューウェル監督初陣!横浜F・マリノス、劇的引き分けのACLバンコク戦で見えた「収穫と課題」
キューウェル監督初陣!横浜F・マリノス、劇的引き分けのACLバンコク戦で見えた「収穫と課題」

Text by 隈崎碧

14日、AFCチャンピオンズリーグは決勝トーナメント1回戦が行われ、横浜F・マリノスが敵地でバンコク・ユナイテッドと対戦し2-2で引き分けた。

前半18分にエウベルが先制点を奪ったF・マリノスは、6分後にも加藤蓮のクロスを渡辺皓太が詰めて追加点。しかし前半35分に1点を返されると、後半アディショナルタイムに同点弾を決められ、ハリー・キューウェル体制初陣を勝利で飾ることはできなかった。

この試合、攻撃陣は全体を通して良い活躍ができていた。ケヴィン・マスカット監督の時から変化を感じたのが、サイドにボールが出た時のボックス内の枚数だ。前半24分のシーンを取り上げてみる。

エドゥアルドからのロングボールを加藤蓮がダイレクトで中へ。この時、中にはアンデルソン・ロペスのほか、渡辺皓太とヤンマテウス、遅れながらナム・テヒの4枚が入り込んでいた。

昨シーズンまではアンデルソン・ロペスとサイドのプレイヤー1枚のみが中にいることが多かったが、この試合では他にもインサイドハーフの選手が中に入り込むシーンがたびたび見られた。

マスカット前監督が使っていた中盤を三角形型にするシステムの時より攻撃の厚みを増すために逆三角形型にし、ボランチ2枚からインサイドハーフを2枚にした効果が大いに発揮された。これがリーグ戦に活かせれば相手チームにとってかなり脅威となるだろう。

守備面では課題が多く見受けられた。その中で際立っていたのが、F・マリノスの左サイド、相手の右サイドの選手への守備対応だ。

この日のバンコクは右サイドを主体としていた。サイドバックに6番のニティポン・セラノン、ウィングに11番のルンラト・プームチャントゥエクを配置。特に脅威的だったのが11番のルンラトで、ディフェンス陣は終始対応に手こずっていた。

前半35分の失点シーンも、きっかけは右サイドだった。

ロングボールを受けた6番のニティポンが中からサイドに流れたルンラトへ。ルンラトはエウベルの背後から抜け出していたためエウベルは存在に気づかず、ルンラトがボールを受けたところで対応。

しかし、こぼれたボールが不運にもペナルティーエリア内に走り込んでいたニティポンへわたり、冷静にポープ・ウィリアムの股を抜きゴールを決めた。

このシーンはエウベルが中に入っていたルンラトの存在を守備に戻っている時に認識し警戒しておく必要があった。そうすればこぼれ球で仮にニティポンが抜けてもエドゥアルドがしっかりと対応ができたはずだ。

こうしたサイドの守備でのミスは命取りとなるため、しっかりとコミュニケーションを取っていくべきである。

一方、後半アディショナルタイムの同点弾は渡邉泰基のパスミスからとはいえ、奪われた後の守備に問題があった。

取られた後ペナルティーエリア付近まで運ばれるもボールを奪われた渡邉が体を寄せ、上島がスライディングで対応。ただその後右サイドに繋がれ、相手の右サイドバックからのクロスにヘディングで合わせられた。

このシーンではスライディングで対応した後の上島のポジショニングに問題があった。こぼれたボールが右サイドに渡った時、中に入っていたのは29番のウィレン・モタのみで、ここには松原健がマークについていた。

そして中へのボールを挙げたニティポンにボールが渡る前に、渡邉のパスミスを奪って運んだマフムード・イードが中でポジションを取る。しかし戻った上島はイードの動きが見えなかったのかマークをせずに中へ。

ポジションが松原とかぶってしまい、モタもイードもフリーになってしまった。モタにボールが入っていればニアに走っていたためギリギリ対応できたはずだが、イードは誰もマークがいなかったためあっさりと点を決められてしまった。

イードの背後には喜田拓也がいたことから、走り込んだ時にしっかりついて行って対応することができれば失点は防げたはずだ。このようなシーンを避けるために、場面をしっかり把握してその状況での役割を再確認するべきである。

2024年の初戦を勝利で飾ることができなかった横浜F・マリノス。リーグ開幕前に出た課題をどう改善していくか注目したい。バンコク・ユナイテッドとの第2戦は、2月21日に横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で行われる。

なお、この試合の後半アディショナルタイム、右サイドバックの松原健が相手選手への危険なスライディングで一発退場するシーンがあった。

あの場面でのタックルは不用意であり、試合を通じてたまったフラストレーションが影響したと考えられるが、リーグ戦でも何度か見受けられていたこともあって、かなり後味が悪くなってしまった。

松原は猛省しているものの、今シーズンの副キャプテンに就任しているからにはこのようなプレーは避けなければならない。

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