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【実話映画】男たちの友情を超えた信頼を描く『コヴェナント/約束の救出』 2/23公開 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

  • 2024.2.15

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、2月23日(金)公開の『コヴェナント/約束の救出』。かねてから戦争映画に取り組みたいと考えていたガイ・リッチー監督が、アフガニスタンの戦争とアフガン人通訳のドキュメンタリーを見て心を動かされ制作した作品。


ガイ・リッチー初の社会派ヒューマンドラマ

戦争映画を今作る意味、見る意味ってなんだろう? 特に世界では戦争が今も続いていて、多くの死者が出ている中、どんな気持ちで戦争映画を見ればいいのか? だけどこの映画『コヴェナント/約束の救出』は2001年に起きたアメリカ同時多発テロ以来、アフガニスタンに送られているアメリカ兵とアフガン人の通訳者の命を賭けた絆を描くことで、人を外見や出身国で判断してはいけないと伝えている作品でした。実際、タリバンに苦しめられている住民も多く、アメリカへ移住できるという約束を知った多くのアフガン人がアメリカ軍の通訳を志願するそう。そんなアフガン人通訳のドキュメンタリーを目にしたのが、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)や『シャーロック・ホームズ』(2009)のガイ・リッチー監督で、満を持して映画化したのが本作です。

主人公のアメリカ兵ジョン・キンリー曹長を演じるのは『ブロークバック・マウンテン』(2005)で米アカデミー賞にノミネートされたジェイク・ギレンホール。そしてアフガン人通訳アーメッドをTVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011)に出演する屈強な肉体を持つイラク出身のダール・サリムという顔ぶれ。二人が初めて会うシーンは名前の間違いを正すといったやや緊張感が走るやりとりが行われ、やがてアーメッドの賢さがアメリカ兵の命を救ったことで、キンリーは絶大な信頼を彼に持つという展開に観客も納得。

そんなアメリカ兵達が広大な平野でタリバンの武器庫を探す様子を、ドローンを使い広い画で映すことで、彼らが隠れる場のない地を車で走っているんだと気付かされます。それが後半のエピソードに役立ってくるんですが、ガイ・リッチーといえばカット割の鬼! とにかく様々な映像を繋いで多角的にタリバンとの衝突シーンを見せるのでその緊張感たるや、思わず手に汗握るほど。
こんな戦いいつになったら終わるんだ、と思いながらタリバンがアフガン人の通訳を裏切り者と看做して殺害すると映画から知り、つくづく人間の愚かさや洗脳の恐怖を感じずにはいられませんでした。けれど映画の本質は、友情とは違う「信頼関係」もあるのだということ。そしていくら戦争が起こったとしても敵国憎しではなく、私たち一般市民は皆、被害者だと認識することが大事なんですよね。
——伊藤さとり

☑2月23日(金・祝)TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー 『コヴェナント/約束の救出』

【あらすじ】2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いる米軍のジョン・キンリー曹長は、アフガン人通訳として非常に優秀だが簡単には人の指図を受けないアーメッドを雇う。通訳には報酬としてアメリカへの移住ビザが約束されていた。部隊は爆発物製工場を突き止めるが、タリバンの司令官に大量の兵を送り込まれ、キンリーとアーメッド以外は全員殺される。キンリーも腕と足に銃弾を受け瀕死の状態となるが、身を潜めていたアーメッドに救出される。アーメッドはキンリーを運びながら、ひたすら山の中を100キロ進み続け、遂に米軍の偵察隊に遭遇する。7週間後、回復したキンリーは妻子の待つアメリカへ帰るが、アーメッドと家族の渡米が叶わないばかりか、タリバンに狙われ行方不明だと知って愕然とする。アーメッドを助けると決意したキンリーは、自力でアフガニスタンへ戻る——。 2022/アメリカ/123分
監督・脚本・製作:ガイ・リッチー
出演:ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、アントニー・スター、アレクサンダー・ルドウィグ、ボビー・スコフィールド、エミリー・ビーチャム、ジョニー・リー・ミラー
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ © 2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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