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ごくごく一部のトップ俳優に集中する“富と権力”で歪みが…「韓国ドラマの危機」が想像以上に深刻なワケ

  • 2024.2.14

近年、韓国ドラマ界でごく一部のトップ俳優の出演料が高騰しすぎているとの声が上がり、“韓国ドラマの危機”が叫ばれているが、想像以上に事態は深刻のようだ。

「最近のトップ俳優は、“開き直り状態”です。特にシーズン2に入ろうとする作品は、とてもひどい。自分が主人公だから(出演料を)途方もなく吹っ掛ける。ドラマ制作会社の立場では、シーズン1の主人公を使おうとすると制作費が高騰し、使わないと話がつながらず、悩みだけが大きくなります」

とあるマネジメント会社のA代表は、制作会社や放送局が最近明らかにしたトップ俳優の過度な出演料の引き上げについて、大きく共感するという意思を伝えた。

各ドラマや映画の制作費は限定的だが、トップ俳優があまりにも欲張っているため、その他の俳優の出演料を削るしかない現象が発生しているというのだ。

イ・ジョンジェ
(写真提供=OSEN)イ・ジョンジェ、写真と本文は関係ありません
もともとは放送局や配給会社が原因

そもそもこの現象は、放送局や映画配給会社の“古い体制”から始まった。各制作会社が新人や演技派俳優を主演にした面白い企画案を提出したとしても、結局のところスター級俳優の出演が決まってこそ放送にゴーサインが出るためだ。

自身のキャスティングが投資とも直結することを認知した有名俳優たちが出演料を引き上げ始め、その過程で「制作会社の収益の一部をくれ」などという無理な要求も続いた。

そんな状況で、動画配信サービス(OTT)プラットフォームがスター級俳優たちに高い出演料を与え、従来の広告市場が萎縮した国内放送局との格差がさらに広がるようになった。

ただ、とあるマネジメント会社のB代表は「今になって放送局と制作会社がトップ俳優の出演料を下げてほしいと言うのは、あまりにおかしいことだと思う。この現象を作ったのは実際のところ、放送局と制作会社、配給会社だ。いくら良い企画をしても、結局はスターをキャスティングしてこそ編成を受けたりした。その慣例が長らく続いたため、“富と権力”が15人から多くても50人程度の俳優に集中した」と話した。

ソン・ジュンギ
(写真提供=OSEN)ソン・ジュンギ、写真と本文は関係ありません

すべての禍根である放送局と制作会社が問題を提起していることは残念だが、あまりにも有名俳優に多くの力が集中している現状への危惧には、マネジメント会社も共感している様子だ。

主演級の1、2人を除いた3番手、いわゆる「サブ男性主人公」「サブ女性主人公」に当たる俳優たちは既存の出演料の半分しか受け取れないからだ。

前出のB代表は「良くて70%だ。もし2000万ウォン(約200万円)を受け取る俳優がいるなら、1000万ウォン(約100万円)に値切られる。交渉もなく通知だ。制作会社は“この金額でやるか、そうでなければやらないかだ”といった態度だ。トップ俳優のキャスティングのために他の俳優たちが犠牲になっている構図」とし、「トップ俳優には振り回され、他の俳優たちには高圧的だ」と明かした。

作品自体に“歪み”が生じる傾向も

制作費がますます減ったため、各ドラマに特異なパターンも生じた。メインである主人公が大物であれば、相手の俳優は新人級や知名度の低い俳優が占めることになる。

また、主人公の友人役の役割が減る傾向だ。かつては主人公の隣に友人が2、3人はいたとすれば、最近は1人か、誰もいない作品が多い。助演級や新人俳優の居場所がさらに減っている。

キム・スヒョン
(写真提供=OSEN)キム・スヒョン、写真と本文は関係ありません

ある制作会社の関係者Cは「制作費のために仕方なくキャラクターを減らすことになる。主人公がさらに多くの役割を担当する構造に変わっている」とし、「男性主人公の出演料が高ければ、女性主人公は新人を起用する傾向が最近目立つ。すべて制作費の限界によって発生する問題」と説明した。

B代表は「最近、メイン主人公級の俳優はもちろん、助演級の俳優にも機会がない。以前は1年に10作品以上出演する“多作”な俳優が必ずいたが、最近は3作品出演するだけでも多いほう」とし「事実、主演であれ助演であれ、次の作品がない」と強調した。

制作会社とマネジメント会社の関係者同士が口にする冗談として、「2026年までは耐えてみよう」という言葉ある。2026年頃になれば、ようやく大衆文化業界が正常化するという予測からだ。今年と来年には、数多くの制作会社とマネジメント会社が倒産すると予想される。史上最も厳しい転換期だという見方だ。

マネジメント会社のD理事は「昨年初めだけでも作品が160本を超えた。今年は新作が40本ほどしかない。制作会社は編成ができなくて大変で、マネジメント会社は俳優たちを出演させられずにいる。“S級”に分類される俳優たちも次の作品がない」とし、「最近は編成が認められる俳優とそうでない俳優に分かれる。編成は海外投資が基準だ。編成を認められる俳優たちが事実上、大衆文化業界の流れを左右すると見ることができる」と明らかにした。

B代表は「最近、制作会社と放送局が明らかにした“トップ俳優の出演料”が高すぎるという主張は、多くのマネジメント会社が歓迎しているメッセージだ。しかし、そのメッセージを他人のせいにせず、健康な業界を作るための議論にするべきだろう」と主張した。

続けて「直ちに出演料を多く払えなくても、ヒットにともなう出演料のインセンティブ制や海外販売寄与に対する認定など、俳優たちの価値を認める様々な工夫を共にするならば、この危機を共に力を合わせて乗り越えていくこともできる」と付け加えた。

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