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分かっていないのに「分かってる」という子に、どう接する? タブレット教材のフォローの仕方は?

  • 2024.2.15
出典:あんふぁんWeb

子どもはどうして分かっていないことを「分かっている」と言うのでしょうか?あんふぁん読者から、次のようなお悩みが寄せられました。

・計算が遅く、理解できていないような事も「分かった」と言っているのが気になります。(小学5年生保護者)

・算数が苦手なのに、分かったことにして次の問題に進んでいるのが気になります。(小学3年生保護者)

・最近のタブレット教材は分かっていなくても選択肢を順に押せば正解になったり先へ進めることが多く、子どもは分かっていないのにゲーム感覚でどんどん次をやってしまいます。良い教材の選び方、学習時の接し方について知りたいです。(未就園児/保育園児保護者)

子どもの様子を見ていて、親の目からは「まだ分かっていないな」と感じても、子ども自身は分かっているからと自信満々に次へ進む……このような場面はよくあることです。どのように対処するとよいでしょうか。

子どもが「分かってる!」と言う理由

問題を理解していないような子どもの様子を見て「これ分かってる?」と尋ねると、多くの子どもは「分かってる!」と答えます。なかには親が何度も尋ねてくることを鬱陶しがるように「分かってるって!」と怒り出す子どももいますよね。子どもはどうして、親から見て明らかに分かっていないと感じる状況でも自信満々に「分かってる!」と答えるのでしょうか?

このようなすれ違いが起きるのは、「分かっている状態」に対する親子間の認識のズレがあるからです。親が子どもに「分かってる?」と尋ねるとき、子どもは言葉通りに質問を受け止め、自分は分かっているか?と考えます。子どもにとっては、自分では分かっているつもりなので、分かっているという答えしか出てきませんよね。

この結果は「分かってないんじゃない?」と反対の尋ね方をしたところで同じです。子どもは「自分は分かっている」と認識しているのですから、どういう質問しようが同じですし、もっと言えば、子どもに分かっているかを問うこと自体、あまり意味がないことなのです。

親の思う「分かっている状態」とのズレ

子どもが分かっていると言うのに対し、親から見て分かっていないと感じる理由は明確で、「実際にできていないから」ですよね。ここがポイントで、「分かっている」と「できている」は違うということです。親が思う「分かっている」は、できている状態をイメージして言っています。しかし、そういう意図で尋ねていることを子どもが理解するのはなかなか難しいことでしょう。

子どもに分かっていなかったことを無理に認識させる必要はない

では、親から見て「ここはまだ分かっていないな」と感じるとき、どのような対処をすればよいでしょうか。このような場面では、子どもに「本当は分かっていなかったんだ」ということを無理に認識させる必要はありません。

上手にフォローをするには、分かっていないことを認識させるよりも「どこまで理解しているか」を一緒に確認してあげる方がスムーズです。具体的にどのような声掛けをすればいいか見てみましょう。

子どもに理解度を気付かせる3つのテクニック

例えば子どもが算数のある文章問題を解いていたとします。親から見ると、しっかり読んで理解し考えて解いたというよりは、適当に数字を拾っただけで偶然正解したとか、タブレット教材で適当にポチポチ答えを押しているだけのように見受けられます。このようなときは、次のような方法を使って子どもの理解度を確認することができます。

1:問題文の要約を説明させる

「この問題、どういう問題だったかお父さん(お母さん)に教えて?」と言って、子どもに問題文の要約を説明させる方法です。説明するには、文章をしっかり読んで内容を理解する必要があります。小さい子の場合、また文章問題の文章が短い場合は、要約でなくとも、そのままの内容を音読させるだけでも構いません。目で読むのと違い、音読は飛ばして読むことができないため、しっかり読むのに効果的です。

2:求められているものを確認する

問題文がきちんと理解できていることが分かったら「○○くん(ちゃん)は、何を求めないといけないの?」と言って、ゴールが理解できているかを確認します。この質問によって、自分は何をしなければいけないのかを子ども自身が理解しているかどうかが分かります。

3:解答の根拠を聞く

途中計算があいまいなど、解答に辿り着くまでのプロセスが怪しいと思うときは、「ここはなんでこうなると思ったのかな?」と言って、解答の根拠を説明させます。しっかり考えて解いているならば、なぜそう思ったのかを説明するのは簡単なはずです。ズルをしている場合はすぐに答えられません。

ただし、小さい子や算数が苦手な子は「なんとなく足し算だと思ったから」など、およそ理解しているものの解答の根拠を上手く言語化できない子もいます。その場合は「どうして足し算を使うって思ったのかな?」と、さらに1歩踏み込んだ質問をすると、「ここに“合わせて”って書いてあったから、足すと思った」という答えが返ってきたりします。理解度を確認しながら、子どもにとっても理解を深めるフォローにつながります。

ほら、やっぱり分かっていなかったじゃない!はNG

気を付けたいのは、理解度を確認する中で子ども自身が理解できていなかったことを認識したときに、親が言ってしまいがちな「ほら!やっぱり分かっていなかったじゃない!」という言葉です。

子どもが「分かってるって!」と言うのは、初めからウソをつくつもりはなく、親を騙そうという気持ちもないのです。全く悪気の無いことですから「本当は分かっていませんでした、すみません」と子どもに誤りを認めさせるべきことではないですよね。

親からの「だから言ったでしょ」という言葉は子どもの自信を無くさせてしまいます。本当は理解できていなかったというのは子ども自身が一番身に染みて分かっていることですから、おうちの方からは「分からなかったところに気が付いてよかったね」「次からはもうバッチリ解けるね」と前向きな言葉を掛けてあげてください。

タブレット教材との上手な付き合い方は?

タブレット教材による学習は、お悩み例にあったように選択肢を適当にポチポチ押しているだけで先に進めてしまったり、誤った解答をしても答え合わせですぐに正しい答えが表示されてしまったりと、おうちで取り組むには進め方の難しい部分があります。

私達のタブレット教材であるRISU算数に取り組む子ども達を見ていると、合格ラインを超えていても「全部100点にしてから次に進みたい」と思うようで、全部100点にするというのが1つのミッションかのように取り組んでいる様子が伺えます。タブレットは子どもにとって学習というよりも完璧にクリアして進むゲームのような感覚なのかもしれません。

RISU算数では個々の苦手に向き合えるよう、復習として前回間違えた問題や、学習から時間が経って忘れてしまいそうな問題を起動時に表示する仕組みになっています。解かないと今日の問題に進めなく、解けば通常の問題よりも多いポイントがもらえるため、子どもは頑張って解こうとするようです。それでも、システムでできる学習のフォローにはどうしても限界があるのです。

おうちの方の声掛けが一番大切なフォロー

タブレット教材は子どもが勝手に学習をしてくれるので楽だと感じる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、高い学習効果を得るためには、親御さんのフォローが欠かせません。タブレットを渡して終わり、ではなく、ときどきは子どもの様子を見守り、「進み方がおかしい(異様に速い)」「本当にちゃんと理解してから進めている?」と感じたら、今回紹介したテクニックを使いながら声掛けをしてみてください。

今回は、子どもが分かっていないのに分かっていると言うことについて、子どもの心理と対処方法をお伝えしました。子どもが言う「分かっている」と親から見る「できている」は違います。机上でもタブレットでも、子どもの様子を見ながら声掛けをして、学習の理解を上手にフォローしてあげましょう。

教えてくれたのは

出典:あんふぁんWeb

■今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役

京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

▶タブレット教材「RISU算数」

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