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開店100周年のプルニエで味わう、アール・デコとクリスチャン・ディオールの卵!

  • 2024.2.11
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昨秋、麻布台ヒルズの地下1階にブティックをオープンしたプルニエ。創業は1872年で、フランス産キャビア生産を1921年に始めたフレンチキャビアの第一人者である。2代目のエミール・プルニエがパリ16区にレストランを開いたのは、1924年。今年100周年を祝う。

100年お馴染みのPRUNIERのアール・デコ調の扉、ロゴ、モザイク!2022年にヤニック・アレノがシェフとなりメニューが一新された。photo:Nicolas Lobbestael

アール・デコの装飾美に浸る。

カウンターで気軽に海の幸を味わえる場所として開かれ、牡蠣剥きたちのスペースとシャンパンバーを備え、さらにお持ち帰りコーナーもあったという画期的な店だった。建築および内装には各分野の当時の花形たちが参加している。建築家はLouis=Hyppolite Boileau(ルイ=イポリト・ボワロー)で、彼は同じ頃にボン・マルシェ(現在のグランド・エピスリー)、1931年の国際植民地博覧会でいつくかのパビリオンを手がけたアール・デコ期のスターだ。外観を覆う海をイメージしたターコイズブルーのモザイクはAuguste Labouret(オーギュスト・ラブーレ)によるもので、プルニエは1989年に歴史的建造物として登録されているので、これからもこの見事なモザイクを愛で続けられるのがうれしい。ラブーレは店内の床も手がけ、その施工はBriardに託された。波模様が彫刻されたガラスはPaul Binet(ポール・ビネ)の仕事で、店内のメタルの彫刻はLe Bourgeois(ル・ブルジョワ)。イラストレーターのLéon Carrièreも内装に関わっている。

アール・デコ・スタイルのファンは入店するだけで感激するプルニエ。モザイクの床、カウンター後方の彫刻が施されたメタル、波模様が浮き彫りされたガラス......各分野の一流のアーティストが内装に参加した。

左: 壁の上方のメタルプレートに建築家としてL.H.Boileau、コラボレーターとしてLéon Carrièreの名前が刻まれている。右: 見事な階段。黒い大理石に施されているのは、チョウザメにインスパイアされたモチーフだ。photo:(左)Mariko Omura

2階には食事スペースだけでなくシャンパンバーも。時代を感じさせる電話機を備えた小部屋やアール・デコの香水ボトルやファッションプレートを飾った女性用化粧室も必見。

なお、店内でぜひ目を向けてほしいのは、店内の天井から下がる魚、キャビア、食料品といった店内の標識。これは「ハーパーズ・バザー」誌の伝説のアートディレクターAlexey Brodovitch (アレクセイ・ブロドヴィッチ)が若き日に手がけたという貴重なものだ。100年前のアール・デコ装飾の内装はシンプルでエレガント。この空間に身を置くだけでもプルニエに行く価値があると言っていいだろう。

アレクセイ・ブロドヴィッチ(1898〜1971年)はブロンズの標識だけでなく、メニューなどすべてのグラフィックを担当した。photo:(左)Mariko Omura

キャビアの繊細な味わいに酔う。

あらゆる海の恵みを供するレストランであることは創業当時から変わらず。2022年に店内のリフティングを行い、シェフにヤニック・アレノを迎えた。洗練された魚介料理も魅力ではあるけれど、でも初めてプルニエで食事をするなら、やはりキャビアでは?

とりわけ"Oeuf Christian Dior(クリスチャン・ディオールの卵)"はぜひとも味わっておきたいひと皿だ。興味を惹くこの料理名。ある晩、クリチャン・ディオールとイヴ・サンローランとピエール・ベルジェ(2000年にプルニエを買収)がともに夕食をした際に生まれたことからの命名である。フランスの前菜のひとつで、街のお惣菜屋さんでも入手できるウフ・アン・ジュレ、つまり半熟卵のゼリー寄せがその晩の食卓に登場した時に、キャビア好きのピエール・ベルジェがこれにキャビアを乗せることを思いついたのだ。これが"クリスチャン・ディオールの卵"の誕生の由来である。ヤニック・アレノはプルニエのこの人気料理をモダンに解釈。お皿に描かれる卵の白とキャビアの黒のコントラストは、店の内装アール・デコにも通じるものがある。視覚的に楽しんだら、パーフェクトな半熟卵の優しい口当たりとキャビアの繊細で深い味わいが口の中で混じり合う至福の時間を!これはアラカルトあるいは6皿構成のMenu Emile(190ユーロ)で味わえる。なお、ランチタイムメニュー(火曜〜金曜)は、前菜+メインあるいはメイン+デザートが51ユーロ、前菜+メイン+デザートが65ユーロ。

アラカルトから。左: クリスチャン・ディオールの卵(48ユーロ)右: キャビアのリングイーネ(95ユーロ)

本日の魚介類を前菜、メインに。photo:Nicolas Lobbestael

ブランチで海の幸を満喫する。

日曜の12時からは1名98ユーロのブランチがおすすめだ。これにはフルーツジュース、ホットドリンク(紅茶、コーヒー)が含まれ、カクテルは別料金。ブリオッシュやタルトなどのスイーツカウンター、オイスターなどの海の幸のカウンターが用意され、着席でサービスされるのは温かな前菜をセレクションで2品、メインは3品から1点のセレクション。パリならではの空間で、贅沢なブランチを楽しもう。

海の幸を並べたカウンターは面する通りの名前からトラクティール・カウンターと呼ばれる。開けたての牡蠣、スモークサーモン(ブリニ、イシニー・クリーム)、タラマ、カニ、フィンガーサンドウィッチ(キュウリ&海苔、マグロの中落ちのコンフィ)、青野菜のソフトケーキ、オリーブのフォカッチャから、好きなものを好きなだけ!photo:Nicolas Lobbestael

Prunier par Yannick Alléno16, avenue Victor HugoParis 16eTel.01 44 17 35 85営)12:00~14:30、19:00~22:30休)日曜午後、月https://prunier.com/fr/restaurant

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