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ノンアルカクテルは、ガストロミックなレストランでも。ペアリングが楽しめる東京の2軒

  • 2024.2.13
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ガストロミックなレストランで、ノンアルのペアリング体験を

Florilège(外苑前)

ノンアルペアリングの先駆的存在。料理ともども深化中

そもそも、〈フロリレージュ〉がノンアルペアリングを始めたのは現在の地に移転した2015年のこと。すでに世界のフーディやヴィーガンの間では常識になりつつあったが、日本では未開といってもいい頃だった。世界を見据えて、自分の店のあるべき姿を考える川手寛康シェフは、ノンアルカクテルに大きな可能性を感じていた。

パッと見シンプル、その実、トリッキーなまでに繊細で複雑な味の構築が潜むシェフの料理と響き合うペアリングは、かなり高度なレベルを要求される。シェフの意向を汲みながら、食材を操り、発酵させたり、煮出したり、水に浸けて真空にし、香りや旨味を抽出したりして“今”なカクテルを生み出すのは、2023年で33歳になったバーテンダーの髙田真之助さんの感性だ。

外苑前〈Florilège〉髙田真之助
ミクソロジストの仲間たちとも交流し、常に勉強を怠らない髙田さん。

「カクテルのパーツはゼロから作ります」と髙田さん。旨味や苦味、青味、甘味といった、食材の持つ様々な味や香りを抽(ひ)き出し、重ね、料理と引き立て合ったり、高め合ったり。カクテルで、レストランの楽しみが何倍にも膨らむ。

毎日のように変化する料理に即応するペアリング。研究の連続である。日々刻々、さらなる深化が続く。

外苑前〈Florilège〉大根×レーズン、カルダモン、ローズマリー、ホエー
饅頭のように見えるのは川手式大根餅。上にはトリュフととんぶりを。貝だしの白いソースと焦がした昆布の黒いソース。クレソンにはローゼルとオイル、カブのぬか漬けペーストを合わせアリッサムの花を散らしたマヨネーズ風ソースを。カクテルはレーズンの香りと甘味を移した水、カルダモンとローズマリーの香りのシロップ、ホエー、カカオニブを合わせて。強い香りとすっきり味のギャップが。
外苑前〈Florilège〉茄子×ごま、クミン、ジンジャービア、ジャスミン
左は、焼きナスとキャビア・ド・オーベルジーヌ(ナスのピューレ)、やんばるスパイスを合わせてナスのシートでくるんだもの。ビオラの花びらを添えて。真ん中の器は、味噌汁のようなナスの揚げ浸しのスープ。豆腐のように見えるのは、東京・瑞穂町〈清水牧場〉のバッカスチーズのニョッキ。隠し味に白味噌が。カクテルは、ナスと相性の良いショウガをベースに煎りゴマ、クミン、ジャスミンを合わせた。
外苑前〈Florilège〉レタス×イチゴ、煎茶、シトラス
レタスの葉の間にトレビスのピューレ、ラディッキオ・タルディーボと干し貝柱のドライパウダーを挟んで、ミルフィーユ状に重ね、トレビスと煮詰めたトマトウォーター、クロモジオイルの赤いソースを添えて。カクテルはシトラスをベースに、酸味を効かせたイチゴのシロップで、ソースと呼応する赤い色合いとフルーティで優しい甘さを加える。レタスにフィットする青味を持つ煎茶も合わせて。

Information

Florilège

フロリレージュ
住所:東京都渋谷区神宮前2-5-4 SEIZAN外苑B1
TEL:03-6440-0878
営:12時〜12時30分LO、18時〜18時30分LO
休:水曜
ランチ7品前後8,250円、ディナー11品16,500円、ノンアルペアリング8,800円
HP:https://www.aoyama-florilege.jp/

Don Bravo(国領)

ノンアルカクテルって面白い♡と体感できます

コースの終盤、そろそろデザートかなというところで登場するのが〆のピザ。〈ドン ブラボー〉のスペシャリテだ。窯の前にいるのは、さっきまでドリンクをサービスしていた藤井淳利さんではないか。おお、ピザまで作るのか。

イノベーティブなイタリアンで客を魅了するこの店。進化は止まらず。「最近はイタリアらしい骨太でシンプルな料理を少しずつ増やしています。もちろん、自分たちらしく、ひとワザ効かせていますけど」と平雅一シェフ。そんな料理にカクテルは滑らかに寄り添う。

東京〈DonBravo〉藤井
フロアの中央でドリンクを作る藤井さん。次は何が来るかとワクワク。

藤井さんのペアリングのコンセプトは明快だ。「わかりやすくキャッチー。ストリート感があってダイレクトに楽しめること」。アルコールとノンアルのペアリングを注文するカップル客も多いので、ノンアルでも酒と同じテンションで提供する。そのために、ジンもカンパリもワインまでもノンアルを用意している。

ドリンクの準備をするのは客席から一番目立つ店の中央。一斉スタートなので、グラスがずらりと並ぶさまはちょっとしたエンターテインメントだ。カクテルの面白み、ペアリングの楽しさを目からもリアルに実感できる。

東京〈DonBravo〉ピザ(マリナーラ)×自家製ほうじ茶コーラ
ただのピザではない。国産の全粒粉にホエーとタマネギ水を加えた生地は、もちっとしつつも軽やか。コースの途中で登場してもすっと馴染む工夫である。ピザにはコーラが一番と、濃く煮出したほうじ茶に自家製コーラシロップを混ぜて。あ、コーラはもともとノンアルではあるが、これも立派なカクテルだ。コーラにある要素の一つ、キャラメルの代わりにほうじ茶を使う。大人のコーラな感じである。
東京〈DonBravo〉鰹のカルパッチョ×赤じそ、烏龍茶、スモモとハーブのシロップ
カツオは表面をパリッと炙(あぶ)って。上から、白エシャロットのソースと、ゴルゴンゾーラのアイスパウダーをたっぷり。メープルシロップ、ペコロスのピクルス、ローストナッツを添える。カクテルは、静岡〈森内茶農園〉の烏龍茶、カツオのニュアンスに合わせて赤じそのシロップ、スモモとハーブのシロップを合わせて、ロゼワインの雰囲気に。烏龍茶がワインっぽい発酵感を出してくれる。
東京〈DonBravo〉サルティンボッカ×キウイ、ジャスミン、台湾茶
「イタリア料理をベースに前衛的な料理を展開してますが、郷土料理の名を名乗ってもおかしくない程度の変化を加えたもの」というサルティンボッカ。仔牛ではなく豚ロースを、セージ、生ハムで巻いて焼き、ストラッチャテッラチーズ、レフォール、バターを加えてクリーミーにした白ワインソースと。カクテルは、セージと相性のいいキウイとジャスミンに、台湾茶で青い印象を加え、白ワインのイメージに。

Information

Don Bravo

ドン ブラボー
住所:東京都調布市国領町3-6-43
TEL:042-482-7378
営:12時〜14時LO、18時〜22時LO
休:水曜+月2回不定休
ランチセット1,595円〜、ディナーコース11,000円。ノンアルペアリングは7,700円
HP:https://www.donbravo.net/

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