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お金のために「問題アリ」の御曹司と結婚? 自分の幸せを見極める勇気 『婚活1000本ノック』4話

  • 2024.2.10

ドラマ『婚活1000本ノック』(フジ系)は、お笑いトリオ「3時のヒロイン」の福田麻貴が主演し、ダンスボーカルグループ「FANTASTICS from EXILE TRIBE」の八木勇征がバディ役を務める、婚活ラブコメディー。33歳独身・南綾子(福田)の婚活を、幽霊になってしまった山田クソ男(八木)がサポートする。見た目や直感を重視した結果、失敗続きの綾子は、第4話で「結婚相手に求める条件」を見極めることに。

出会いのために「ピント」を合わせる

綾子は、山田やマスクマン(ゆうたろう)など見た目が良い男性になびいては失敗し、中身を重視して出会ったハートパイ(竹財輝之助)とは上手くいかず、「次こそは!」と直感に頼った結果、熱盛(大貫勇輔)という結婚詐欺師に騙されかける。

そんな綾子が次に切った舵は「結婚相手に求める条件」を見極めること。

第1話で複数の女性と関係を持つ“ハト男”こと野村(白濱亜嵐)に出会った経験から、綾子は「私は私だけを愛してくれる人じゃないとイヤ」と実感した。いろいろな恋愛・結婚観があって良いけれど、自分が求める理想の“幸せ”は、誰かとともに二人で生きていくことだ、と。

そんな揺るぎない決心をもとに婚活をスタートさせた綾子は、友人・鳥羽(中越典子)の「ピントが合わない望遠鏡でいくら見てても、何も見えないでしょ?」といった一言をきっかけに、相手に求める条件を定めてから新たな婚活に乗り出すことに。

漠然と「結婚したい」「幸せになりたい」と思っていても、向こうからやってきてはくれないだろう。「理想の条件をリスト化したら、その通りの相手と出会った」「理想の相手と出会ったら、“この人と結婚する”と雷が落ちたようにわかる」といった話も聞いたことがある。

とくに理想の条件はない、たまたま好きになった人が理想のタイプだ……。自分ならつい、そう考えてしまうこともある。しかし、あえて綾子のように、細かすぎるくらいに条件をピックアップしてみるのもアリなのかもしれない。自分にとっての“幸せな結婚”の形を浮かび上がらせるために。

将来のために自分の感情を殺せるか

果たして綾子は、どんな条件を定めたのか? ざっと以下のようなものだ。

・BMIが25未満
・歯クソをつけっぱなしにしていない
・デート中に歯が取れない
・一夫多妻制じゃない
・詐欺師じゃない

これまでの経験から導きだした、限定的な条件だ。しかし、あえて具体的に考えるほうが、より出会う確率は上がるのかもしれない。このドラマを観ながら、自分の幸せにとって恋愛・結婚は必要なのか、そして、幸せな結婚のための条件とは何なのかを、あらためて考えてみたくなる。

綾子が新しく出会ったのは、貿易会社の御曹司・大池貴司(野村周平)。なんと山田とも面識があり、大池も幽霊になった山田の姿を認識できる。大池も婚活中であることを知った山田が、綾子と大池を引き合わせたのだ。

大池の貿易会社は、年商5000億円の大企業。彼と結婚すれば、将来は保証されるだろう。売れない官能小説家である綾子にとって、安定した未来が約束されれば、あらゆる条件を一気にクリアできるかもしれない。

実際のところ、大池とデートした綾子は、帰り道の橋の上で「私の小説なんてほとんど誰も読んでないし、この先も売れる気配ゼロだし、もし辞めるんだったらちょうどいいタイミングじゃね? って思った、ぶっちゃけ」と山田に吐露している。

お金か、仕事か。この橋の上のシーンで、綾子の結婚観の一部が垣間見えた。仕事に誇りを持っている反面、かけている労力の割に報われずにいると感じていて、御曹司と結婚して楽になれるならなりたい、と思っているのだろう。

5000億円のために、仕事を辞められるか。将来の安泰のために、自分の感情を殺せるか。恋愛や結婚の枠から出た「仕事観」や「人生観」までも、浮き彫りにする回だった。

息子の結婚に口を挟む母親に……

綾子の仕事にも理解があり、二人でともに幸せを見極めようとする大池の姿勢には、誠実さを感じる。しかし、彼には(も?)とある問題が。それは、母親・大池サツキ(萬田久子)の存在である。

大池にとって、母親の言うことは絶対に守らなければならないもの。なんでも彼女の意見を尊重して育ってきた。両親が経営する貿易会社に入ったのも、半ば言いつけを守った形だ。綾子と大池が初めて会った日から、サツキは息子の様子を陰から見守っていた。

結婚をするのは大池自身。大池の人生なのだから、彼が手綱を握るべき。しかし、彼は母親の太鼓判がなければ結婚相手を決められない。実は大好きなカップラーメンだって、母の目の届かぬところでこっそりと食べている。

息子といえど、もう立派な大人である大池の結婚問題に口を挟んでくるサツキに、綾子は引きに引いていた。いくら5000億円のためでも、仕事を辞めて大池の家に入ることが、幸せな結婚になるかは疑問だ。

最後の最後で、綾子は大池に「これでいいの?」「大好きなカップラーメンを、こっそり食べる人生でいいんですか?」と聞いている。

堂々と、大好きなものを、大好きと言うために。結婚するために仕事を諦める、なんて二者択一にならないように。このドラマが、形や言葉を変えて投げかけてくれるのは「世論に流されず、自分にとっての幸せを見極める勇気」につながるメッセージなのだと思う。

■北村有のプロフィール
ライター。映画、ドラマのレビュー記事を中心に、役者や監督インタビューなども手がける。休日は映画館かお笑いライブ鑑賞に費やす。

■モコのプロフィール
イラストレーター。ドラマ、俳優さんのファンアートを中心に描いています。 ふだんは商業イラストレーターとして雑誌、web媒体等の仕事をしています。

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