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ブルータス時計ブランド学 Vol.40 〈ジラール・ペルゴ〉

  • 2024.2.10
ブルータス時計ブランド学 Vol.40 〈ジラール・ペルゴ〉

美しき複雑機構を有する名門

19世紀当時、トゥールビヨンを製作できる技術を持つ時計師は、十指にも満たなかった。そのごく限られた中の一人が、〈ジラール・ペルゴ〉の創業者コンスタン・ジラールである。彼は、トゥールビヨン・ムーブメントのパーツを並列する3つのブリッジで支える構造を考案。複雑機構に、独創的な美観を与えた。この「スリー・ゴールド ブリッジ トゥールビヨン」は、1889年のパリ万博で金賞に輝き、〈ジラール・ペルゴ〉は、世界中に知られる存在となった。

1906年には、精巧かつ美しい時計で王侯・貴族を魅了してきた時計師ジャン=フランソワ・ポッドの工房を起源とするポット社を買収。当時のスイス時計界を代表する2つの技術力と創造性が融合し、それは後世に受け継がれていく。

伝統的な時計製作技術を受け継ぎながら革新を続け、新たな美を創出してきたからこそ〈ジラール・ペルゴ〉は、名門と呼ばれるようになった。1966年にはテンプが毎秒10振動するハイビートムーブメントをいち早く実現し、高精度技術に革命を起こした。スイス製初のクォーツムーブメントも、1970年に自社開発。その翌年に採用した水晶振動子の32,768Hz(1秒間に 2の15乗回振動)という振動数は、今も時計界の標準となっている。

また機械式においても、創業者が製作した「スリー・ゴールド ブリッジ トゥールビヨン」の懐中時計を1982年に再現し、その9年後には同じ機構と構造を腕時計に搭載してみせた。現在の〈ジラール・ペルゴ〉には、シンプルな3針自動巻きからトゥールビヨン、ミニッツリピーターといった複雑機構まで、多彩な自社製機械式ムーブメントが取り揃う。そのどれもが、伝統的な手仕上げによる美観を湛え、高級時計市場に確固たる地位を築いている。

【Signature:名作】ロレアート 42MM

'70年代スタイルを継承し、復活を遂げたアイコン

ロレアート 42MM ジラール・ペルゴ定番

1975年に自社製クォーツ搭載で誕生し、後に機械式に置換されて2000年代初頭まで続いたラグジュアリースポーツウォッチが、2017年に復活。円と八角形とが重なるステップベゼルや、ダイヤルのクル・ド・パリ装飾、12時の“GP”インデックスといった外観を特徴付けるディテールは、初代からの継承である。

薄型の自社製自動巻きを搭載。結果ケース厚も抑えられ、エレガントな印象を高めている。100mの防水性能は、日常使いでは実に心強い。スポーティかつエレガントで、カジュアルにもスーツにも似合い、しかも頑強。デイリーウォッチとして最良の一本。

径42mm。機械式手巻き。SSケース。1,881,000円。

ジラール・ペルゴ定番 ロレアート 42MM
ピラミッド状の突起が連なるクル・ド・パリは、伝統的な装飾仕上げの一つ。光をさまざまな方向に乱反射し、ブルーのニュアンスを深める。
ジラール・ペルゴ定番 ロレアート 42MM
ケースとブレスレットを完全統合。ヘアラインを入れたブレスレットのH型リンクとポリッシュ仕上げで輝く角型リンクとのコントラストが美しい。

【New:新作】ネオ コンスタント エスケープメント

先進技術を駆使した独自の高精度機構

〈ジラール・ペルゴ〉ネオ コンスタント エスケープメント

ダイヤル下部の開口部に見える紫と青のパーツはシリコン製。ゼンマイからの動力で中央を横に貫く細いブレードをたわませ、それが元に戻る際の一定(コンスタント)のトルクでテンプを動かすことで、超高精度をかなえる。

メゾンの優れた革新性を象徴する、エネルギーを操る一大発明は、2013年に誕生。この機構を搭載する最新作は、ムーブメントの主要な歯車をダイヤルに見せる新設計とし、より大胆な装いとなった。

径45mm。自動巻き。チタンケース。13,101,000円。

〈ジラール・ペルゴ〉ネオ コンスタント エスケープメント
ムーブメントの上部にはゼンマイを収めた2つの巨大な香箱を設置。7日間以上もの超長時間駆動を実現した。9時位置に、そのパワーリザーブ計を装備する。
ネオ コンスタント エスケープメント ジラール・ペルゴ
ケースはかなり大振りだが、チタン製だから着け心地は軽やか。金属の中では加工が難しいチタンを、ヘアラインとポリッシュとに完璧に仕上げ分けているのは、お見事!

Information

GIRARD PERREGAUX / ジラール・ペルゴ

創業:1791年
創業地:スイス ラ・ショー=ド=フォン
HP:https://www.girard-perregaux.com/jp_jp

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