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川口春奈さん「自分のため」だけではできないことがある

  • 2024.2.9

映画やドラマだけでなく、YouTubeでの発信など多岐にわたって活躍している川口春奈さん。2月9日公開の映画「身代わり忠臣蔵」では時代劇コメディを演じています。2月で29歳になる川口さんに、仕事にかける思いや年齢について感じることを伺いました。

偶然が重なった時に生まれる「面白さ」

――2009年にドラマ「東京DOGS」で女優デビューしてから約15年。恋愛ものからシリアスな作品と幅広いジャンルの役を演じていらっしゃいますが、今回のようなコメディは得意な方ですか?

川口春奈さん(以下、川口): 見るのは好きですが、役者として演じるのは本当に難しいなと毎回思います。もしかしたら、色々なジャンルの中でもコメディが一番難しいかも。ウケを狙いすぎるのもよくないし、人それぞれ捉え方や感じ方が違うので。セリフの間合いやタイミング、空気感などのいろんな偶然が重なった時に「面白い」っていうものが生まれることもあるので、その積み重ねが難しいですね。

――本作は「生類憐れみの令」を発した江戸幕府5代将軍・徳川綱吉の時代が舞台。川口さんも犬を飼っていたり、Instagramで保護犬との触れ合いを投稿されたりしていますが、愛犬家として「溺愛」エピソードがあれば教えてください。

川口: 私も飼っているわんこに時間やお金、手間といった全てを注いでいるので、溺愛というより、もう「分身」に近いんです。なので、本作に出てくる「お犬様」のように、私も「犬ファースト」な日々を送っています。食べ物の好き嫌いも結構あって、せっかく手間をかけてごはんを作っても食べなかったこともあるんですけど、体調や健康を管理するのも飼い主の務めだと思うし、常に考えている存在です。

朝日新聞telling,(テリング)

「自分は必要とされている」を大前提に

――作中で、吉良上野介の弟・孝証(ムロツヨシ)は兄の「身代わり」になって初めて自分が必要とされたと感じるのが何とも切ないなと思ったのですが、ご自身が誰かに「必要とされたな」と感じたこと、または誰かに必要とされるために心がけていることはありますか?

川口: 全てのお仕事一つ一つに、「自分は今、ここで必要とされているんだ」ということが大前提だと思って取り組みたいと思っています。自分がいることによって何かが解決することや、「作品を見て救われた」とか「楽しかった」と思ってくれる方がいるから成り立っているお仕事だと思うので、そんな方たちに作品をちゃんと届けるという心構えはいつも持っています。

――「この仕事をやっていてよかったな」と思ったことがあれば教えてください。

川口: どのお仕事もそうだと思いますが、「自分のため」だけでは到底できないと思うんですよね。待っていてくれる、見てくれている方や、家族。そういう方たちの声や反応が自分にとってのモチベーションですし、原動力になっているんです。「誰かのために」という思いがあって、初めて自分が必要とされていることを実感できるんじゃないかなと思います。

朝日新聞telling,(テリング)

「今が楽しくて充実している実感があるから」

――作中では江戸時代の女性が描かれます。令和の今、女性も「キャリアも家庭も」などの選択肢が増えて、恋、仕事、結婚、夢など人生のさまざまな局面でターニングポイントが訪れますが、そういったことへの不安や迷いが生じたことはありましたか?

川口: 「これから先、どうなっていくんだろう」っていう楽しみな迷いやワクワクの方が大きいです。もちろん、不安がないわけではありませんが、だからといって「どうしよう……」みたいな焦りは、今はあまりないですね。

――では、30歳を前にした焦りなどを感じることもないでしょうか。

川口: 全くないと言ったらウソになるのかもしれないですが、私は今がすごく楽しいし、好きなことをできて充実している実感もあるんです。自分の時間もちゃんと確保できているので、むしろここから先の方が楽しみだなって思うんです。

――お仕事を始めた10代の頃はいかがでしたか?

川口: 学生のころの方が漠然とした不安はありましたね。周りのみんなが進路とかで色々迷う中「私はこのままこの仕事をやるのかな」と思うことはありました。その不安は今も変わらないし、いつ何が起きてどうなるかは誰にも分からないことなので、今が楽しくて、自分が満足しているんだったらいいのかなって思います。

朝日新聞telling,(テリング)

YouTubeで「素」を見せるわけ

――川口さんはご自身のInstagramやYouTube「はーちゃんねる」で、スッピンや手荒れ、爆買いの様子など、プライベートや「素」を隠すことなく見せていらっしゃいます。元々はどんな思いで始められたのでしょうか。

川口: せっかくSNSをやっているのだからいいことがあればみんなとシェアしたいし、自分が思うことや感じたことがあればそこでつぶやいてみようかな、くらいの気持ちで始めたんです。そこで皆さんと繋がったり、共感してもらえたりっていう良さがSNSにはあるなと思っています。

――俳優さんやタレントさんの中には、プライベートや自身の考えなどを外に出すことに抵抗感を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、SNSなどを通して「素」を見せたことで、ご自身の気持ちに変化はありましたか?

川口: YouTubeを始めたことは大きい変化でしたね。それを見て「女優の日常やスッピンってこうなんだ」と面白がっていただけるんだったら、それでいいかなって。特に「こうしたい」「こう思われたい」みたいことも全くないので、言ってしまえば自己満足なところもあるんですけど、その自己満によって見ている方が楽しんでくれて、自分も楽しめたらいいなと思うようになりました。

――やりたいことを自由に仕事にするには様々な制限もあるかと思います。そんな中でも、川口さんはいつも芯がぶれない印象を受けますが、どのようにご自身の心を保っているのでしょう。

川口: 私は割と忍耐強い性格で、もちろん大変なこともありますが、こんなにやりがいを感じられて、見てくれている方に影響を及ぼすことができるお仕事もなかなかないと思うんです。その責任の重さやいい緊張感みたいなものを感じながら、健康で楽しく、好きな人と好きなことをするのが理想ですね。「何かを犠牲にしなきゃ」とか「これをやったらこう思われるかな」といったことを考えずに、自分の人生を謳歌している人は本当に素敵だなと思います。

■根津香菜子のプロフィール
ライター。雑誌編集部のアシスタントや新聞記事の編集・執筆を経て、フリーランスに。学生時代、入院中に読んだインタビュー記事に胸が震え、ライターを志す。幼いころから美味しそうな食べものの本を読んでは「これはどんな味がするんだろう?」と想像するのが好き。

■植田真紗美のプロフィール
出版社写真部、東京都広報課写真担当を経て独立。日本写真芸術専門学校講師。 第1回キヤノンフォトグラファーズセッション最優秀賞受賞 。第19回写真「1_WALL」ファイナリスト。 2013年より写真作品の発表場として写真誌『WOMB』を制作・発行。 2021年東京恵比寿にKoma galleryを共同設立。主な写真集に『海へ』(Trace)。

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