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【実話映画】0-31の惨敗、サモアの激弱サッカー代表が新監督を迎え奮闘『ネクスト・ゴール・ウィンズ』 2/23公開 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

  • 2024.2.8
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映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、2月23日(金)公開の『ネクスト・ゴール・ウィンズ』。サモアのサッカーチームに起こった実話をベースにしたスポーツコメディ。


世界最下位のサッカーチームが勝利のために奮闘

日本ではここ数年、ボクシングが題材の映画がブーム。
『百円の恋』(14)に始まり、『あゝ、荒野』(17)、『ケイコ 目を澄ませて』(22)『春に散る』(23)と続いていますが、スポーツ映画はどの国でも定期的に制作されヒットを記録しています。その理由は簡単で、スポーツを知らなくても登場する選手達のキャラクターの魅力や打ち込む姿、挫折を経験しても立ち上がる輝きが観る人の琴線に触れるから。そんなスポーツが題材の実話をベースにした映画が、今回ご紹介する『ネクスト・ゴール・ウィンズ』です。監督を務めるのはタイカ・ワイティティ。彼の作品と言えば米アカデミー賞に6部門ノミネートされた『ジョジョ・ラビット』(19)が有名ですが、俳優としても活躍していて、近年では『フリーガイ』(20)に出演し、嫌味な上司を茶目っ気たっぷりに演じております。

さて、タイカ・ワイティティが惚れ込んだ実話の映画化とは一体どんな作品なのか。それは米領サモア・サッカー代表チームのある出来事を描いたもので、このチームは10年以上もFIFAランキング最下位を記録し続け、2014年についに初勝利というミラクルを起こしたんです。じゃぁどうやって彼らは勝利を手にしたのか? そこにはある海外のコーチとの出会いと、嘘みたいな本当の話が詰まっていて、ドラマティック過ぎて“間違いなく映画化案件でしょ!”と個人的にも思うほどでした。

だからドキュメンタリーにもなっているんですが、『ジョジョ・ラビット』で米アカデミー賞脚色賞受賞を手にし脚色の上手さを証明したワイティティは、そのコーチをもっと曲者に、怒れる獅子のように仕上げました。しかも悩ましき役をやらせたら天下一本の名優マイケル・ファスベンダー様に鬼コーチを演じさせるという荒技!そこにも興味を持ち映画を観てみると、最初、ファスベンダーか分からなかったほど痩せている!? ここは『スティーブ・ジョブズ』(13)でも実在のジョブスを演じて米アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた経験がある演技派だけに、本人に寄せ肉体改造をしたに違いないっ。 映画は、海に囲まれた小さな国、米領サモアに暮らすのんびりとした気のいい選手や会長、コーチ達をコミカルに紹介しながら、海を渡ってやってきた怒りっぽいスパルタコーチ、ロンゲン登場で、チームもコーチも刺激を受け、ロンゲン自身も人とのコミュニケーションを振り返り、皆で成長していく愛と情熱と笑いと感動の映画になっていました。まさに人間ドラマ、それにアンガーマネジメントの大切さまで描いているし、アッパレとしか言いようがない映画。

それだけじゃなく、トランスジェンダーの選手ジャイヤはフィクションではなく、チームに実在するというのも胸熱。この島ではトランスジェンダーの人を男性と女性の世界を行き来する性別として認識されているそう。そんなジャイヤの葛藤もしっかりと描いているので、見れば彼女を皆好きになっちゃうはず! ちなみに冒頭からふざけたような登場の仕方をするのが、この感動作を生み出した張本人である監督、タイカ・ワイティティその人。一見すると神を冒涜しているようにも見えまずが、いやいやニュージーランドのウィリントン出身で、マオリの伝統を大事にしていると言っているワイティティだからこその愛情表現なんでしょうね(笑)
——伊藤さとり

☑2月23日(金・祝)公開 『ネクスト・ゴール・ウィンズ』

【あらすじ】2001年、ワールドカップ予選史上最悪の0-31の大敗を喫して以来、1ゴールも決められていないアメリカ領サモアチームに、次の予選が迫っていた。破天荒な性格でアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンが就任し、立て直しを図るが、果たして奇跡の1勝は挙げられるのか!? 実話をベースに『ジョジョ・ラビット』『ソー:ラブ&サンダー』のタイカ・ワイティティが、全ての“負けを知る”人々にエールを贈る、感動と興奮のスポーツ・コメディドラマ。 2023/イギリス・アメリカ/104分
監督・脚本・製作:タイカ・ワイティティ
出演:マイケル・ファスベンダー(トーマス・ロンゲン)、オスカー・ナイトリー(タヴィタ)、エリザベス・モス(ゲイル)ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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