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深津さくらの実話怪異手帖:第二十一回「3人目」

  • 2024.2.7
深津さくらの実話怪異手帖:第二十一回「3人目」

第二十一回「3人目」

その日、Sさんは怖いもの見たさで事故物件公示サイトを眺めていた。事件や事故で人が亡くなった履歴を持つ住宅が地図上に炎マークで示されており、クリックすると詳細情報を閲覧することができた。隣町に気味の悪い戸建住宅があった。

炎が2つ重なっているのだ。説明には、2人とも首を吊って亡くなっていると書いてあった。しかしそれは妙な話だった。後に亡くなった住人は、その住宅が事故物件だと知ったうえで入居した可能性がある。前の住人と同じ亡くなり方を選択しているのは一体なぜだろう。

「ねえ怖い話あったら聞きたいな」。後日、たまたま家に遊びにきた叔父にSさんは尋ねた。「ああ。ついこの間、仕事で運転してる時に交差点で止まったんだ。なんとなく外を眺めたら真横に家があって、2階の窓越しに薄暗い部屋が見えたんだけど、奥に男の首が縦にみっつ連なってぼうっと浮いてるんだ。同乗してた会社の人たちも見てたよ」。

Sさんが家の場所を聞くと、叔父はスマホの地図を拡大して、とある戸建を指差した。あの事故物件だった。「でも、事故物件サイトに載ってた死者は2人。おじさんは3人見たんですよ。これってどういうことなんでしょうね」

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深津さくら

ふかつ・さくら/怪談師。自ら実話の怪談を蒐集する。関西を中心にイベント、執筆などで活動。著書に『怪談びたり』。

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