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土屋アンナ、子育ては「自分が産んだ子か、よその子かは関係ない」「嫌がられてもきっぱり言う!」

  • 2024.2.7
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アーティスト、モデル、俳優として活躍しながら、4人の子を持つ母親でもある土屋アンナさん。ワーママたちの憧れ的存在の彼女も、子育てで悩むことはあるのでしょうか。(Photo by Marino Matsushima)
アーティスト、モデル、俳優として活躍しながら、4人の子を持つ母親でもある土屋アンナさん。ワーママたちの憧れ的存在の彼女も、子育てで悩むことはあるのでしょうか。(Photo by Marino Matsushima)

アーティスト、モデル、俳優として活躍しながら、4人の子を持つ母親としても奮闘中の土屋アンナさん。

ワーママたちの憧れ的存在でもある彼女にも、子育てで壁にぶち当たる時はあるそうです。そうなった時の対処法は? 根底にある人生観も含め、気さくに語ってくれました。

「みんなで子どもを育てる」本能があるはず

土屋さんが最近“気になっている”のが、子連れで公共の乗り物を利用する時の、親の肩身の狭さ。特に都市部では切実な問題としてSNSでもしばしば議論されていますが、土屋さんは、今の日本では“ある種の本能”が失われているのかもしれない、と語ります。

「子どもが声を出すと周りの大人たちに嫌~な顔をされる、とよく聞くけど、“自分の子じゃないから声を出すのも許せない”社会ってどうなのかなと思うんですよね。自分の子じゃなくても、命あるものをみんなで育てていこう、というふうに思えたらいいのに。これからこの社会を作っていく、大切な存在として。

以前、パラオに行った時に、レストランに入って子どもたちに静かにするよう言っていたら、周りの大人たちがニコニコしながら“いいよいいよ、子どもは元気なものなんだから”と言ってくれて。子連れに対する空気が大らかでウェルカムで、すごく印象に残っています。

大人たちには、自分に子どもがいなくても子どもたちをあたたかい目で見守ったり、お母さんに手を貸してあげてほしいです。たぶん、人間は本来、そういう本能を持っているけど、今の日本では“家族=家の中だけ”みたいなイメージが強くて、考え方が狭くなってしまっているのかな。

でも、昔は“ご近所さん”が機能していて、一瞬目を離した隙に子どもが走っていっても“こっちにいるよ”と声をかけてくれたり、危ないことをしている子には叱ってくれるおじちゃん、おばちゃんがたくさんいたと言いますよね。そういう存在があれば、自分の親がそばに住んでいないママたちもどれだけ気が楽になるだろう、と思います。

私自身、子育て中だけど、よその子にも自分の子と同じように接するようにしています。今朝も子どもを送っていったら、(保育園で)よその子に、“行かないで~”って抱きつかれちゃった(笑)。うちの子の友だちが家に遊びにきたら、自分が産んだ、産まないは関係なく、いいものはいい、ダメなものはダメ、と言いますね。

私の方が体が大きい分、この子たちを守らなきゃ、と思うから、嫌がられても言うべきことははっきり言います。かわいくないことを言い返してくる子もいますけど、“〇〇ちゃん言葉遣い悪いね”と言って、負けない(笑)」

いつか子どもが困るから「言うべきこと」は言う

人を巻き込むのが得意だという土屋さん。子どもたちが豊かな人生を送れるよう、子育てにも大勢の友人知人たちを巻き込み、力を借りてきたのだそう。Photo by Marino Matsushima
人を巻き込むのが得意だという土屋さん。子どもたちが豊かな人生を送れるよう、子育てにも大勢の友人知人たちを巻き込み、力を借りてきたのだそう。Photo by Marino Matsushima


常に明るくポジティブに見える土屋さんですが、子育てで壁にぶち当たることはないのでしょうか。

「ありますよ、もちろん!(笑)でもね、日々ニュースを見ていると、自分はありがたいことにご飯も食べられるしあたたかい家もあるけど、世界にはそうじゃない人がたくさんいることが分かって、自分の悩みなんて屁でもないんだな、と思えるんです。

戦争経験者の祖母がしてくれた、花火の音が空襲の音に聞こえるとか、7歳で火の海の中を逃げまどっていたという話を思い出しても、自分より大変な思いをしている人、つらい人は世の中にたくさんいて、もっと助け合いたいな、だったら今、目の前にある壁も乗り越えなくちゃ、という気持ちになります。

とは言え、子育てはそんなに簡単なものではなくて、最近だと、子どもの意志を殺さずに、説得するのが難しいな~と感じます。

例えば、小さい子にとって、自分のモノを持つことは、すごく大きなことじゃないですか。いったん“私のモノ”になったらそれは“絶対私のモノ”。大人から“きょうだいに貸してあげなさい、分けなさい”と言われても納得できないですよね。

そんな時、親は面倒くさいからもう1つ買い与えてしまいがちだけど、そうじゃなくて、本当は彼、彼女の中に、シェアする気持ちを芽生えさせなくちゃいけない。“何でも分け与えられる人になりなさい”とは言っているけど……なかなか難しいです(笑)。

でも、親が言ってあげなければ、大きくなった時にその子自身が困ったり、つらい思いをすると思って、どういうふうに言ったら受け入れられるか、いまだに学びながら、悩みながらやっています。

“食べものを残さない”ということを伝えたかったら、“〇〇ちゃん、食べ物はこういう理由で、粗末にしちゃいけないんだよ。お腹いっぱいになりそうだったら、食べられるだけとることにしよう。とったら全部食べようね”みたいに、なるべく言葉を尽くすようにしています」

思春期の子どもにとって母親は「めんどくさい」

子どもが大きくなってくると、その子の悩みにうまく答えられないことも。そんな時、土屋さんの対処法は?

「特に思春期に入ってくると、難しいですよね。うちの子も上2人は男ですが、男の子の思春期は、正直何を考えているか分からなくて、私が何か言ってもどんどん(心が)離れていく一方だな、なんてことも。

そんな時、私は周りの人に頼ります。彼らを小さい時から見守ってくれている男性の友人に“声かけてあげて”と頼んだり、おばあちゃんに話を聞いてもらって、私は一歩引く、ということもありますね。

親としてはいつまでも子どものことを全て知りたいし、母親は私1人だから一生懸命やりたいけど、思春期の子どもからすれば、そんな母親は“めんどくさい”。そんなこともあるかと思って、子どもたちには小さい頃から、バンドの仲間と一緒にご飯を食べさせたりして、いろんな人に会わせていました。

子どもの成長を見てくれる人を周りにいっぱい作るようにしていたので、困った時にはその人たちに意見をもらったり、実際に動いてもらったりしています」

試行錯誤もすれば、周りの人も巻き込みつつ進行中の、土屋さんの子育て。その根底には常に、“いい人生を送ってほしい”という、ひそかな親心があるようです。

「別に、完璧な人生じゃなくていいと思います。いろいろ苦労したり後悔したり、ぐちゃぐちゃの人生でもいい。

でも、私自身、思春期の頃は毎晩“どうやって家を抜け出して遊びに行こうか”なんてことを考えていたのが(笑)、大人になって親になるうちに落ち着きました。いろいろあっても、最終的に“面白い人生だった”と思えれば、それでいいんじゃないかな。

少なくとも、私はずっと味方だから。私の母が私にとってそうであるように、いつかあの子たちが振り返った時“彼女はいつも寄り添ってくれていたな”と感じてくれるような存在でありたい、と思っています」

“抜け殻”の私を癒してくれる存在

それにしても、バラエティ番組に音楽活動に俳優業にと、八面六臂(ろっぴ)の活躍をしつつの子育て。疲れることはないのでしょうか?

2月に出演する舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』で演じる2役のうち、イーヴリン役に扮する土屋さん。(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI (C) SaGa THE STAGE Re;univerSe
2月に出演する舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』で演じる2役のうち、イーヴリン役に扮する土屋さん。(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI (C) SaGa THE STAGE Re;univerSe


「めっちゃある~! 抜け殻です(笑)。夜にお酒を飲んで“最高~”ってなるくらい(笑)。

でも、朝から泥まみれになって道を作ってくれているおじちゃんを見るともっと大変だなと思うし、内容は違っても、世の中、みんな大変なんじゃないかな。肉体的な疲れだけじゃなくて、ストレスもそれぞれにあると思います。

人間の世界には、そんな疲れやストレスを洗い流してくれるものがいっぱいつまっているんですよ。

私だって疲れるけど、ご飯を食べたり、人の笑い声を聞いたり、音楽を聴いたり演劇に触れて涙したりしているうち、楽になります。わりと自分から触れにいっていて、悲しい時こそ悲しい音楽を聴くし、疲れている時にすごく悲しい映画を観て泣くと、すごく癒されます。次の日、顔はパンパンになるけど(笑)」

2月から舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』に出演

舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』で演じる2役のうち、リアルクィーンに扮する土屋さん。(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI (C) SaGa THE STAGE Re;univerSe
舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』で演じる2役のうち、リアルクィーンに扮する土屋さん。(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI (C) SaGa THE STAGE Re;univerSe


2月には舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』に出演し、“洗い流す”立場となる土屋さん。彼女にとって俳優業とは、どういうものでしょうか。

「人間って、生まれてから出会う人たちや環境に影響されながら創られていくものだと思うけど、まだ自分でも気づかない、秘めたものはいっぱいあると思います。私にとってモデルや演技は、そういう“自分探しの楽しい旅”みたいなもの。演技をするごとに、私にはこんな部分があったんだ、と発見があります。

今までやったどの役の中にも、自分は入っていますよ。『下妻物語』(2004年)の時には(ヤンキー少女の役が)“まんまだよ”と言われたけど(笑)、絶対“まんま”なわけなくて、話す言葉も違うし、キャラクターの生活と私の生活は絶対違う。でも、そんな中にも同じ悲しみや喜びがあって、“私もそうかもしれない”と思える部分がありました。

人は大人になるにつれ、どこか鎧をつけて社会を生きぬくものかもしれないけれど、私にとっては演技をすることで、“私ってこういう人間なのかもしれないな”とはっとさせられる。そういう意味で毎回刺激を受けています。

『SaGa THE STAGE~再生の絆~』も、まだまだ未知の世界ですが、今回、私を選んでくれたということは、役と私に共通点があるだろうと思って誘ってくださったと思っています。

2役演じるのですが、私の勝手な想像では、1つは、子ども愛にあふれた、愛情の塊のようなモンスター。そしてもう1つは、自分が従えている、守らなければいけないものたちのために戦うモンスター。

強いだけではない個性を、私も持っていると見抜いてくれたのかなと思ったので、“かっこいい”“怖い”みたいな単純なものではなく、もっと深い、見方によっては“モンスターに見えない”一面みたいなものが出てきたら面白いなと思っています。ディープな2役にしていきたいですね。歌も歌う予定です。

ミュージカルもやってみたらって? やっちゃいますか(笑)。これまでもお話はあったんですが、自分のライブと重なったりして、なかなかタイミングが合わなかったんですよ。でも観るのも好きだし歌で表現するのも好きだから、ミュージカルもやりたいです。

声域はけっこう広い方ですが、たぶんライブとは違う声の出し方だと思うので、一生懸命やらせていただきます。生きているうちに、いろんな声の出し方を習得したいですね。一度の人生、精一杯楽しみたいです!」

公演情報

舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』製作発表にて。土屋さん(前列左)はキャスト、クリエイターたちと意気込みを語った。(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI (C) SaGa THE STAGE Re;univerSe
舞台『SaGa THE STAGE~再生の絆~』製作発表にて。土屋さん(前列左)はキャスト、クリエイターたちと意気込みを語った。(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI (C) SaGa THE STAGE Re;univerSe


「サガ」シリーズ35周年記念公演『SaGa THE STAGE〜再生の絆〜』2月22~25日=サンシャイン劇場、2月29日~3月3日=サンケイホールブリーゼ

文:松島 まり乃

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