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ファストフード店の店員さんは「客にあだ名」を付けるってホント?元スタッフが体験を赤裸々告白!

  • 2024.2.9

40%以上が「月に1回以上」ファストフード店を利用

ファストフード店員が客にあだ名を付けるってホント?
ファストフード店員が客にあだ名を付けるってホント?

安くて早くておいしいファストフード店は、日常的に利用しているはずも多いはず。マイボイスコムが2023年10月に発表したインターネット調査によると、41.9%の人が月に1回以上ファストフード店を利用していると答えています。

特に人気が高いチェーンは、「マクドナルド」が73.4%、「ケンタッキーフライドチキン」が44.2%、「ミスタードーナツ」「モスバーガー」が各30%台(複数回答可)。利用する動機として「気軽に立ち寄れる」「値段が手頃」「おいしい」などが上位に並びました。

ところで、かなり頻繁にお店へ通うことで、店員に顔を覚えられているな、と感じた経験はあるでしょうか。レジでふと目が合ったとき「この人また来たな!」というニュアンスを相手の瞳の奥に感じ取り、何となく居心地悪くなったという人もいるかもしれません。

高級店のように「接客担当者」が付くわけではないファストフード店。それでも人と人なので互いの記憶に残ることも。あまりによく見る客に対しては、店員たちがひそかに「あだ名」を付けていることもあります。

かつて東京近郊の大手ファストフードチェーンで長年バイトをした30代の女性に、「客に付けたあだ名」と「あだ名を付けたくなる客の特徴」について聞きました。

あだ名1.あまりに理不尽な接客に耐えてくれたお客さまへ

彼女が某ファストフード店で働いていたのは今から20年ほど前。高校時代から大学時代までの放課後をその店にささげました。

当時はまだ今のようなDXシステムは導入されておらず、レジで受けた注文はレシートと同じ感熱紙に印刷されたものをレジ内のボードに張り付け、メニュー提供の済んだものからその紙を捨てていく仕組みで運営されていました。

ある日曜日の昼、ファミリーたちの一斉来店で店内はてんやわんやに混み合い、2時間ほどレジが途切れずやっと一息ついたのは14時半頃。レジ係をしていたバイト2~3人で「今日はもう1日分働いたわ……」とねぎらい合っていたとき、「すみません。僕の注文まだ来てないんですけど」とレジカウンター脇から声を掛けてくる男性あり。

「12時過ぎ頃に『アロエシェイク』を頼んだのですが……」

エッ!?と思ってレジの履歴をさかのぼると、たしかに12時過ぎにアロエシェイク一つをオーダーされた記録が。しかしアロエシェイクを作って彼のテーブルへ運んだ記憶のあるスタッフは一人もいませんでした。

「誠に申し訳ございません!今すぐお持ちいたします!」

平謝りし、アロエシェイクを届けると、「いえ、忙しかったみたいなので、大丈夫です」と信じられないような慈悲の返事が。

その彼がよく店に来る受験中の高校生で、ちょっと人目を引く色白のイケメンだったことから、スタッフの間では敬意を込めて「アロエ2時間待ち」というあだ名が付きました。あだ名としては長いので、以降は「アロエ」と呼ばれるようになりました。

あだ名2.喉が渇きやすいの?大量の「お冷や」を頼む客

ファストフード店のハンバーガーのイメージ
ファストフード店のハンバーガーのイメージ

暑い8月の時期です。冷たいドリンクやアイス系のスイーツがその日もよく売れていました。

とにかく体が大きくて汗もたくさんかいている男性客が、ランチのセットメニューと併せて「Lサイズのお冷や二つください!」と注文していきました。

この男性もよく見掛ける常連さんですが、夏場になり「Lサイズのお冷や二つ」が毎回の合言葉になっていました。このように特徴的・印象的な注文を受けると、ついあだ名を付けてしまうのが店員のさがです。

彼に付いたあだ名は「L水」でした。L水の男性にはあるとき、別の女性スタッフがLサイズのカップぎりぎりまで氷を詰めて水をほんの少しだけ入れて提供するという試みを行っていました。

これは単なるイタズラ・いじわるではなく、ときどき飲食しきれないサービス品(お冷や、ケチャップ、マヨネーズなど)を過剰に要求する客がいるため、本当にお冷やがそれほど必要なのかを探るためのものでした。

「すみません!この水、氷多過ぎて水全然入ってません!」。すかさずレジにクレームを言いに来るL水の男性。やはり2杯分のLサイズのお冷やをきっちり飲みきっていたようでした。

あだ名3.ドライブスルーの珍客…ネーティブ並みの発音で

その元女性スタッフが働いていた店舗にはドライブスルーも併設されていて、土日は店舗と同じくらいドライブスルーのレジも混雑を見せます。

そして土日の昼頃になると必ず現れるドライブスルー客が「キャメラさん」でした。

ドライブスルーの注文用マイクの近くに設置されている動画カメラに限界まで顔を近づけ、「もしもし!?これキャメラ映ってる!??」とマイク越しに店員に呼び掛けるのがお決まり。

その「キャメラ」の発音が英語ネーティブかと思うほど美しく、あまりに忙しくて頭がパンクしそうなときに「キャメラ」を聞くと、なぜか癒やされて一服の清涼剤になるスタッフが続出したのだとか。

キャメラさんは商品の受け渡しや代金支払いなどの態度もジェントルで、最後は「ありがとう~!!」と言って去っていく人。40~50代くらいの男性で、キャメラさんの接客に当たった人は来週はラッキーという願掛け要素まで見いだされていたそうです。

あだ名4.レジでの会計はキッチリ!きちょうめんさが特徴

ファストフード店の店員のイメージ
ファストフード店の店員のイメージ

電子マネーなどなく、全ての会計が現金で行われていた当時。レジでの支払いに1円単位まで細かい小銭を出し、ぴったりの釣り銭を求める男性客がいました。年齢は30歳前後くらいでしょうか。スタッフの間で、彼は「ジャストさん」と呼ばれていました。

例えば消費税込みで756円の注文だった場合。756円ぴったりあれば当然その額を、ぴったりの所持金がなかったとしても800円や1000円など“雑”な会計の出し方は決してせず、1056円とか811円とか1306円という風に、少しでも小銭の返しが少なくなる額を出してくるのでした。

スタッフの間では「できるだけ少ない小銭のお釣りをもらうのが快感なのだろう」と見る説と、「算数が得意で、かつレジ係に負担を減らすために気を利かせてくれているのだろう」という説が拮抗(きっこう)。

優勢なのは後者説でした。なぜなら、少ない小銭が目的なら、そもそも1円玉が何枚も財布に入る機会がない。毎回毎回ジャストな会計を心掛けるのは彼の気遣いなのだ、というのがその理由でした。

※ ※ ※

以上、いずれの例も、客に対して悪い印象を抱いているケースはなく、むしろ愛着や敬意を込めて呼んでいたものばかりです。元スタッフの女性いわく、「そもそもクレーマーなどの迷惑客はあだ名を付けている余裕などなく、必要に応じて運営本部に報告するなどしかるべき対応が求められた」とのこと。

数多くの客の中から、顔を覚え、固有の特徴を見いだし、こっそりとあだ名まで付けてしまう――。そんなお客さんは、その店のスタッフたちから愛されていると言っても過言ではありません。

(LASISA編集部)

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