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お酒のなかでも赤ワインが頭痛を誘発しやすいのはなぜ? 海外研究がその原因とメカニズムを指摘

  • 2024.2.5
赤ワイン

ほかのお酒は大丈夫なのに、なぜか赤ワインを飲むと小さいグラスに1杯ほどの少量でも頭痛が起きてしまうという人がいるかもしれません。実際そのようなケースはあるものの、その原因はよくわかっていません。そうしたなか、新たな海外研究より「ケルセチン」というポリフェノールの一種がアルコールの分解を妨げていると報告されました。当てはまる人は体への悪影響も考えられますから、気をつけておくとよいかもしれません。

“赤ワイン頭痛”という言葉も

頭痛

飲酒が頭痛の原因になり得ることはわかっていますが、特に赤ワインは蒸留酒や白ワイン、ビールなどよりも二日酔い以外の頭痛を誘発しやすいという研究結果があるといいます。“赤ワイン頭痛”という言葉もあるほど。原因としてフラボノイドやタンニンなどの成分が挙げられていますが、そのメカニズムも含めてまだ特定されていません。

赤ワインは白ワインに比べて、フェノール系の化合物、特にフラボノイドが10倍も多いため、赤ワイン頭痛の原因物質として有力とはいえ、フェノール類自体やそれを多く含む食品は頭痛を引き起こすものではありません。

ただ、赤ワインに含まれるフェノール類の一部、特に「ケルセチン」というフラボノイドが、「アルデヒド分解酵素」の働きを阻害するという研究結果が出ていました。アルデヒド分解酵素というのは、体内でアルコールが酵素により分解されてできる「アセトアルデヒド」という刺激や炎症を起こす有害な物質を、無害な酢酸に分解する酵素。アルデヒド分解酵素の働きが悪かったり、お酒を大量に飲んだりすると、アセトアルデヒドの分解が間に合わずに体にたまってしまい、吐き気や頭痛などの有害な影響を引き起こします。

そこで今回、米国カリフォルニア大学の研究グループはこの点に着目し、検証することにしました。研究グループは、ケルセチンを含めて赤ワインの成分であるさまざまなフラボノイドがアルデヒド分解酵素の働きをどれくらい阻害するのか、実験器具を使ってフラボノイド類と酵素の反応を調べてみました。

ケルセチンの含有量は大きく異なる

赤ワイン

こうして研究で確認されたのが、ケルセチンが肝臓で代謝されてできるケルセチン・グルクロニドという物質が、アルデヒド分解酵素の働きを最も強く低下させることです。カテキンなどほかのフラボノイド類の作用はごくわずかか、多くてもその半分に満たない程度でした。

ケルセチンはぶどうを含む数多くの果物や野菜に含まれ、健康によい抗酸化物質とみなされていて、サプリメントもあります。でも、アルコール(エタノール)と一緒にとると、その代謝物がアセトアルデヒドの分解を阻害することになるわけです。

これまでの研究から、赤ワインは白ワインよりもケルセチン含有量が多く、赤ワインを飲むと、今回示されたアルデヒド分解酵素の働きを低下させるレベルのケルセチンをとり込むことになるといいます。

ただ、同じ赤ワインでもケルセチンの含有量はさまざま。たとえば、ぶどうのケルセチンは日光によって作られるため、ぶどうの房を日光にたくさん当てたものほど含有量が多く、4〜5倍になる場合もあるほか、発酵や熟成方法の違いによっても含有量に差が出ます。もともと頭痛が起きやすいといった感受性の高い人は、少量でもケルセチンが含まれている赤ワインを飲むと、頭痛につながるかもしれないと研究グループは指摘しています。

次の研究では、ケルセチンの含有量が異なる赤ワインを実際に飲んでもらって検証する予定だそう。成功すれば、人によって“赤ワイン頭痛”が起きやすい理由など重要な問題の解明につながるのではないかと、研究グループは期待しています。

 

<参考文献>

Why Do Some People Get Headaches From Drinking Red Wine?
https://www.ucdavis.edu/health/news/why-do-some-people-get-headaches-drinking-red-wine

Devi A, Levin M, Waterhouse AL. Inhibition of ALDH2 by quercetin glucuronide suggests a new hypothesis to explain red wine headaches. Sci Rep. 2023 Nov 20;13(1):19503. doi: 10.1038/s41598-023-46203-y. PMID: 37985790; PMCID: PMC10662156.
https://www.nature.com/articles/s41598-023-46203-y

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