10代後半女性の二人に一人は「推し活」をしている(2024年1月「推し活総研」調べ)とされる現代。ライブ、コンサートなどのリアルイベントで推しを応援するファンたちの間で、ひそかに広がりを見せる“新習慣”があります。それは、とある栄養素の入ったサプリメントやドリンク、飴(あめ)などを食べること。なかには会場で配ったり交換し合ったりする人もいるようで、この流れに乗って関連商品を開発・発売するメーカーも次々と現れています。
“目にいい”健康食品、若い女性に人気
その栄養素(食材)とは「ブルーベリー」。X(旧ツイッター)では2019年頃から、
「ライブ前に飲んだら視界がめっちゃクリアになった」「目の悪い私も推しをしっかり捉えることができた」「開始30分前に飲んで効果を実感しました!」
など、イベント前のブルーベリー摂取を推奨するファンたちの書き込みがいくつも見られるようになりました。投稿者は主に10~20代の若い女性たちとみられ、中には「次の現場(イベント会場)で配るから皆でしっかり推しを拝もうね!」と、自ら配布係を買って出る猛者もいるようです。
ご存じの通りブルーベリーには、目に良い栄養素として注目されてきた「アントシアニン」などが含まれており、商品名にブルーベリーを冠した健康食品は数多く市場に出回っています。
推し活女子たちの間でまず話題となったのが、DHCの「速攻ブルーベリー」というソフトカプセルタイプのサプリ。パッケージや公式サイトの商品情報欄には「溶出スピード約3倍」「よりスピーディに実感したい方に」といった文言が踊ります。
こちらは健康食品のため効果を保証するものではなく、SNSへの報告もあくまで個々人の感想ではありますが、
「デカい会場で推しが豆粒サイズでも、この目でハッキリ見たいんだ」「大好きな推しのことは毛の先まで見たいんだもん」
という推し活女子たちの切なる願いをサポートしてくれるアイテムとして、厚い支持を獲得したようです。
メーカーも反応、主流はドリンク?
こうした需要に、各メーカーも反応。推し活シーンでの活用を前面にした新商品が今、次々と登場しています。
2023年12月に発売されたのは、ブルーベリーのサプリを看板商品に持つ「わかさ生活」と飲料メーカー「エルビー」のコラボ商品「ミエルン」です。
“推し活サポート”とはっきりうたっており、わかさ生活の公式YouTubeチャンネルでは「推しをクリアに見ようじゃないか!」という掛け声に併せて同商品をPRしています。
エルビー開発担当者は同チェンネルの中で「健康をうたう商品はなかなか若者に購入いただけなかったが、Z世代に響く商品を作りたいと(ミエルンを)企画しました」と背景を語りました。
また2024年3月4日(月)に発売予定なのが、常盤薬品工業の「GEKIMI 推し活エナジードリンク」。
外装箱には「一瞬たりとも見逃したくない 飲む推し活!」「見えた分だけトキメキUP」というフレーズが並び、ライブ会場を思わせる照明やペンライトをデザイン。ポップシールは推し活に欠かせないウチワ型で「どこだって神席♪ LIVEに ビルベリー約100個分」と書かれています。
同社の広報担当者は取材に対し、
「ヘルスケア部門と化粧品部門を横断したプロジェクトで、メンバーにはデザイナーやプロモーション担当など普段は商品開発を担当していない者も多く、ユニークなチームで開発しました。実際に推し活を行っている社員の意見もふんだんに取り入れ、デザインにもこだわりました」
と話しました。同社は2月18日(日)まで「推し活」にまつわる川柳作品を募集するなど、さまざまな方法で新商品のPRを展開してます。
GEKIMIは、ブルーベリーそのものを思わせる濃厚な群青色でとろみのある質感。実際に飲んでみると見た目よりサラッとした飲み口で、爽やかな甘さがドリンクとしても魅力的な味わいでした。
どちらの商品も推し活“専用”という訴求の仕方が今日的であり、また従来のサプリ商品に対してドリンクタイプを投入している点が特徴的です。
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矢野経済研究所の調査では、市場規模は年間7000億円にも上るとされる「推し活」。ライブイベントや公式グッズだけでなく、今回紹介した「推しをよく見るための商品」のような関連商品は今後も続々登場していきそうです。
(LASISA編集部)