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バレンタインに! 手軽に手作り〈チョコレートファッジ〉

  • 2024.2.4

イギリスの物語などで時々出てくる、ファッジというお菓子。キャラメルのようだけれども、じつはちょっと違う、イギリス伝統のお菓子です。イギリス菓子研究家でパティシエのThe Pudding Party Tomoさんは、かつて、このファッジづくりに大変苦労されたとか。今回は、手軽に作れるチョコレートファッジの作り方を教えていただきます。バレンタインのプレゼントにもぴったりですよ。

ハリポタにも登場する定番おやつ

チョコレートファッジ

ファッジはイギリスでは定番の、なくてはならないお菓子です。見かけはキャラメルのようですが、歯にくっつく感じはなく、口の中でスッと溶けます。キャラメルが苦手な私も好きな、紅茶やコーヒーと一緒に、ついつい、あと一つ! と、手が止まらなくなるイギリス菓子です。

ファッジ
バニラ味の伝統的なファッジ。

伝統的なファッジはキャラメルのようなバニラ味のものですが、今はチョコレート味や、マシュマロ入り、ナッツ入り、リキュール入りなど、いろいろなバリエーションがあります。ファッジは〈ハリー・ポッター〉のお話にも出てきますし、日本の人気テレビ番組でも紹介されているので、ご存じの方もいるでしょう。私がかつてイギリス、コッツウォルズで働いていたホテルでは、このお菓子はデザートの後、コーヒーや紅茶と共に食事の最後に出すものでした。甘いデザートの後の、甘いファッジ…。イギリス人の甘いもの好きにはいつも驚かされます。

ちょっと寄り道 語学学校時代の思い出

イギリスのミントチョコ〈アフター・エイト〉
イギリスのミントチョコ〈アフター・エイト〉。Only_NewPhoto/Shutterstock.com

ファッジのように食後に出すお菓子といえば、私が語学留学時代にアルバイトをしていた中国人経営の和食レストランでは、〈アフター・エイト〉という、ミントクリームを挟んだ薄いチョコレートを出していました。イギリスでは有名なお菓子で、日本人はこの爽快なミントクリームに好き嫌いがあるかもしれませんが、私は大好き。日本でも手に入るので、ミント好きな方はぜひ試してみてください。

ちなみに、このアルバイトは語学の実地体験の場として本当によかったと思います。語学学校では先生たちは分かりやすい英語を話してくれるので、なかなか一般の人が話す、生の英語に触れることはありません。一方、このレストランに来るのは現地のイギリス人ばかり。生きた英語、特に若者の話す英語は、早口でスラングが混じって分かりづらいものでしたが、あー、そんな言い回しもするのね……と、自分で使いこなすまではいかなくても、学ぶことができました。予約など、顧客からの電話に出なくてはならないこともあり、最初は本当にドキドキしましたが、鍛えられて度胸がつきました。また、店では、日本語を教えてほしいというビジネスマンや、家に招いてイギリス菓子を教えてくれる方など、日本好きな方たちとの出会いもあり、貴重な体験をしました。

パティスリー
フランスのパティスリーに美しく並ぶお菓子。

わずかながらも収入を得ると、心の余裕もできました。どんどん減っていく貯金額に恐怖を感じて、節約に徹していた日々から脱し、そのお金でさらにティールーム巡りをしたり、イギリス国内やフランス、イタリアを旅したり。語学学校で出会ったフランス人の友達とはフランスへ、イタリア人の友達とはイタリアへ。出逢いに恵まれた、かけがえのない旅の思い出です。

イタリアの菓子
イタリアのお菓子屋さんはおおらかで親しみやすい雰囲気。

どこを旅しても、お菓子屋さんばかり訪ねていました。店もお菓子も、その国によって個性があって、面白いなと思いました。フランス菓子はやはり美しい! それに比べてイタリアはおおらかな印象です。

苦戦したファッジづくり

チョコレートファッジ

さて、ファッジに話を戻しましょう。これがまた、コッツウォルズのホテルでパティシエとして働いた際に、特に苦戦したお菓子の一つでした。見たことも、食べたことも、もちろん、作ったこともないお菓子。それを、とてつもなく大きな寸胴で大量に作らなくてはならない。なのに……以前の記事でもお話ししましたが、レシピは適当!

ファッジ作りの手順は、生クリーム、砂糖、バター、バニラを、寸胴に入れて火にかけ、鍋から目を離さずに、煮詰め具合の色とテクスチャー(質感)を確認しつつ、ちょうどよいタイミングになったら、目分量で粉糖を振り入れながら混ぜていく、というもの。レシピはあるようでなく、とにかく自分の感覚で作るのです。お客様に出すものなので、失敗は許されません。大量の材料を無駄にできないというプレッシャーもあって、最初は本当に気の重いミッションでした。仕上がりが固すぎたり、柔らかすぎたり……。もちろん、何度も何度も作るうちに、慣れて感覚を掴むことができましたが、失敗して落ち込むことも度々ありました。というわけで、ファッジは私にとって、思い出深いお菓子の一つです。

今回ご紹介するチョコレート入りのファッジは、伝統的なバニラ味のものより、ずっと簡単に作ることができます。チョコレート自体の固まる性質を利用したレシピで、バニラ味の場合のように煮詰めなくていいので、失敗が少ないと思います。ただ、チョコレートは高温になりすぎないよう注意。チョコレートが焦げるとボソボソになってしまうので、溶かすときは慎重に、ゆっくり弱火で。そこだけは注意が必要です。

それでは、作っていきましょう!

チョコレートファッジの作り方

チョコレートファッジの作り方

材料(18x18cmの型)

  • 練乳……240g
  • チョコレート……280g
  • バター……40g
  • 塩……ひとつまみ
  • バニラエッセンス……少々

*チョコレートは高級なものを使えばもちろん美味しくなりますが、普通のチョコレートを使ったほうが、こういったイギリス菓子には合う気がします。ミルクかビターかは、お好みでお選びください。甘いのがお好きな方はミルクで。ミルクのほうが、若干柔らかめに仕上がります。

作り方

1.練乳とチョコレートを鍋に入れて、弱火にかける。

チョコレートファッジの作り方

とにかく弱火でゆっくりと。チョコレートを高温にしないように。チョコレートが溶けたらすぐに火から下ろす。

チョコレートファッジの作り方

2.1の鍋にバターと塩、バニラエッセンスを入れ、しっかり混ぜる。

チョコレートファッジの作り方

しっかり混ぜると下写真のようなツヤが出る。

チョコレートファッジの作り方

3. 型にオーブンペーパーを敷き、2を流し、平らに整える。

チョコレートファッジの作り方

大体きれいにならす程度でよく、そのまま固める。冷蔵庫に入れるなら1時間、常温なら4時間以上おく。

チョコレートファッジの作り方

仕上がりはこんな感じ。

4.好きな大きさにカットする。

チョコレートファッジの作り方

常温で1週間ほど保存が可能。冷蔵庫に入れて保存してもよいが、食べるときは口どけをよくするため、常温に戻しておくのがおすすめ。

チョコレートファッジの作り方

ラッピングは、生チョコの空箱に入れたり……

チョコレートファッジ

袋に入れてシールで飾ったり。ポップにしてもかわいい!

チョコレートファッジ

ただ混ぜて冷やし固めるだけで、美味しくなる魔法のファッジ。

ぜひ作ってみてください。

Credit
写真&文 / The Pudding Party Tomo - イギリス菓子研究家/パティシエ -

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA

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