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運命の人は何回会えば分かる? 条件派と直感派、結婚に近い道は 『婚活1000本ノック』3話

  • 2024.2.3

ドラマ『婚活1000本ノック』(フジ系)は、お笑いトリオ「3時のヒロイン」の福田麻貴が主演し、ダンスボーカルグループ「FANTASTICS from EXILE TRIBE」の八木勇征がバディ役を務める、婚活ラブコメディー。33歳独身・南綾子(福田)の婚活を、幽霊になってしまった山田クソ男(八木)がサポートする。第3話では、年収や見た目などの「条件」ではなく、「心を揺さぶられるかどうか」で結婚相手を決めたい綾子の価値観が、また一波乱を呼ぶ。

「心揺さぶられる相手」の現実味

自分の幸せを掴(つか)むため、山田を虫に転生させないため(?)、婚活に励む綾子。彼女の姿を見ていると、そもそも婚活は何のためにするのか?結婚相手に何を求めるのか?といった疑問を両手に、袋小路に嵌(はま)ってしまう。

婚活をする理由は、もちろん結婚するためだ。そして、結婚をしたい理由は、もちろん幸せに生きていきたいからだろう。

そう考えると、幸せな結婚を叶(かな)えるために、理想の条件に合う結婚相手を見つける必要がある。そんな思考の流れを辿(たど)るのが「普通」かもしれない。実は綾子と同じく、せっせと婚活に励んでいた同期デビューの小説家・九本凛(関水渚)も「婚活は、条件が合うかどうかじゃないですか?」と言っている。

しかし、そんな九本に対して、綾子は「一番大事なのは心揺さぶられるかどうかでしょ、普通!」と返す。

そもそも、自分の人生における幸せに、恋愛や結婚が必要なのかどうかもわからない。それなのに「幸せな結婚のために、心を揺さぶられる相手を探しましょう!」なんて言われても、あまり現実味がないと思う。

九本のように、結婚相手に求める条件をしっかり洗い出したうえで、ピンポイントに合致する相手をマッチングアプリや相談所で探すのか? それとも綾子のように、自身の直感や心の反応に従って運命の相手を見極めるべきなのか――?

早々に見切りをつけてはいけない?

九本のような「条件派」と綾子のような「直感派」。婚活において、どちらのほうがより結婚に近しい道なのだろうか。

結果的に、綾子はラテンダンスの婚活パーティーで知り合った情熱的な男性“熱盛”(大貫勇輔)という結婚詐欺師に引っかかりかけ、九本は理想に合う高スペックの男性・堂島(風間俊介)と出会った。そうなると、九本のような「条件派」のほうが理想的な相手と結婚できそうに思えるが……。

九本と堂島が、少しずつ関係性を深めていく過程を見ていると、自分に合う「運命の相手」を見つけることの難しさに、思わず唸(うな)ってしまう。

九本と初対面の堂島は、彼女と一度も目を合わせることなく、ただ聞かれたことに答えるだけだった。明らかに九本には興味がない様子に見える。九本自身もそれを感じていて、次につながる関係ではないだろうと早々に見切りをつけそうになる。

しかし、なんと堂島から仮交際の申し入れがあったのだ!

実のところ九本は、山田と同じく死んで幽霊になった父・龍二(宇梶剛士)に婚活をジャマされ続けている。それは、いまだに彼女が独身でいる理由かもしれない。そんな龍二と、綾子の婚活をイヤイヤ手伝わされている山田によって、九本と堂島は倉庫に閉じ込められる。龍二としては、二人のデートをジャマするのが目的だったはずが、反対に九本と堂島の仲を進展させる結果となってしまう。

もともと堂島は、女性と話すのが苦手な自分に対し、興味を持って質問してくれる九本に好印象を持っていた。そこにきて、龍二と山田の仕掛けたハプニングが功を奏す。堂島の誠実さを知った九本は、彼への考え方を改める。

第一印象はすこぶる悪かったけれど、何度か会って話してみたら意外と良い人だった、というパターンは、現実の婚活現場ではおそらく相当レアだろう。多くの場合、初対面、良くて2度目で相手のことを判断してしまい、今後も継続的に会うかどうかを決めることになる。

2話で、綾子がハートパイ(竹財輝之助)のことをどうしても好きになれなかった点にも、この問題が絡んでいると思えてならない。果たして、何度会えば「運命の人」だと分かるのだろう。

綾子と山田、絶妙なバランスがクセになる!

この『婚活1000本ノック』が、ただのドタバタ婚活ラブコメで終わっていない理由のひとつは、主人公・南綾子を演じる福田の俳優としてのポテンシャルにある。

芸人が役者としてドラマや映画に出演する例は、もはや珍しいことではない。福田も、これまで何作かに出演している。だが、今回、ゴールデン・プライム帯のドラマに主演で抜擢(ばってき)されたことには驚いた。

しかし、ここにきて山田を演じる八木との絶妙なバランスも相まって、コミカルかつ真摯(しんし)に「自分の幸せを追い求める女性像」を実現させている。福田の砕けすぎず、かといって力が入りすぎてもいない、なんとも自然な演技のおかげでスッと物語に入り込める。

山田の可愛らしさや、あまり物事を深く考えすぎない性格と見せかけて、実は思慮深い面もあるパーソナリティを表現する八木の魅せ方も見事だ。

綾子が、出会ったばかりの熱盛にときめき、テーブルを挟んで二人で見つめ合っているシーンがある。間にひょっこりと顔を出し、綾子のことは心配そうに、熱盛のことは疑わしげに見る山田の様子が、なんとも微笑ましい。なんだかんだ言いつつも綾子の婚活を全力でサポートしているのは、本当に虫に転生したくないからか、それとも……。

密かに誕生している綾子&山田の名コンビ。果たして綾子は幸せな結婚ができるのか、自分にとっての幸せを見極められるのか。そして、幽霊になってしまった山田の行く末は?

■北村有のプロフィール
ライター。映画、ドラマのレビュー記事を中心に、役者や監督インタビューなども手がける。休日は映画館かお笑いライブ鑑賞に費やす。

■モコのプロフィール
イラストレーター。ドラマ、俳優さんのファンアートを中心に描いています。 ふだんは商業イラストレーターとして雑誌、web媒体等の仕事をしています。

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