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坂本龍一トリビュート展など、いま行きたい展覧会4選。

  • 2024.2.3
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異文化体験がもたらす関係性のリアリティ。

『荒木悠 LONELY PLANETS』

幼少期から日本とアメリカを行き来し、日米の文化を等価値に見て育った荒木悠。日本と欧米諸国の文化交流史を丹念に調査し、異国の文化が伝搬される過程で生じる曲解や摩擦をテーマに、主に映像表現に取り組んできた。本展では4点の新作を含む8作品を発表。なかでも現地で制作した『NEW HORIZON』は、北米や南アフリカから派遣され、地域の小中学校で教える6人の英語教師へのインタビューと、江戸時代に密入国し、日本人通訳者育成に貢献した北米人のモノローグが重なり合う。時代を超えて異文化体験がもたらす奇妙なひずみと教え子や住民と心を通わせる喜びが語られる本作は、荒木自身の経験と知見に基づく文化交流と人間関係のリアリティを如実に伝える。

『荒木悠 LONELY PLANETS』会期:開催中〜3/31会場:十和田市現代美術館(青森・十和田)営)9:00〜16:30 最終入場休)月、2/13※ 2/12 は開館料)一般¥1,800●問い合わせ先:tel:0176-20-1127https://towadaartcenter.com

作家たちが示す、未来に向けた坂本龍一像。

『坂本龍一トリビュート展音楽/アート/メディア』

黎明期よりインターネットに関心を寄せ、メディアテクノロジーの導入を積極的に行ってきた坂本龍一。ライゾマティクスの真鍋大度を共同キュレーターに迎える本展では、遺された貴重なデータを活用した真鍋らによる新作、カールステン・ニコライ、高谷史郎、毛利悠子、李禹煥など、国内外のアーティストたちが、坂本の芸術的志向を未来へと受け継ぐ作品を展示する。メディアアートの分野に計りしれない功績を残した巨人の追悼とともに、これまでのICCでの展示記録などを含む構成により坂本の活動を継承し展開することで、未来に向けた坂本龍一像を提示することを試みる。世界から敬愛される唯一無二の芸術家へのトリビュートを、作品を通して表現する展覧会となる。

『坂本龍一トリビュート展音楽/アート/メディア』会期:開催中〜3/10会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]ギャラリーA(東京・西新宿)営)11:00〜17:30 最終入場休)月、2/11、2/13※ 2/12 は開館料)一般¥800●問い合わせ先0120-144-199(フリーダイヤル)www.ntticc.or.jp

多層的な迷宮の先で覚醒される感覚。

『白井美穂森の空き地』

メディアを自在に横断する活動を続ける白井美穂の美術館初個展。貴重な初期作品を再構成し、最新作とともに展示する。1980年代末から90年代、バブル終焉を背景に社会的慣習や風俗を引用し、家具など既製品を洗練された手つきで取り入れたインスタレーションや、2000年代半ば以降の明るい色の布や糸などの柔らかい素材を用いた作品や絵画など、中心的役割を果たしてきた作品群を展示。日英修好通商条約締結150周年記念に制作されたハイビジョンの映像作品『Forever Afternoon』では白井自身が「不思議の国のアリス」を演じ、夢と現実がひと続きの異界を展開する。展示全体を通して、ものと空間とイメージが絡まり合う迷宮の先に開かれる"空き地"の感覚が覚醒されるだろう。

『白井美穂森の空き地』会期:開催中〜2/25会場:府中市美術館(東京・府中)営)10:00〜16:30最終入場休)月、2/13※ 2/12 は開館料)一般¥700●問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)www.city.fuchu.tokyo.jp/art

光と闇を等価に扱う独自の制作姿勢。

『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』

蜷川がクリエイティブチーム・EiMとして挑む、作家にとって過去最大規模のスケールの展覧会。研究者や建築家、音楽家といった異分野の奇才たちと共創された映像、写真、立体展示など、新作11点が一堂に会する。暗闇の回廊を通って辿り着く展示空間は、蜷川の真骨頂である「100万色の桃源郷」だ。なかでも映画のセット技術を使い、70種以上の極彩色の造花で埋め尽くすインスタレーションは圧巻。一方で、日常の中にある儚い美しさを慈しむように、花々や蝶を捉えた映像上映の展示室では透明感のある光と色に陶然とさせられる。幼少期から父の仕事場である虚構の世界に遊び、自身も光と闇を等しく扱ってきた蜷川の制作姿勢が、本展では余すところなく表現されている。

『蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠』会期:開催中~2/25会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(東京・虎ノ門)営)10:00~19:30 最終入場※火は16:30、金、土、2/22 は20:30 最終入場無休料)一般¥2,500※ 土日祝は¥2,800●問い合わせ先:tel:03-6433-8200https://tokyonode.jp

*「フィガロジャポン」2024年3月号より抜粋

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