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「夢物語」が「リアルな目標値」に。大谷翔平は、イチロー以来20年振りの日本人首位打者、アジア人史上初の快挙の可能性も…!

  • 2024.5.18
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写真:SANKEI

今季からロサンゼルス・ドジャースへと移籍を果たした大谷翔平選手。FAで大型契約を結んだ選手の移籍1年目は周囲からのプレッシャーなどの影響で数字が残せず苦しむケースも多く見られますが、大谷選手はどこ吹く風。5月16日(現地時間)終了時点で43試合に出場し、打率.364(MLB1位)、12本塁打(リーグ1位タイ)、63安打(MLB1位)、30打点(リーグ6位)、10盗塁(リーグ10位タイ)、OPS1.108(MLB1位)と、今季も規格外の数字を叩き出しています。

こうなると、ファンの期待は昨季に続く2年連続の本塁打王&MVP受賞。ピッチャーとしてはリハビリ期間の今季、バッターに専念した大谷選手がどれほどの数字を残すのかが、大きな注目を集めています。ちなみに、現在までの大谷選手の成績をシーズン162試合に換算すると以下のような数字になります。

打率.364
本塁打43
打点108
安打227
盗塁36
OPS1.108

(※本塁打~盗塁の小数点以下は四捨五入)

イチロー以来20年振りの首位打者獲得の可能性も

本塁打は昨季が44本でキャリアハイが2021年の46本、打点は昨季が95打点でキャリアハイが2021年の100なので、例年とほぼ変わらないペースと言えそうですが、特筆すべきは打率と盗塁数です。昨季、メジャーではキャリア初となる打率3割をマークした大谷選手ですが、今季はそれをはるかに上回るペースでヒットを量産。このままいけば、2004年のイチロー選手以来、日本人としては実に20年ぶりの首位打者獲得も夢ではありません。同じく安打数も200本を大きく超えるペースで、これも2010年のイチロー選手以来日本人2人目。今季の大谷選手は持ち前のパワーだけでなく「率」も残せる進化を見せていると言っていいでしょう。

今季のバッティングを見ると、真ん中よりアウトコース寄り、さらに低めのコースに対しては無理に強振するのではなく、逆らわずに逆方向へしっかりと打ち返すシーンが増えているように感じます。大谷選手はアウトコースでも高めに浮けば簡単にスタンドインさせる力を持っているので、相手ピッチャーとしては昨季以上に穴の少ないバッターになっていると言えるでしょう。

アジア人史上初の快挙の可能性も

盗塁数に関しては2021年の26盗塁を大きく上回るペースで量産中。バッター専念の今季はスプリングキャンプから走塁練習にも力を入れており、一部からはアジア人史上初、MLBでも過去に5人しか達成していない40‐40(40本塁打&40盗塁)」を期待する声も挙がっています。

また、今季の大谷選手にとって有利なデータになりそうなのが、これからやってくる「6月」がもっとも「得意」な月だということ。2021年からの3年間の6月月間成績は以下になります。

2021年 打率.309 本塁13 打点23 OPS1.312
2022年 打率.298 本塁打6 打点17 OPS.972
2023年 打率.394 本塁打15 打点29 OPS1.444

このうち、2021年と2023年は月間MVPも受賞するなど、夏前のこの時期に一気に調子を上げてくるのが大谷選手の“いつものパターン”。今季も例年通りここからさらに調子を上げ来た場合、40‐40はもちろんですが三冠王も含めた打撃タイトル独占も夢ではないかもしれません。

その上で大谷選手に期待したいのが「40‐40」をさらに上回る数字を残すこと。昨季、アトランタ・ブレーブスのロナルド・アクーニャ・ジュニア選手が史上初の40‐70(40本塁打&70盗塁)を達成してMVPに輝きましたが、大谷選手であればこれまた史上初となる「50‐40」や「50‐50」も夢ではありません。

この数字をクリアできれば、2年連続の本塁打王はもちろん、「指名打者専念」の選手としては過去に一度も受賞経験のないMVPを2年連続、さらにはリーグをまたいで受賞することも可能になるはず。

ここに書いた数字は少し前であれば夢物語」でしたが、大谷選手であれば十分に達成可能な「リアルな目標値」です。2024年はメジャー移籍後、最高のスタートを切ったと言ってもいい大谷選手。ここからさらに波に乗り、今季もまた「誰も見たことのない景色」を見せてくれることを期待しましょう。


花田雪
1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

※本記事は、5月16日の情報です

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