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存在感を示す35歳主砲…2年連続最下位から脱却へ、4番として目指してほしい“成績”

  • 2024.5.5
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写真:SANKEI

開幕から好調を維持し、一時はセ・リーグ首位に立つなど今季の「台風の目」になりそうな中日ドラゴンズ。その立役者のひとりが、今季から新加入した中田翔選手です。5月4日時点での成績は打率.275、3本塁打、14打点。まだまだ本調子とは言えませんが打点はセ・リーグ8位。ここ数年、「打高投低」が顕著だったチームの中で打線の中心として確かな存在感を発揮しています。

「もっと試合に出れば結果も残せるはず」中日への移籍を決断

中田選手は昨年オフ、読売ジャイアンツとの契約を自ら破棄(オプトアウト)して中日へと移籍しました。巨人とは今季も含めて残り2年間、推定年俸3億円(合計6億円)の契約が残っており、それを自ら捨ててまで新天地でプレーすることを選んだことになります。

移籍の最大の理由は「出場機会」だったと考えられています。昨季途中、巨人は看板選手の坂本勇人選手をサードへコンバート。ファーストには4番岡本和真選手が君臨しているため、中田選手の出場チャンスは限られてしまいます。事実、昨季は92試合の出場で本塁打も15本。年齢的な衰えもあるかもしれませんが、中田選手本人に「もっと試合に出れば結果も残せるはず」という強い意志があったことは容易に想像できます。

その意向を最大限に尊重したのが中日です。立浪和義監督は開幕から中田選手を4番に指名。現時点で出場した試合はすべて「4番」でスタメン出場しています。この起用法も、中田選手の「性に合っている」と言えるかもしれません。幼少期から怪物と呼ばれ、高校野球界の超名門・大阪桐蔭でも1年時からレギュラー2年からはエースで4番」。ドラフト1位でプロ入りし一軍定着後も日本ハム侍ジャパンで4番を務めてきたのが中田翔という男です。

良くも悪くも、つねに「チームの顔」でい続けた中田選手ですが、2021年途中から在籍していた巨人には坂本選手、岡本選手という存在がおり、なおかつ「外様」の中田選手は決してチームの“顔”ではありませんでした。

中田翔を中心とした打順構成

「外様」という意味では中日も同じですが、立浪監督の采配を見ていると中田選手の「やりやすさ」を最重要視して打線を組んでいるようにも感じます。

たとえば、昨季ブレイクした細川成也選手を中田選手の後ろを打つ5番に据えることも、それを象徴していると言えるでしょう。細川選手は昨季、3~4番を務めるケースが多く、5番でのスタメン出場はわずか14試合。しかし今季は、出場30試合中25試合で5番に座り、中田選手を強力アシストしています。

もともと、決して打率は高くないタイプの中田選手。最大の魅力はその長打力と勝負強さです。それを生かすためにも、5番に細川選手を置くことで中田選手にかかる重圧を軽減。チャンスの場面で思い切りスイングできる環境を整えているように思えます。

また、開幕から30試合が終了した時点で3試合ほど休養を与えるなど、コンディション面でも最大限の配慮を行っていることも伺えます。中田選手は現在35歳。年齢的にはベテランと言っていいキャリアを積んでいます。当然ながらシーズン通して試合に出続けることはなかなか難しく、適度に休みを与えることには「1年間コンスタントに試合に出てほしい」という意図が透けて見えます。

チーム30試合消化時点での3本塁打、14打点は143試合で換算すると14本塁打、67打点。正直、首脳陣が期待する数字はもう少し高いはずです。中田選手はこれまでのキャリアでシーズン20本塁打を9回、100打点を5回マークしていますが、できれば4番として20本塁打&90打点以上は残してほしいところ

本拠地のバンテリンドームは12球団屈指のホームランが出にくい球場」として知られていますが、中田選手は日本ハム時代、同様にホームランが出にくいことで知られる札幌ドームを本拠地としてきました。

年齢的には「全盛期並み」の数字を期待するのは酷かもしれませんが、球団、首脳陣からの全面的なバックアップを受けた中田選手が今季、どんな数字を残すのか……。

その活躍次第で、中日のチーム成績も大きく変わるはずです。2年連続最下位からの脱却を目指すチームの中で、「4番・中田翔」がどんな存在感を見せてくれるのか、大いに期待したいところです!


花田雪
1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

※数字はすべて5月4日終了時点

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