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「脅威の打率.429」岡本和真が“打率を残せるようになった”のは、これまで苦手してきた球種を克服したから!?

  • 2024.5.3

 

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写真:SANKEI

岡本和真選手 2024年成績(4/30終了時点)

28試合 打率.304(102-31)4本塁打 14打点 OPS.898
セ・リーグ打率2位、本塁打5位タイ、打点5位

今季でプロ10年目を迎えた岡本和真選手が開幕から好調です。昨季までに3度の本塁打王2度の打点王のタイトルを獲得するなど、現在のプロ野球界を代表するスラッガーとして君臨していますが今季はその打棒に磨きがかかり、3,4月終了時点で、打撃3部門すべてでトップ5入り。気の早い話ですが、三冠王の可能性すら見えてきました。

2018年にレギュラーに定着して以来、岡本選手は6シーズン連続で30本塁打以上を達成。巨人の選手としては王貞治選手、松井秀喜選手以来、球団史上3人目。右打者としては史上初の快挙となりました。

これを見てもわかる通り、長打力は以前から球界でも指折りのものでしたが、今季の岡本選手のこれまでとの違いは何といっても打率。レギュラーに定着した2018年は打率.309で3割を超えましたが、それ以降は打率3割どころか.280すら打てず、安打もシーズン150本超えは2018年のみでしたが、それが今季は28試合終了時点で安打は31本と、年間151安打ペース。

そもそも岡本選手がここまで安打を打てるようになった理由ですが……過去3シーズンと比べて明らかに異なるのが追い込まれてからの成績です。

岡本和真選手の2ストライク以降の成績(2021年~2024年)

2021年 打率.226(287-65) 13本塁打

2022年 打率.144(250-36) 4本塁打

2023年 打率.167(270-45) 9本塁打

2024年 打率.317(60-19) 1本塁打※

※4月30日終了時点


どんな打者も追い込まれると打率が下がるものですが、岡本選手の場合はそれが顕著。三振を恐れずに常にフルスイングをする打者なので追い込まれても本塁打を狙ってスイングするため、打ち取られることが多くなっていましたが、今季は追い込まれても打率.317というハイアベレージ。カウント別にみると1ボール2ストライクの状況で打率.500(14-7)1本塁打など本来なら打者が不利なカウントでも打率を残しています。

これを見ると今季の岡本選手は追い込まれると、無理にフルスイングするのではなく、ヒット狙いの打撃に切り替えていることがわかります。昨季までは自身の後ろを打つ5番打者が中田翔選手や丸佳浩選手、大城卓三選手らでコロコロと変わる傾向がありましたが、今季は開幕から坂本勇人選手がほぼ5番打者として固定。昨季も22本塁打を放つなど、衰え知らずのスラッガーが自分の後ろにいることで「無理に自分で決めなくてもいい」という意識が働き、追い込まれたらヒット狙いの打撃にシフトしているかのように映ります。

そしてもうひとつ。今季の岡本選手の打撃のポイントとなっているのがスライダーへの対応です。

岡本和真選手のスライダーの打撃成績(2021年~2024年)

2021年 打率.237(76-18)7本塁打

2022年 打率.200(70-14)3本塁打

2023年 打率.379(66-25)4本塁打

2024年 打率.429(14-6)0本塁打※

※4月30日終了時点


2022年までは外へ逃げるスライダーに対応しきれずにバットが空を切るというシーンが良く見られましたが、その苦手なスライダーを昨季は打ち込んでなんと脅威の打率.429。もともとツーシーム系のボールには例年高打率を残していることから動く球への対応力は目を見張るものがありましたが、苦手としていたスライダーをとうとう克服。昨季からのいい流れが今季も継続していることがうかがえます。

変化球への対応を見ると2022年以前と2023年以降とで打撃のスタイルが変わったようにも感じられる岡本選手ですが、そのキッカケとして考えられるのが2023年のシーズン前に開催されたWBC。日本代表として選出された岡本選手は全7試合でスタメン出場を果たし、打率.333 2本塁打7打点という素晴らしい成績をマーク。決勝のアメリカ戦でも追加点となる本塁打を放ち、侍ジャパンの14年ぶりとなる世界一に大きく貢献しました。

WBCでの活躍が自信となり、今季の打撃成績に表れているとしたら……今季の岡本選手は今まで以上に手が付けられない強打者として、素晴らしい成績を残すかもしれません。


福嶌弘
1986年横浜生まれ。フリーライター。幼少期より競馬・野球に興味を持ち、ヤンキー向けバイク雑誌、中古車雑誌などを経て2005年からフリーライターとして独立。以降は野球、競馬のスポーツを中心に街、クルマ、グルメ、アウトローetc…とジャンルを問わずに各媒体で執筆。生来の巨人ファンのため、主な出没場所は東京ドーム、横浜スタジアムそして後楽園、関内の居酒屋など

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