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「歴代最高のショート・坂本勇人」サードへ本格転向“1年目“…今の打撃成績は想定範囲内!?

  • 2024.5.1
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写真:SANKEI

坂本勇人2024年成績
25試合 打率.228(92-21)3本塁打 9打点 OPS.616(※4/29終了時点)

現在の巨人の看板選手とも言える坂本勇人選手。プロ入り2年目の2008年にショートのレギュラーを掴むとそこから中心選手として君臨。2016年には打率.344を記録して、セ・リーグの遊撃手として初めて首位打者のタイトルを獲得し、2020年には右打者として史上最速となる31歳10ヵ月で通算2000本安打を達成するなど、巨人どころかプロ野球の歴史に名を残すような成績を収めてきました。

 坂本選手の功績は打撃面だけではありません。ショートを守っている際の広い守備範囲と送球の正確さでは右に出る者がいないというほどの堅守ぶりで2023年までにショートとして出場した2046試合、3070刺殺、6196刺殺、1171併殺はいずれもNPBで歴代最高。ゴールデングラブ賞にも5度選出されています。

歴代最高のショート」という評価すらささやかれる坂本選手ですが、最も運動量の多いポジションであるショートを守り続けているうちに足腰に負担がかかり、30歳を超えた2020年以降は出場試合数が120以下に減少。33歳で開幕を迎えた2022年には度重なる故障で83試合の出場にとどまり、レギュラー定着以来初めて規定打席に到達できず、キャリアワーストの5本塁打、30打点に留まりました。 

「歴代最高のショート」がコンバートを決断

守備範囲が広く、身体への負担が大きいショートをいつまでも守らせるのは難しいと考えた巨人の首脳陣は2023年のシーズン終盤、ある決断をします。成長著しい若手の門脇誠選手をショートに固定し、それまでショートを守っていた坂本選手を9月7日以降、サードへコンバートしました。 

坂本選手がショート以外のポジションを守るのは2013年以来10年ぶりのこと。その時はファーストを3試合守っただけですが、本格的なコンバートはこれがプロ入り以来初めてのこと。この年は打撃も好調だったこともあり、突然のコンバートがどう影響するかが心配されましたが……この年の打撃成績は以下のようになりました。 


坂本勇人2023年全体成績
打率.288(403-116)22本塁打 60打点 OPS.884

※9/7以降の成績
打率.284(74-21)6本塁打 15打点 OPS.942


 打率などを見るとさほど変わりがないように感じますが、特筆したいのはOPS。打者の総合力を測る指数としても近年注目されていますが、ここが全体よりも6分以上アップ。サードにコンバートされて以降の本塁打率(打数÷本塁打数)が12.3と以前の20.6よりも大幅に向上しているように守備の負担が減ったことで長打力が大幅に上がりOPSが一流選手レベルの9割台にまで回復しました

ちなみに坂本選手のシーズンOPSが9割を超えたのは2016年、2018年、2019年の3回。いずれの年も打率3割を超え、2016年は首位打者、2018年は打率がリーグ2位、そして2019年は打撃3部門すべてでベスト5入りしてシーズンMVPを受賞。つまりサードを守るようになって以降の坂本選手は全盛期に遜色ない打撃成績を残していると言っても過言ではなく、このコンバートは大成功だったと言えるでしょう。

ショートよりも身体の負担が少なくなったことで、35歳で開幕を迎えた2024年も坂本選手は開幕からサードのレギュラーとして起用されています。現時点での打撃成績はやや振るいませんが、坂本選手はスロースターターとしても知られ、特に開幕直後は成績が上がらない事でもお馴染み。昨季も開幕から22打席無安打と不調でしたが、最終的にはリーグ7位となる打率.288を記録しています。

開幕からサードをメインに守るようになって初めて迎える今シーズン、35歳の坂本選手がどんな成績を残すか目が離せません!


福嶌弘
1986年横浜生まれ。フリーライター。幼少期より競馬・野球に興味を持ち、ヤンキー向けバイク雑誌、中古車雑誌などを経て2005年からフリーライターとして独立。以降は野球、競馬のスポーツを中心に街、クルマ、グルメ、アウトローetc…とジャンルを問わずに各媒体で執筆。生来の巨人ファンのため、主な出没場所は東京ドーム、横浜スタジアムそして後楽園、関内の居酒屋など

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