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阪神の“坂本勇人”になれるポテンシャル…「連覇」に向けて必要な成長の可能性を秘めた若武者とは

  • 2024.4.27
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写真:PIXTA

今季、球団史上初となる“連覇”を狙う阪神タイガース。38年ぶりの日本一に輝いた昨季から、ほぼ変わらぬ戦力で迎えた2024年シーズンにはファンからも大きな期待を寄せられています。そんな阪神で、“連覇のキーマン”に挙げたいのがプロ2年目を迎える森下翔太選手。昨季後半から3番に定着した伸びシロ十分の23歳が秘める“可能性”を改めて解説します!

阪神の顔となった“ドラフト1位クリーンアップトリオ”

2023年、中央大学からドラフト1位で阪神に入団した森下翔太選手。プロ1年目の昨季は94試合に出場し、チームの新人右打者としては指揮官の岡田彰布監督以来、43年ぶりとなる2ケタ本塁打をマーク。シーズン後半には3番に定着し、日本シリーズでも全7試合に「3番ライト」で先発出場。シリーズ新人記録の7打点をマークするなどルーキーらしからぬ活躍を見せました。

迎えた2024年、森下選手は昨季終盤同様、開幕から3番ライトに固定され、今や阪神になくてはならない存在になっています。4月24日時点で4本塁打、14打点はともにセ・リーグトップ。4番の大山悠輔選手、5番の佐藤輝明選手との「ドラフト1位クリーンアップトリオ」は阪神の“顔”になりつつあります。

今季の森下選手のプレーを見ると、2年目を迎えた落ち着きや打席での“華”が昨季より格段に出てきたように思えます。打率こそ上がっていませんが、ここぞの場面で見せる勝負強い打撃は主力打者そのもの。甲子園のファンも森下選手がさらに頼もしいバッターになっているのを肌で感じているはずです。

森下選手が秘めるポテンシャルは“球界のスペシャルワン”級

大卒2年目でまだ23歳の森下選手には、当然ながらまだまだ多くの伸びシロが残されています。確実性やパンチ力はもちろん、昨季は時折“若さ”が仇になることもあった守備面でもここから上積みすることで、将来的には走攻守で高いレベルを誇るプレイヤーになれるはず。

タイプ的には現在の3番がすんなり収まりそうですが、1番に座るようなことがあれば「超攻撃型のリードオフマン」にもなれるでしょう。プロ1年目の昨季から盗塁数自体はそこまで多くありませんが、走力を考えればシーズン2ケタ盗塁のポテンシャルは秘めているはずです。それ以上に、パンチ力や積極的な打撃スタイルは、たとえば1985年の阪神で”恐怖の1番打者と呼ばれた真弓明信選手のような存在を彷彿とさせます。

もちろん、後ろを打つ4番大山選手、5番佐藤選手がスラッガータイプであることを考えると、2人よりも利便性の高い「何でもやれる3番」として重宝される近未来も描けます。長打はもちろん、打率も残せて、塁に出れば走塁で相手をかき回す。シチュエーションによっては進塁打や右打ちでチャンスメイクもこなし、得点圏では試合を決める一打を放つ――。現在のプロ野球界で言えば巨人の坂本勇人選手のように、チーム、球界を背負う”顔役”になれるかもしれません。

もちろん、近年のトレンドである「2番」に森下選手を置くという選択肢もあります。現在の阪神は「1番近本光司選手・2番中野拓夢選手」の、いわゆるオールドスタイルの1、2番コンビを組んでいますが、2番に森下選手が入ればより攻撃的に、積極的に、「1点を奪う野球」ではなく「大量得点を奪う野球」を目指すこともできるでしょう。

普段はメディアの前であまり選手を褒めない岡田監督が、要所で森下選手の名を出すことからも、その期待値の高さが伺えます。

連覇を目指すには、森下選手のさらなる成長が必要不可欠

今季の阪神は前述のとおり、優勝した前年からほぼ戦力の変化がない状況でシーズンを戦っています。主力の流出がなかった一方で、裏を返せば目立った補強がなかったのも事実。現有戦力でも十分戦える自信の裏返しとも取れますが、「連覇」を目指す上で戦力に上積みを期待するのであれば、すでに在籍している選手の“成長”が不可欠。

そして、現在の阪神でもっとも成長の余地と可能性を秘めている選手こそ、森下選手その人です。

開幕から1カ月弱が経過し、ピッチャー陣は前評判通りの活躍を見せていますが、打線にやや元気がない阪神。特に森下選手、大山選手、佐藤選手のクリーンアップの調子が上がってこなければ、「連覇」は遠のいてしまいます。

大山選手、佐藤選手の2人は本来の力を発揮すれば「クリーンアップ」として十分な実力を持っています。この2人に、成長した森下選手が加われば、本当の意味で阪神のドラフト1位クリーンアップトリオ」は完成するはずです。

昨季も打線を固定して日本一に輝いた阪神ですが、その中でやや「物足りない」と言えるのが3番でした。森下選手も成績だけを見れば「安心してクリーンアップを任せられる!」とは言い切れなかったのも事実。

連覇はもちろん、今後阪神が「常勝」を築くためにも「3番・森下翔太」の成長と覚醒は必要不可欠です。岡田監督はもちろん、ファンからも大きな期待を寄せられているプロ2年目の森下選手。

連覇のキーマン・森下翔太選手のプレーに、ぜひ注目してみてください。


花田雪
1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

※本記事内の情報は、4/24時点です

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