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「若返りの真っ只中」そんなDeNAにおいて、筒香に期待される"重要なポジション"

  • 2024.4.19
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写真:SANKEI

筒香嘉智選手の横浜DeNAベイスターズ復帰が正式に発表されました。2020年にポスティングシステムを利用してDeNAからタンパベイ・レイズへと移籍。以降は独立リーグも含めて米球界で7球団を渡り歩いた日本を代表するスラッガーが、4年ぶりに日本球界へ帰ってきました。

一次は「読売ジャイアンツへの移籍が確定的」と報道されながら、フタを開けてみれば古巣へ復帰。DeNAファンの多くが胸をなでおろし、歓迎ムードに包まれています。

とはいえ、筒香選手自身はアメリカで「結果を残した」とは言えず、その加入にはメリットデメリットの両方があると考えられます。ここでは、セ・リーグ優勝を目指すDeNAにとって筒香選手の加入がどんな影響を及ぼすのかを解説していきましょう。

DeNAの現有戦力を見てみると…

巨人への移籍が報道された当初、筒香選手が古巣ではなくライバル球団へ移籍する理由として挙げられたのが「出場機会」でした。

筒香選手のメインポジションである外野手に関して言うと、現在のDeNAには首位打者経験のある佐野恵太選手、昨季レギュラーに定着し、今季も開幕から絶好調の関根大気選手、開幕戦でいきなりホームランを放つド派手なデビューを飾ったスーパールーキー・度会隆輝選手、ここ数年不動のレギュラーとしてチームに貢献した桑原将志選手らがそろっており、「定位置」はほぼ埋まっている状況。そのため、たとえ古巣に復帰しても筒香選手の出場機会が確保できないのでは……と言われていました。

チーム全体を見ても21歳の度会選手や22歳の石上泰輝選手といったルーキー2選手が開幕からレギュラーを掴むなど「若返り」の真っ最中であり、32歳の筒香選手の加入がそれを停滞させる可能性は否定できません。

戦力バランスを見ても今季は今永昇太投手、トレバー・バウアー投手が抜けて投手陣の整備が最大の課題であり、「打線は12球団を見渡してもトップレベルの破壊力を誇っています。シーズン中の補強ポイントも「野手」よりは「投手」のほうがプライオリティは高かったはずです。

筒香復帰を後押しした、助っ人の負傷離脱

ただ、それでもDeNAは筒香選手の獲得を目指し、筒香選手自身も古巣復帰を決断しました。筒香選手にとってある意味で「後押し」となったのはタイラー・オースティン選手の離脱です。2020~2021年と2年連続で20本塁打以上をマークしたスラッガーが今季、開幕からファーストのレギュラーとして試合に出場。しかし、4月10日の中日戦で右太ももを痛めて登録抹消。復帰までは1カ月以上かかると予想されています。

筒香選手は外野だけでなくファーストも守れるため、おそらくチームに合流後はファーストで試合に出場することになるはずです。4年ぶりの日本球界復帰ですから、日本野球に「順応」するためにはそれなりの実戦を積む必要があるでしょうが、隙間がないと思われた「ポジション」がアクシデントとはいえ空いたことは、筒香選手にとっても必ずプラスになるはずです。

若返りを図るチームにおいて"重要なポジション"

また、実績だけでなく長年チームを牽引し続けてきた筒香選手の復帰は精神面でもチームの力になってくれるはずです。メジャーでは決して「成功した」とは言えない筒香選手ですが、その経験はプロ野球選手として間違いなくプラスになっているはずです。豊富な経験をチームへと還元し、さらには若い選手の良き手本となることもできるはず。

DeNAには優秀な打者がそろっていますが、筒香選手のような純粋なスラッガータイプは不在で、彼が「4番」にどっしりと座ることができれば打線にも確固たる“軸”が生まれます。

戦力としてはもちろん、チームをまとめるリーダー役としても、筒香選手の担う役割は大きくなるはずです。

もちろん、4年間のブランクを埋めることは決して簡単なことではないはずです。過去に日本球界に復帰したメジャーリーガーの多くが、日本時代のような数字を残せていないという前例もあります。

それでもやはり、DeNAファンにとって「特別」な存在である筒香選手が、日本球界復帰にあたって「古巣」を選択したことは大きな意味があるはず。

年齢的にも32歳と、野球選手としては「円熟期」と言っていい筒香選手。NPB通算10年間で205本塁打をマークした打棒を、慣れ親しんだ横浜スタジアムで再び見せてくれることを期待しましょう!


花田雪
1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

※本記事は、4/18の情報です

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