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元スポーツ紙記者が語る「野球記者の1日」試合を観るのが仕事?勤務時間はどれくらい?

  • 2024.4.25

スポーツ記者」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか?

一流のアスリートにインタビューする華やかな仕事?あるいは、選手たちのプライベートを強引に追いかけるネガティブな印象を抱く方もいるかもしれません。

筆者は、過去にスポーツ新聞社で記者として勤務していました。憧れていた仕事でしたが、実際に現場に出てみると、就職活動中に抱いていたイメージと異なる部分も多くありました。

今回は筆者の経験に基づいて、野球記者の1日をご紹介します。プロ野球の巨人担当記者のある1日です。実際は様々な状況によって変化しますので、あくまで一例として考えてください。

9:00 読売ジャイアンツ球場へ出勤

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写真:PIXTA

プロ野球の担当記者は、会社に出社せず自宅から現場へ向かい、現場から自宅へ帰る「直行直帰」の勤務体系がメインです。

午前中は神奈川県川崎市にある読売ジャイアンツ球場で、巨人の2軍の練習を取材します。

ジャイアンツ球場には、各新聞社の若手記者が集まっています。上司や各社のベテラン記者がいないため、比較的リラックスした雰囲気です(笑)

お昼ごろをめどに、1軍の試合が行われる東京ドームへ電車で移動。昼食はジャイアンツ球場でデリバリーの弁当を頼むか、移動の途中に外食するか、コンビニに立ち寄るかの3択です。

14:00 東京ドームで試合前練習の取材

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写真:PIXTA

巨人の本拠地・東京ドーム。平日はナイターゲームのため、14時ごろからチームの試合前練習が始まります。

球場へ到着すると、関係者入り口を通ってまずは記者室に荷物を置きます。身軽になったら、東京ドームのベンチを通ってグラウンドへ。先に到着している上司や各社の記者にあいさつをして回ります

報道陣の数はジャイアンツ球場の数倍です。さらにはテレビ中継の解説者や球団OB、アナウンサーやタレントなど、テレビで見たことのある顔がちらほら。独特の緊張感があります。

練習の前後で1軍選手やコーチ、監督を取材します。練習の邪魔にならない範囲であれば、基本的に自由に取材は可能。翌日の先発投手には、各社の記者陣が選手を囲むようにして話を聞く「囲み取材」を行うことが通例です。

16:00 休憩

練習と試合前の取材は2時間ほどで終了。16時ごろからは、ビジターチームの練習が行われます。

上司に取材の報告をして、ビジターチームの担当記者にあいさつをした後は休憩時間です。普段は取材の合間に細切れの休憩を取ることが多いため、試合前までのこの時間が1日で最もまとまったリラックスタイムになります。

そして、ここで早めの夕食を取ります。球場内の食堂で済ませることもあれば、球場外のレストランへ行くことも。その時々によって、上司と食べたり、他社の記者と一緒に食べたり、一人で食べたりします。

18:00 試合開始

試合開始には万全の準備が整っているように、30分ほど前には記者席へ。各社に席が割り当てられているので、いつも同じ席に座ります

試合中はスコアをつけます。一球一球、球種や球速をメモしたり、選手の動きを観察したりするので、集中力が必要です。

記者席には手元にモニターがあるため、現場の生のシーンとテレビ中継を見比べることもできます。「いつもとバットの持ち方が違う」といった変化を見つけたら、次回の取材に生かします。

また、試合中には試合を見ながら、Webに掲載する速報原稿を書かなければいけません。先制打の場面や先発投手の投球内容など、数本の原稿を書きます。

試合終盤になると、上司が会社にいるデスクと電話で打ち合わせを行います。デスクとは、記者が書いた原稿を手直ししたり、限られたスペースでどの内容をどれくらい大きな記事にするかを決めたりする紙面責任者のこと。

打ち合わせを経て、試合後にどの選手への取材を重点的に行うか、筆者と上司のどちらがメイン原稿を書くかなどを上司と相談します。

21:00 試合終了

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写真:PIXTA

野球は試合時間の決まっていないスポーツですが、およそ3時間で終わることが多いです。

試合終了直前から記者陣はベンチ裏で待機。上司と役割を分担し、試合後の取材に臨みます。

監督と、その日のヒーローインタビューに選ばれた選手は試合終了直後にユニホームを着た状態で囲み取材をすることができます。しかし、その他の選手やコーチ陣を取材できるのは帰宅するタイミング。選手たちがシャワーを浴びて私服に着替えてロッカールームから出てくるのを待たなければいけません。

原稿の締め切り時間が迫る中、お目当ての選手が現れないと、徐々に焦りの気持ちが出てきます。

22:00 原稿執筆

原稿で中心として取り上げる選手の取材が終わると、記者室に移動して原稿執筆へ。自分が原稿を書く場合は、上司に残りの取材を任せます。逆に上司が原稿を書く場合は、全選手が帰るまで取材を続けます。

ナイターの原稿はとにかく時間勝負。締め切りまでに書き終えないといけないというプレッシャーを感じながら、30分から1時間ほどで一気に書き上げます。

23:00 帰宅

翌朝の紙面の原稿を全て書き終え、選手の取材も完了すれば、1日の仕事は終了です。試合時間や原稿量によって前後しますが、東京ドームを出るのはおよそ23時ごろ。

ただし、帰宅している最中に、デスクから原稿の問い合わせの電話が来ることもあります。長い原稿を書いたときはもうクタクタ。極限の集中力で原稿を書いたあとは、頭が疲れているのです。

自宅へ着くころには日付は超えています。上司やデスクから着信がないかどうかを確認してからお風呂に入り、眠ります。おやすみなさい!



岡村幸治
1994年生まれ。スポーツ新聞社で野球記者として巨人や高校野球などを取材。2021年に独立し、著名人や経営者にインタビューを行っている。海外旅行が好きで、2023年には世界一周の旅に出た。

※本記事は、4/24の情報です

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