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指導者も苦悩する高校野球の"リアル"…「週休2日制」を導入し甲子園に出場した高校も

  • 2024.4.14
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写真:PIXTA

2018年にスポーツ庁が「週休2日制」などの指針を発表したものの、なかなか普及するに至っていないのが現状です。

日本人は以前から「質よりも量」を重んじる練習スタイルを取り入れた結果、技術力が向上し試合にも勝てるようになったという成功体験があります。しかし、実際には練習の取り組み過ぎで故障した選手も多数おり、大好きな野球を辞めざる得なくなった選手も。

甲子園出場を狙う学校では選手だけではなく指導者も毎日のように練習や自主練習で指導をする環境を強いられており、負担が大きいのが現状です。

もちろん、「量があってこその質」など、多く練習をするということに賛成意見があることも事実です。

そんな日本で人気を誇る高校野球の部活指導や指導者の労働環境などについて深掘りしていきましょう。

週休も叶わない高校野球指導

近年では、強豪校も週1休みがあるところがほとんどで、徐々に体勢が変わっていることも見受けられますが、平日に日が暮れるまで練習、土日祝日には練習または練習試合が組み込まれているため、高校野球の指導者は実質無休のサービス残業であることも少なくありません。家庭の事情があるにもかかわらず、「試合に勝つため」という名目で土日祝日でも終日練習することもあります。

「日本学生野球憲章」には、「1週間のうち最低でも1日は野球部として活動しない日を設けること」と規定。しかし、甲子園出場を目論んでいる高校野球部は自主練習をする選手も多く、高校野球指導者も自主練習に付き添うという風習が根深く残っています。

スポーツ庁の政策や世間の風潮により休みを設ける高校野球部も増えている傾向にはあるものの、強豪校などを中心に週休2日制も叶わず現場の指導者に決定を任せているのが現状です。

何十年も変わることない労働環境

昭和時代から「休みなく練習をすることこそが正義」という風習があり、令和時代になった今でもなお、同様の考え方のもと指導を行っている高校野球部の指導者も少なくありません。「毎日練習をすることこそが上達への近道」と教えられたきた昭和時代を経験した指導者は、いまだに何十年も続く考え方の呪縛から解き放たれていないことがほとんどです。

高校野球部の指導者達は家庭で自分たちの子供のお世話ができないなど、よくよく考えると悪循環を生み出していることがわかります。選手達も野球の練習や練習試合に時間を取られて学業が疎かになったり、他に取り組みたい趣味に没頭できなかったりと苦しんでいるケースも少なくありません。

日本屈指の人気スポーツである野球であるからこそ、高校野球部の指導者と選手達がお互いに納得したうえで日々の練習や試合に向かうことが重要です。

週休2日制を導入し効果が現れた高校も

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写真:PIXTA

静岡県にある浜松開誠館高校で中日ドラゴンズにも所属した佐野心監督は、週休2日制を導入した監督の1人です。佐野心監督も昭和時代に指導を受けてきた監督の1人で最初は違和感を感じていたものの、筋力トレーニングを取り入れた週休2日制の成果が出始めました。筋力トレーニングをして翌日に休養を入れたことでピッチャーは球速アップ、バッターは飛距離アップなどに繋がり、2023年の第105回全国高等学校野球選手権大会にて甲子園初出場

浜松開誠館高校の事例からも毎日練習に取り組むのではなく、十分な休養を取ったうえで集中力を保って中身の濃い練習をすることが効果的であるのがわかります。

全員がのびのび取り組むために

選手と指導者が野球に取り組むためには、相互理解を深めて意見交換を頻繁に行うことが重要です。指導者の「選手はこうあるべきだ」や、選手の「叱責されないために言う通りに取り組めば良い」という考えで練習に取り組んでも上達はしません。選手と指導者の思いを合致させることで一体感が生まれ野球の上達にも繋がり、チームの結束感が増します。

日本のアマチュア野球界にいまだに存在する「毎日練習してこそ正義」で、「休養を取るのは悪」という風潮を排除しなければなりません。アメリカのアマチュア野球では疲れを溜め込まないために休養を促し、頭と体ともにリフレッシュしたうえで練習や試合に臨みます。休養を取るからといって怠けているわけではなく、短時間で集中して練習に取り組む姿勢を育んでいるのです。

もちろんある時期には自分を追い込んで練習に取り組む時期も必要ですが、選手と指導者の双方がリフレッシュした状態で練習や試合に取り組んで結果を出していく必要があります。


※情報は4月2日時点のものです。
※週休2日制出典元:スポーツ庁「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」

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