1. トップ
  2. 「もう菅野は終わった」「旧エース」…いやいや、まだ衰えていない!復活の条件はたった1つだけ!

「もう菅野は終わった」「旧エース」…いやいや、まだ衰えていない!復活の条件はたった1つだけ!

  • 2024.4.3
undefined
写真:SANKEI

昨季4位に終わった巨人。チーム打率、本塁打ともにリーグ1位だったものの、防御率はリーグ5位となる3.40だったように投手陣が軒並み不調。中でも深刻だったのはかつてのエース、菅野智之投手でした。

過去に3度の最多勝沢村賞も2度受賞している球界のエースとも言うべき投手でしたが、昨季の菅野投手はシーズン直前に右ひじを痛めて開幕を自身初となる二軍スタートで迎え、6月から一軍に復帰しましたが、かつてのような投球は見られず、結果的に14試合に投げてキャリアワーストの4勝止まり。エースの不振が響いたか、巨人は球団史上2度目となる2年連続のBクラスに終わりました。

菅野智之投手2023年成績
14試合 4勝8敗 防御率3.36 77.2回 54奪三振

今季で35歳と、投手陣の中では最年長となるなどベテランの域に達してきた菅野投手。それだけに往年のような投球は望めないのかと不安視されていますが……データを見ると、決して悲観する必要がないことがわかります。

まだまだ衰えていない"菅野らしい"指標

昨季は4勝止まりだった菅野投手。7月17日のヤクルト戦では1/3回6失点と自身最短イニングでの降板を喫するなど、例年以上に滅多打ちに遭ったイメージがありますが、1イニング当たりに何人の出塁を許したかを表す指標であるWHIPを見ると、昨季の菅野投手は1.09でした

これは規定投球回に達したセ・リーグの投手たちと比べても7位に相当するもの。同じ巨人の戸郷翔征投手(1.06)と比べても、ほぼ遜色がないことがわかります。安定したコントロールで無駄な四死球を出さず、なおかつヒットを打たれることが少ないことでこれだけ安定した投球ができたといえるでしょう

ちなみに菅野投手の通算WHIPは1.04。プロ入り以来、リーグ平均の投手レベルとされる1.25を超えたことは1度しかなく、2020年以降はエースクラスの数値とされている1.10前後を推移するなど巨人のエースとしてふさわしい成績を残していました。昨季の不振がひじの故障による出遅れが理由だとしたら、キャンプから万全の状態で調整を続けている今季は巻き返しが十分考えられるでしょう。

年齢と共に低下している気になる指標も…

無駄なランナーを出さずに安定した投球ができている菅野投手ですが、一方で気になるのが奪三振率の低下。かつては奪三振王に2度輝くなど、三振の取れる投手でしたが、2020年以降の奪三振率を見ると以下のようになっています。

2020年奪三振率:8.58
2021年奪三振率:7.94
2022年奪三振率:6.37
2023年奪三振率:6.26

1年ごとに奪三振率が下がっていることが一目でわかります。低下の原因となっているのはスライダーの精度が下がったこと。2020年の菅野投手の球種配分を見ると、スライダーはストレートに次ぐ27.88%を投じて被打率は.169と完璧に抑え込んでいましたが、昨季はカットボールの割合が倍近く増えた一方でスライダーは18.46%に減少。被打率に至っては.269と1割もアップしていました。

かつて三振を獲る際の決め球となっていた菅野投手のスライダーの切れが落ち、年を追うごとにスライダーを痛打されるようになっていったことが予想されます。そのため、昨季はスライダーに頼るのをやめ、カットボールを増やし、さらに2020年には10%も投げていなかったカーブも積極的に投げるようになるなど、多彩な変化球で交わすピッチングを見せるようになりました。

しかし、変化球を駆使した投球を見せるも、ストレートの被打率が3分も上昇しているように速球の球速も落ちてきたところでスライダーや多彩な変化球を混ぜてもストレートが生きずに打たれるケースが目立つようになりました。

復活の条件と期待

そのため菅野投手の復活のためには、自身の得意球であるスライダーの精度を取り戻すこと。スライダーの切れ味が元に戻ればその分だけストレートの威力が増すだけにかつてのように奪三振の量産が予想されます。無駄な走者を出さない安定した投球に確実に三振を奪えるボールを持ってすれば、菅野投手の復活は十分可能性がありそうです。 

そんな菅野投手ですが、今季はキャンプからオープン戦へと体調面の不安なく順調に調整が進んでいます。昨シーズン後半から菅野投手は久保康生コーチとともに投球フォームの改造を敢行。足をほぼ上げずに投げるノーワインドルックと呼ばれる投法を従来の投球フォームとともに組み合わせることで打者からしたら見づらくなる。

この投球フォームをひっさげて臨んだ今季のオープン戦では2度の先発登板を果たして1勝0敗。防御率は2.00、5奪三振という上々の内容を見せている。このまま順調に調整が進めば、2022年以来、2シーズンぶりとなる2桁勝利を挙げることも十分考えられます

今季で35歳となる菅野投手ですが、順調な仕上がりを見せていると言っても過言ではないはず。データ面では特に衰えを感じるポイントは見られなかっただけに今季は故障なく、シーズンを完走することが出きれば、戸郷投手からエースの座を奪い返すだけでなく、4度目の最多勝争いに食い込んできてもおかしくないと言えそうです。


undefined

※本記事は3/27時点の情報です

の記事をもっとみる