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事実上の"2年目のジンクス"に挑む村上と大竹を「阪神ファン歴30年」の人気野球ライターが占う

  • 2024.4.1

昨季、球団38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガース。その原動力となったのが、村上頌樹投手、大竹耕太郎のふたりです。

村上投手は前年、一軍登板がゼロでプロ通算でも未勝利。大竹投手はソフトバンクから現役ドラフトで移籍。2022年には阪神の一軍戦力ではなかったこの2投手が、昨季は2人合わせて22勝。村上投手は最優秀防御率のタイトルを獲得し、セ・リーグ史上初めて、新人王とMVPをダブル受賞しました。

事実上の「2年目のジンクス」に挑むシーズン

迎える2024年シーズン。当然、昨季同様にこのふたりには「先発ローテの柱」としての働きが期待されます。ただ、村上投手は一軍で活躍したのが昨季の1年間のみ。大竹投手もソフトバンク時代の2019年には17試合で5勝をマークしていますが、セ・リーグでの実績は昨季のみ。

事実上の「2年目のジンクス」に挑むうえで、果たして昨季並みの結果を残すことができるのか――。これが阪神の“連覇”への大きなカギとなるはずです。

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写真:SANKEI

村上投手の最大の特徴は、ストレートにあります。最速は154キロですが、平均球速は140キロ台中盤。プロの世界では決して「速球派」ではありません。しかし、そんな村上投手のストレートを、他球団の選手が軒並み空振りし、打ち損じるのです。

その理由は独特なストレートの軌道にあります。ひとことで「ストレート」と言っても、投手によって微妙に軌道は異なります。まず、ほとんどの投手のストレートは実は「真っすぐ」ではなく微妙にシュート(右投手から見て右方向へ変化)します。しかし、村上投手のストレートの軌道はスライダー成分が強く、右投手から見て左方向へと変化するのです。加えて、回転数もNPBの平均を大きく上回っており、それがバッターにとっては浮き上がるように感じるといいます。

つまり村上投手のストレートは「ストレート」と言いながら多くの投手とは逆方向に、しかも伸びるように変化しているのです。

「特殊球」と言っていいかもしれません。ちなみに今春キャンプで村上投手本人に話を聞いたところ「自分では普通にストレートを投げている感覚。それが、他人とは違う変化をしている」とのこと。

「誰も投げていないストレート」なワケですから、当然ながら打者も対応に苦心するはずです。たった1年間対戦しただけで、順応できるとは考えにくいでしょう。加えて村上投手には昨季144回1/3を投げて与四球わずか15という抜群のコントロールがあります。「自滅」する可能性も限りなく低いため、昨季同様の投球を見せることができれば、今季もエース級の活躍を見せてくれるでしょう。

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写真:SANKEI

一方の大竹投手は、村上投手と同様に決して「速球派」ではありませんが球の出所が見えにくいフォームと、両コーナーへ投げ分けられるコントロールが最大の武器です。村上投手のような「特殊球」があるワケではないので、移籍1年目の昨季より他球団のバッターに「順応」される可能性はありますが、やはり村上投手同様に「自滅」の可能性が限りなく低いため、「大崩れ」はなさそうです。オープン戦でも相変わらず安定した投球を見せており、開幕ローテ入りは確定。

近年は投手の「スピードアップ」が顕著で、大竹投手のような軟投派は珍しくなってきました。その希少性もまた、大竹投手の活躍のファクターになってくれるはずです。

村上投手に、大竹投手。“連覇のカギ”を握る二人の投手は、今季も昨季並みかそれ以上の活躍を見せてくれるはず。阪神投手陣の中心を担うふたりの投球から、今季も目が離せません!


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※本記事は、3/29時点の情報です

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