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掛布雅之以来「38年振りの大記録」を達成するのは"佐藤輝明"しかいないでしょ!

  • 2024.4.2
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写真:SANKEI

2024年、球団史上初となる“連覇”を目指す阪神タイガース。昨季の優勝メンバーんほとんどがチームに残留し、戦力的には今季も「優勝候補」に推される阪神ですが、他球団からのマークがより厳しくなる今季は、そんな「現有戦力」の上積みが重要になる1年と言えるでしょう。

主力のほとんどが20代と若く、さらなる成長を期待される選手も多い今季の阪神ですが、特に「覚醒」を期待したいのがプロ4年目を迎える佐藤輝明選手です。近畿大学から2020年ドラフト1位で指名を受け阪神に入団した佐藤選手は、プロ1年目からいきなり球団新人記録となる24本塁打をマーク。以降も打線の中心として昨年まで3年連続でシーズン20本塁打を記録しています。

ちなみに、「プロ入りから3年連続20本塁打」は左打者としてはNPB史上唯一の記録。この時点で十分すぎるほどの結果を残しているとも言えますが、佐藤選手の場合、周囲からの「期待値」はもうワンランク上になります。

38年振りの大記録に到達するか

首脳陣もファンも、彼に期待する数字はやはり一流スラッガーの証でもある「シーズン30本塁打以上」。実は阪神の生え抜き選手でシーズン30本塁打を放った選手は1985年の掛布雅之選手(40本塁打)以来、昨季まで38年間も現れていません

理由はいくつか考えられますが、やはり本拠地とする阪神甲子園球場が大きく影響しているでしょう。甲子園球場のサイズは両翼95メートル、中堅118メートルと他球場と比較しても決して広くはありません。ただ、左中間、右中間のふくらみが大きく、さらには屋外球場特有の風、特にライト方向からレフト方向へと吹く“浜風の影響で日本球界でも屈指の本塁打が出にくい球場」と言われています。

浜風だけではない特殊な理由

そんな甲子園を本拠地するだけに、阪神には長距離砲が生まれにくいという歴史があるのです。また、特に2000年代まではドラフトで獲得してきた選手の“タイプ”もこの現象に拍車をかけていたと考えられます。

過去の阪神は広い甲子園球場を本拠地とするだけに、チームとしても“穴”のあるスラッガータイプより、ミート力に優れ、足の速い、いわゆる「スモールベースボールに適応できるようなタイプの選手を多く獲得してきました。

ただ、その空気が変わったのが金本知憲監督が就任した2016年以降です。金本監督はかねてから阪神に所属する選手がみな「似たようなタイプ」だったことに着目し、ドラフトでもこれまでとは違うスケールの大きなタイプ」の選手を多く獲得するようになりました。

昨季、シーズン143試合すべてで4番を打った大山悠輔選手も、金本政権下の2016年ドラフト1位で阪神に入団した選手です。そしてその流れを汲み、阪神に入団したのが佐藤選手。純粋な“パワー”だけで言えば、NPBの日本人選手の中でもトップレベルなのは間違いありません。しっかりとボールを捉えれば甲子園球場のセンターだろうが、逆方向の左中間だろうが軽々とスタンドインできる。

だからこそ多くのファンは佐藤選手のバットに期待を寄せ、“夢”を見るのです。その意味で、プロ入り以降の3年間は安定して20本塁打以上を放っている一方、「完全に才能が開花した」とも言えないシーズンだと捉えることもできます。

佐藤輝明の"覚醒"に重要なポイント

では、そんな佐藤選手がここからワンランク上の選手になるために必要なこととはなんでしょう……。

私は、「三振は切り捨てる」ことが重要だと考えています。佐藤選手はプロ1年目にリーグ最多の173三振(NPB歴代6位)を喫しています。また、24本塁打を放ちながらシーズン中には59打席連続無安打のNPBタイ記録(当時)も樹立。打率は.238と「安定感」に欠ける結果に終わりました。

しかし翌年以降は三振数が130代で推移し、打率も2年連続で2割6分台。「安定感という意味では確かにプロ1年目より向上しているかもしれません。

ただ、ここから先、シーズン30本塁打、もっと言えば40本塁打以上を目指すのであれば、今一度プロ1年目の原点に立ち返り「三振もやむなし」のスタイルで打席に立ってみるのも“アリ”なのではないでしょうか。

たとえば、2022年に日本人最多記録となるシーズン56本塁打をマークした村上宗隆選手はプロ2年目の2019年にシーズン184三振を喫しています。打率も.231と低迷しましたが、その経験を経てリーグを代表するスラッガーへと成長を遂げました。

ホームラン打者の多くは、そのぶん多くの三振を記録します。「フルスイング」の代償とも言えますが、三振を恐れずに自分のスイングをすることが、結果的に本塁打数のアップにつながるとも言えます。

過去2年間の佐藤選手を見ると、確かにミスショットは減りましたがプロ1年目のような豪快さ」「凄みは少し目減りした印象を受けます。

もちろん、佐藤選手が今後どんな選手を目指すかにもよりますが、もしも「甲子園で40発打つスラッガー」を目指すのであれば、三振数自体はある程度「必要なモノ」と割り切ることも必要かもしれません。

1年間で結果が残るとは限りませんが、今季は三振数が150以上を記録しても、30本、40本のホームランを放つ……そんな“スラッガー・佐藤輝明”のプレーを見てみたい気もします。佐藤選手には、それを成しえるだけの能力が、必ずあるはずです。


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※本記事は、3/29時点の情報です

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