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日本を代表する左腕「今永昇太」の"懸念材料"。日本でも高かった指標の克服がメジャーで結果を残すカギに

  • 2024.4.1
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写真:SANKEI

今永昇太選手2024成績予想

25試合12勝9敗 防御率3.50 投球回170回 奪三振200


今季、横浜DeNAベイスターズからメジャーリーグ、シカゴ・カブスへ移籍を果たした今永昇太投手。ドジャースに移籍した大谷翔平選手や山本由伸投手と比較すると、どうしても“注目度”では後れを取っている印象もありますが、日本時代は8年間で通算64勝、昨季は174奪三振でセ・リーグ最多奪三振のタイトルを獲得するなど、日本を代表する左腕として活躍しました。

今永投手の最大の特徴。それは、高い奪三振率にあります。日本時代は通算1002回2/3を投げて1021奪三振。9イニングあたりいくつ三振を奪うかを示す奪三振率は9.16と、投球イニングを上回る三振数を誇ります。

大谷や千賀とは違う強み

通常、三振を奪えるタイプの投手というと、剛速球を投げたり、誰もが「打てない」と思うような決め球を持つ、いわゆる「本格派」であることがほとんどですが、今永投手は少し違います。ストレートの平均球速は140キロ台後半。日本球界でも決して「突出して速い」部類ではありません。変化球もチェンジアップ、スライダー、カーブなど多彩ですが、大谷翔平選手の“スイーパー”や千賀滉大投手の“ゴーストフォーク”のように、誰もが思い浮かべる“決め球”があるわけでもない

にもかかわらず、今永投手が三振を奪えるのはボールの“質”と“高い制球力”が最大の要因と言えそうです。今永投手の投げるストレートは、他の投手が投げるストレートよりも回転数が多く、いわゆる“ノビ”や“キレ”のあるボール。そのため、球速自体は140キロ台後半でも打者は振り遅れたり、差し込まれたりしてしまいます。この「球速以上に速く見えるストレート」を軸にすることで、その他の変化球もさらに生きてくるのです。

実際に今永投手の投球フォームを見ても、そこまで“力感”があるワケではありません。身長も公称178センチと決して大きくないので、メジャーのバッターからすると「小柄な投手が軽く投げているように見えるのに、ボールが思ったよりノビてくる」と感じるはずです。

もうひとつの“制球力”も、今永投手の高い奪三振力を支える武器のひとつです。昨季は日本で148回を投げ、与えた四球はわずか249イニングあたりの与四球率は1.46と、1試合で四球を2個与えない計算になります。

キレとノビのあるボールを、しっかりとストライクゾーンにコントロールできる……。だからこそ今永投手は「剛速球」を持っていなくても三振を奪えるのです。

メジャーでも変わらない制球力に期待が高まる一方で…

そして、開幕前の時点とはいえ、今永投手はその「奪三振力」をメジャーの舞台でも発揮しています。スプリングトレーニングでは12回2/3を投げて奪った三振は実に25。与えた四球はわずか2つ。失点が9とやや打ち込まれる結果には終わりましたが、「奪三振と与四球という点では日本時代とそん色ないピッチングを見せてくれました。

開幕後は、日本時間4月2日に行われる本拠地開幕戦、ロッキーズ戦での先発デビューがほぼ確定している今永投手。メジャーの舞台でどんな投球を見せてくれるのか楽しみですが、気になる点もあります。それが“被本塁打”です。昨季もシーズン17本の本塁打を浴びるなど、日本時代から比較的、被本塁打が多かった今永投手ですが、メジャーではこの数字がさらに増えることが予想されます。

これは、すべての日本人投手に言えることですが、メジャーリーグの選手は基本、1~9番まで全員が一発を打てるパワーを持っています。日本では先発投手が「下位打線で少し(気持ちを)抜く」というケースも耳にしますが、メジャーでそれをやってしまうと手痛い一発を食らってしまいかねません。

被本塁打の増加は仕方ないとして、増減幅をどれだけ抑えることができるのかも、メジャーで結果を残すカギになるはずです。

とはいえ、現時点では「奪三振力」はしっかりと証明していますし、先発ローテをシーズン通して守れれば、昨季の千賀投手のようにシーズン200奪三振も不可能ではないはず。今永投手には、ともにメジャー1年目を過ごす山本投手にも負けないくらいの数字を期待したいところです。


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※本記事は、3/19時点の情報です

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