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山本由伸が1年目から活躍するための「カギ」とは?日本の投手がメジャー挑戦で悪化する指標を“割り切れるか”が重要に

  • 2024.3.21
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写真:AP/アフロ

山本由伸投手2024成績予想

27試合 14勝7敗 防御率2.90 170回 180奪三振


 2024年からプレーの舞台をメジャーリーグへと移した山本由伸投手。日本のプロ野球では昨季まで3年連続で投手四冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率)を達成した日本のエース」が、満を持して海を渡りました。その評価はメジャーの世界でも絶大で、ルーキーながらメジャー投手史上最高となる12年3億2500万ドルという超大型契約をロサンゼルス・ドジャースと締結。

山本投手の最大の特徴。それは、「150キロを超える速球を誇りながら多くの変化球を自在に操れる」ことにあります。ストレートの威力が水準以上。それでいて、カットボール、スプリット、カーブ、カットボール、シュート、スライダーといった豊富な球種を、すべて決め球と呼んでいいレベルで投げることができます。

ピッチャーとしてのタイプは、ダルビッシュ有投手(パドレス)に近いかもしれません。ダルビッシュ投手も山本投手と同じように剛速球を投げることができるにもかかわらず、自らを「変化球投手」と呼ぶように、ストレートに頼らず、多くの球種で打者を翻弄することができる稀有なピッチャーです。

また、日本時代に「無双」したうえでメジャー移籍を果たした点も、山本投手とダルビッシュ投手に共通する部分と言えるでしょう。ちなみに、メジャー移籍前年の山本投手、ダルビッシュ投手の成績は以下の通りです。


山本由伸投手
23試合 16勝6敗 164回 奪三振169 防御率1.21 WHIP0.88

ダルビッシュ有投手
28試合 18勝6敗 232回 奪三振276 防御率1.44 WHIP0.83


1年目から活躍するカギとなるのは…

投球回数と奪三振数にこそ差がありますが、それ以外の数字は近似値にあります。そこで、今回はダルビッシュ投手の例を参考にしながら、山本投手のメジャー1年目の成績や活躍のカギとなる部分を予想してみましょう。

まずは登板数。すでに開幕2戦目の先発が決まっている山本投手ですが、大きなアクシデントがなければ今季はドジャースの先発ローテーションの軸として中4~5日で登板を重ねていくはずです。1年目ですから途中でローテを「飛ばす」ことも想定されますが、万全であれば年間25~30試合程度の先発が見込まれるはずです。

その上で、メジャーでも重要視される投球イニングは150~180回と予想します。先発数を考えればもう少し多く投げてもいかもしれませんが、1年目であること、まだ25歳と若いことを考えるとドジャースもあまり無理はさせないはず。「規定投球回を目安に、そこから多くてもプラス20イニング程度が妥当と言えるのではないでしょうか。

勝ち星に関しては打線の援護やリリーフ陣の調子など、山本投手自身がコントロールできない部分が多いため未知数ですが、強力打線のドジャースであれば最低でも2ケタ勝利は記録できるはずです。

日本で3年連続1点台をマークしている防御率については、おそらく多少の増加は否めないはずです。過去にメジャー移籍を果たした多くの日本人選手が渡米1年目には防御率を悪化させており、前述のダルビッシュ投手もメジャー1年目は防御率3.90で日本時代よりも2.50以上、防御率が高くなっています

メジャーの打者相手に悪化する指標

メジャーのバッターのレベルの高さが最大の理由ですが、特に大きいのが「被本塁打」です。昨季、山本投手は日本で年間2本しか本塁打を打たれていません。ただ、メジャーの各球団には日本の「クリーンアップ以上」のパワーを誇るバッターがズラリと並びます。

たとえばダルビッシュ投手もメジャー1年目の被本塁打は5本→14本、直近では昨季メジャー移籍を果たした千賀滉大投手も7本→17本と日本時代よりもホームランを打たれるケースが増える傾向にあります。

ホームランを打たれるのはある程度仕方ない」と割り切れるかどうか――。このあたりも、山本投手の活躍のカギを握りそうです。

加えて、メジャー仕様の「投球の組み立て」も大きなポイントになります。前述したように山本投手は日本時代、豊富な球種を駆使して打者を抑え込んできましたが、メジャーリーグは投手の投げる球種の数を「絞る」傾向があります。考え方としてはいたってシンプルで、「打たれる可能性の低い球種を多く投げさせる」のがメジャー流。昨季前半、大谷投手が投球の半分以上を「スイーパー」で占めたことも非常に“メジャーっぽい”配球だったと言えるでしょう。

となると、山本投手がメジャーで「軸」とする球種は一体何か――。おそらくスプリングトレーニングで色々な球種を試しながらシーズンに臨むことになるのでしょうが、メジャーでは落ちる形の変化球であるスプリットが効果的な傾向があります。大谷選手も、昨季活躍した千賀投手も、この「スプリット=フォーク」を武器とするピッチャーです。

山本投手は大きく縦に割れるカーブも持ち味ですが、メジャーでは近年、山本投手のようなカーブよりは球速の速い「パワーカーブ」が主流。他のピッチャーがあまり投げない緩い変化球がメジャーでどこまで通用するのかも、見どころと言えるかもしれません。

ファンの方々にくれぐれも伝えたいのは、山本投手は今季が12年契約の1年目だということ。チームとしてもいきなりフル稼働で結果を残すというよりは、12年間という長期契約の中でしっかりと数字を残してくれることを求めているはずです。

1年目を「試行錯誤の1年」と割り切り、ある程度の結果には目をつむってメジャーに順応するためのシーズンと考えるくらいが、ちょうどいいかもしれません。


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※本記事は3/19時点での情報です

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