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「緊張でおかしくなりそう…。それでも、どこかでこの試合をずっと見ていたい」約1万人が"息をのんでボールを追った死闘"

  • 2024.4.2

晴れ渡る空に赤と青の旗が映えた有明コロシアム。
まさに決戦にふさわしい気候となった現地は、熱気と興奮で沸きたっていました。

Vリーグファイナルステージ「パナソニックパンサーズ」と「サントリーサンバーズ」の決勝

どちらもファイナルステージ常連の強豪チームで圧倒的力の差はなく、どのような試合になるのかファン全員が高揚感を抑えきれないのが試合前、コロシアムに入る前の雰囲気でした。

チケットを受け取り、有明コロシアムの中に入ると戦いを今か今かと待つ熱気が一段も二段も高まりました。女性ファンの割合が多いスタンドでは、チームのグッズに身を包み押しの名前を書いた応援のうちわを準備する人、一眼レフのカメラで選手の一瞬を切り取ろうとカメラの調整をする人、これまでのチームの成績をおさらいし友人同士で試合展開を予想する人…それぞれが試合開始までの空間を楽しんいました。

会場内が暗転し、いよいよ選手入場シーン。一人一人の名前が呼ばれ煙の中から選手が登場すると会場には歓声と割れんばかりの拍手がこだまし、一気に盛り上がりました。

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レギューラーシーズン圧倒的な強さを見せた王者が押される展開に

しかし試合が始まると雰囲気は少し変わり始めました。というのもスター選手が集まりレギュラーシーズン(以降はRRと表記)は圧倒的強さで勝ち抜いてきたパナソニックが勢いに乗れていない…。サーブミスが続き、ボールが拾えず、スパイクがなかなか決まらない…。会場に集まったお揃いの青いTシャツに身を包んだパナソニックファンはそわそわし、どうか流れが変わってほしいと祈る気持ちが会場内でひしひしと感じました。

一方で、サンバーズは、絶対的エース・ムセルフスキー選手が絶好調なのに加え、サイドのアライン、ミドルの小野寺選手も乗りに乗っていました。会場は、これぞサンバーズの強さだといわんばかりのファンの声援で、一点一点を重ねるたびにボルテージが上がっていくのを感じました。

この状況を変えたのは、日本代表のエース・西田有志選手の登場。コンディション不良でRR後半は出場を見合わせていた西田選手が、ここで登場し、強烈なスパイクを一本決めました。会場のパンサーズファンは一気に息を吹き返し、イケイケGOGOの大声援。1セット目はそのままサンバーズに取られたものの、試合はここからだという両チームの緊張感が伝わってきました。

そして、決勝の勝敗を分けた2セット目

序盤から激しい打ち合いとなり、まさにハイレベルな試合展開が続く中、試合は24対24のデュースに。

そこからがまさに死闘。お互いが一歩も譲らず、決めたら決め返し、拾えば拾い返す。ファンもまさに固唾を呑んで見守り、ボールの行方を追う。苦しい…苦しすぎる…緊張でおかしくなりそう…。それでも、どこかでこの試合をずっと見ていたい、楽しい…そんな思いが交差して会場を包みました

異例のデュース12回目。最後は、サントリー決め切り、激闘の2セット目を制しました。このセットは今シーズンのタフ試合を象徴していたように思います。

あとがなくなったパンサーズファンは祈るような気持ちで、サンバーズファンは興奮が抑えきれない気持ちで3セット目に突入。

パンサーズも総力戦で戦うも、サントリーの勢いを最後の最後まで止められずストレート負け。

試合終了のホイッスルが会場に響くとサンバーズファンの大声援が会場を包みました。V奪還王者が返り咲いた瞬間でした

パンサーズの選手は、呆然と立ち尽くし、今シーズンチームに大きく貢献した大塚選手など数名の選手は涙を抑えきれませんでした。パンサーズファンも時が止まったように静まり返ったものの、最後は、スター選手が揃い勝つことが当たり前だと凄まじいプレッシャーを背負って今シーズンを戦い抜いた選手たちに温かい感謝の拍手を届けていました

試合後、サントリー主将の大宅選手は「終わってほしくない。楽しい時間だった」と振り返り、パナソニックの西田選手は「完敗。トップに立つには今の努力では足りない。本当に悔しいけど、次につなげる」と次を見据えました。

会場を後にするファンは、選手と一緒に戦いきった気持ちのいい疲労感を感じているようでした。

現行のVリーグ最後の覇者は、サントリーサンバーズ。

今秋からは、「SVリーグ」が新しく始まり、バレー界の挑戦が続きます。


※本記事は、3/31も情報です

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