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42試合中"たった5試合"!?「もうライバルではない」日韓野球に差がついた明確な理由

  • 2024.4.3
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写真:PIXTA

KBOリーグでは韓国プロ野球の人気を取り戻すためにホームランが増える施策をして、国民的スポーツとして愛されています。一方で、ホームランを重視した施策を実施した結果、好投手が育たず国際大会で日本や強豪国と対戦した際に大差で負ける試合が増加。2023年に開催された第5回WBCでも日本に大量13点を奪われて力の差を見せつけられました。

2008年の北京オリンピック金メダルや2009年の第2回WBCで準優勝に輝いたときは、好投手が多く日本打線を苦しめたのは記憶に新しいです。現在はKBOに所属する韓国人投手のレベルが上がってきていないのが現状。度々韓国メディアでも「もうライバルではない」「日韓の差が明確に広がった」といった内容のコメントが出ています。

実際にKBOリーグの2024年シーズンが開幕し、現時点(4/3)で全42試合が行われ、完封ゲームはたった4試合。日本では全24試合で、完封ゲームが7試合という結果もでています。

そんな韓国野球が極端な打高投低に陥ってしまっている理由について詳しく分析しましょう。

近年の打撃成績

2020年〜2022年のKBOリーグの打撃成績はセリーグとパリーグと比べても高く、「打高投低」の傾向が強いです。2023年シーズンで3割以上を記録した選手はセリーグで3選手、パリーグで2選手であったのに対して、KBOでは14選手が3割以上をマークしています。2023年の打撃成績から見ても、NPBとKBOの投手力の差は歴然です。

KBOでは、近年の防御率常連に名を連ねているピッチャーのほとんどが外国人投手。2020年の規定投球回に達していた8人が外国人であったのを皮切りに、2022年の防御率トップ10のうち韓国人投手は3人でした。チームの勝利数は外国人投手の勝ち星にかかっているといっても過言ではありません。2023年シーズンの投手成績トップは2024年からシカゴ・ホワイトソックスでプレーするエリック・フェッド投手でした。

韓国野球の「打高投低」の傾向に歯止めをかけるためにも、KBOで韓国人投手が常連を占めるようになることに期待です。

打高投低の原因はストライクゾーンの狭さ?

韓国野球の「打高投低」の主な原因の1つとしてストライクゾーンを狭めたことが挙げられます。ストライクゾーンを狭くしたのは、韓国の野球ファンに多くのホームランを見て楽しんでもらうためでした。ストライクゾーンを狭くしたことをきっかけに、ピッチャーは四球が多くなるのを恐れて失投をするケースが増えています。バッターは際どいコースを待つ必要がなく、真ん中付近のボールだけを待てば長打を打ちやすい状況。

KBO自体も2016年〜2021年までのストライクゾーンを解析したところ、以前よりもストライクゾーンが狭まっていることがわかりました。ストライクゾーンが狭くなっている要因として、審判がボール判定をする際に萎縮してしまうことも挙げられています。

2022年にルール通りのストライクゾーンに戻してピッチャーの技術力向上に加えて、審判が自信を持ってストライクやボールの判定を下すことが重要です。

兵役という問題も

韓国は日本とは異なり兵役制度を採用している国の1つで、KBOに所属する選手も例外ではありません。KBOでは兵役に参加する選手がいることを見越して、多めに選手を獲得する場合もあります。

2023年シーズンで防御率2.39、9勝、164奪三振と活躍を見せたアン・ウジン投手も兵役に参加しているピッチャーの1人です。2017年のドラフトにて1次指名を受けてネクセン・ヒーローズに入団。2年目の2019年に7勝、2021年に8勝、2022年に自己最多となる15勝をマークしてKBO球界のエースに昇り詰めました。しかし、2023年のWBCに選出されなかったことで兵役免除の機会を失い2025年9月17日まで招集解除がされないため、2024年シーズンは登板できません。

KBOでエース級の活躍をしていたとしても兵役に参加して、全盛期を終えてしまうというピッチャーも少なくないのが韓国野球の現状です。

今後の打撃方針

2023年に開催された第5回WBCでは本戦に出場した20ヵ国中第1位の打撃成績を残しており、決して打撃力が低いというわけではありません。ただし、日本代表などの強豪国の好投手に当たった際に打ち崩せるかどうかがポイントです。

今後の国際大会で日本と対戦するときは、ポン・ジュングン投手キム・グァンヒョン投手のような左ピッチャーを軸に戦う必要があります。日本代表はイチロー選手大谷翔平選手などの左バッターが主軸になる場合が多く、左ピッチャーがどれだけ日本打線を抑え込めるかどうかが勝敗のカギです。第5回WBCでは先発のキム・グァンヒョン投手が抑え込んでいたものの、後続のピッチャーが次々に打たれ大量13失点を喫しました。

過去の国際大会で日本と対戦した際にも左ピッチャーが日本打線を抑え込んだという歴史が残っていることからも、先発とリリーフ共に強力な左ピッチャーを育成することが急務です。


※情報は3月30日時点のものです。

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